富山県・氷見市の“チカラ”−今が旬! 氷見の寒ブリ!−



今週ご紹介するのは、富山県氷見市の寒ブリ。氷見駅から歩いて10分足らずの商店街にある「食彩居酒屋 灘や」さんを訪ねました。白木のカウンターに、個室も充実した趣ある和食屋さんです。お話をうかがうのは、氷見のPRコンサルティングの川向正明さんです。

−氷見の寒ブリが美味しいわけ−

住吉さん「氷見の寒ブリは有名ですが、どうして有名になったんでしょうか?」

川向さん「美味さの理由は3つあります。地の利、天の時、人の技。地の利とは、能登半島。北海道から南下したブリが能登半島にぶつかってとれる。天の時とは、ブリは夏の間、北海道で餌をたっぷり食べてパンパンに太る。春になると九州の五島列島の方で産卵するので、それを目指して南下してくるんです。それがたまたま、冬、ちょうど美味しいときにここにやってくるんです。九州までいってしまうと卵巣、精巣に栄養をとられ、泳ぎ疲れてエネルギーを使い果たしてしまう。だから、氷見のブリは美味しい。最後の人の技とは、定置網です」

住吉さん「ブリの捕り方は、普通はどんな捕り方があるんですか?」

川向さん「色々あります。大体、船から魚の群れに網を投げて、それを引きあげるんですが、それだと、網の下の方の魚はつぶれてしまうんです。身も痛むし、港に着くまでに死んでいたりする。でも、氷見の定置網は名前の通り、海に置いてあるだけなんです。動かしません。だから、魚が入ってきても、どんどん出ていってしまうんです。網の奥の方が狭くなっていて、そこにいる魚だけを捕る。捕ったあとすぐに氷水にひたし、気絶させ、仮死状態のまま港に入ってくるので、魚の鮮度が違います」

住吉さん「富山湾の中でも最も大陸棚が発達しているといわれる、氷見の海。陸からすぐ近くに漁場があるんですね。そこに仕掛けられたのが、400年の伝統を誇る、定置網という漁法です」

−世界も注目! 氷見の定置網−

川向さん「定置網って、網に入った魚の7割から8割が逃げるので、すごく非効率なんです。でも、ブリなんかは回遊魚で、春には産卵のために逃げなければいけないので、定置網の方が資源管理ができて持続可能。エコでサスティナブル、ということで海外から注目されています」

住吉さん「定置網の漁法は、日本が最初というわけではないんですか?」

川向さん「スペインでも昔からやっていますが、どっちが先かはわかっていません。今は日本から技術指導して、タイ、インドネシア、台湾でも使われています」

住吉さん「今、目の前に模型がありますが、お手製なんですね。さすが、定置網エバンジェリスト! 長さが30センチくらいですが、実際は?」

川向さん「600メートルくらいになります。これが42くらい海に浮かんでいます」

住吉さん「すごく単純な仕組みで、細長い網の一部がずっと開いていて、ブリが自由に出入りできると。餌とかが入っているわけではないんですよね?」

川向さん「はい。たまたま入って、朝までいたやつが水揚げされるんです」

住吉さん「7、8割は逃げて非効率でも、未だに続いているわけは?」

川向さん「やっぱり、環境と資源を考えてのことだと思います。必要な分だけ捕る、みなさんずっと守ってらっしゃいますね」

−氷見の人にとっての寒ブリとは?−

住吉さん「氷見の方々にとって、寒ブリというのはどんな存在ですか?」

川向さん「やっぱり、宝ですね。みなさんおっしゃいます。よく『天の恵みをいただく』と言いますが、氷見の人は、8割は逃がし、2割だけいただいているので、『天の恵みのおこぼれをいただく』と言っています」

住吉さん「寒ブリが、地元の方々の生活に入り込んでるなと思われるような風習ってありますか?」

川向さん「氷見では、まあ富山県全体で大体やっているのですが、お嫁にいった最初の暮れのお歳暮に、お嫁さん側の実家が嫁ぎ先にブリを贈るんです。1本、まるごと。で、受け取った夫の家は、そのブリの半身を返すんです。ブリっていうのは出世魚だから、旦那さんが出世しますように、あとは嫁ぶりがよくなりますようにっていう意味を兼ねて送っているんです。だから、『今年嫁にやったんで、ちょっとブリいいやつを』ってなると、もう魚屋さんは大変ですよね」

住吉さん「地元の方は普段から寒ブリを召し上がるんですか?」

川向さん「地元でもかなり高いので、なかなか食べられないですね」

住吉さん「そんな中、氷見の寒ブリを試食させていただけることになりました。ブリを出してくださったのは、灘や代表取締役で氷見市観光協会副会長の杉木克己さんです」

−脂の乗った氷見の寒ブリを試食!−

住吉さん「分厚くて、見てるだけで大変ですが、いただきます。う〜ん、美味しい、甘い!」

杉木さん「この大トロ、大根おろしが巻いてあるんです。一緒に食べると美味しいんです。このブリの脂はあっさりしてますから全然気になりません」

住吉さん「腹側の切り身も、分厚い〜! 大根おろしがたっぷり巻いてありますね。色は薄いピンク。では、いただきます。うん、美味し〜い! 大根おろしが合う! 生まれて初めてのブリ。続いて、ブリのかまです。おっきい! 両手でやっと持てるくらいの大きさです」

杉木さん「10キロくらいあります。かまは、2か所しかないんですよね、両側に。だからなかなか手に入らないんです」

住吉さん「ありがとうございます。コラーゲンやら肉やらがブリブリについてますね、ブリだけに。うわああ、すごい身がいっぱいついてる。わあ、香ばしくて美味しい!」

杉木さん「背中の方と腹の方、上と下全部ついてますから、上の方食べたあとは、腹のいちばん脂のあるところを食べてみてください」

住吉さん「わあ!! プリップリ! 焼いてるのにジューシー! 口の中にブリのうまみと焼いた皮の香りが広がって、舌の裏側にまで脂がまわって甘い!」
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