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[No.3] 「崖の上のポニョ」
投稿者:日経エンタテインメント! 編集長 吉岡広統 / 男性 / 40代 / 東京都 投稿日:2009/7/23 14:43
実は公開当時に『崖の上のポニョ』を見たとき少し戸惑った。これまで自分の中で考えていた宮崎駿スタイルとは違ったからだ。
個人的に勝手に解釈していた宮崎アニメの“お約束事”を整理すると次の2つだ。
1つは、不思議な出来事が起こる舞台は、現代ではないどこかであるか、現代であっても(トンネルを抜けた先などの)異次元の世界であること。
2つ目は、不思議な出来事に気づいたり、体験するのは、無垢な心を持った子どもだけであること。
「むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました…」と始まれば、絵本の読者はおとぎ話と認識した上でストーリーに入っていく。それと同じように、宮崎アニメも「これから不思議な世界の物語が始まりますよ」という仕掛けがあらかじめ施されたうえで物語が進められるものと思っていた。
 しかし、『崖の上のポニョ』では、のっけから非現実的な海の中から幕開ける。しかも、その魔法がかかった世界は、子どものみならず、大人たちにも作用していくことになる。そして、どこまでが現実の設定で、どこからが魔法のかかった世界なのかを明確に線引きしていないのだ。言葉できっちり説明しきれないあいまいさこそが『崖の上のポニョ』の特徴だなと感じた。
 定番やフォーマット化されたものは、理解しやすいし、納得はしやすいが、見終わった後の印象は薄くなりがちだ。『崖の上のポニョ』には、あいまいさが生み出す “違和感”というか“引っかかり”が、ストーリーや映像のそこここにあり、それゆえに鮮明に頭に刻み込まれた。
 今回、1年ぶりに『崖の上のポニョ』を見た。繰り返し2度。当時引っかかっていたポイントを注意して見てみようと思ったからだ。例えば「劇中の登場人物にポニョはどのように見えているのか。人間的な顔を持った魚に見えているのか、それとも本当の魚に見えているのか…」「人間になったポニョと半魚人のポニョの違いは?」「嵐のあとに街が水没したのは何を意味するのか?」などなど。
結局、明確な答えは得られなかったが、色々なことを勝手に想定して見ていると、自分の中で映画のイメージが立体的に膨らんで、“面白度”が一層高まった。もちろん様々なシーンの設定の裏側には、宮崎監督の狙いや意図はあるのだろうが、一方で解釈を見るものにゆだねているようにも感じた。
一見すると、ストーリーは単純明快で子どもにも分かりやすい『崖の上のポニョ』。だが、そのひとつひとつのシーンを掘り下げるとその分だけ物語の幅が広がって行く、懐が深い作品だなと実感した。

日経エンタテインメント!吉岡広統
[No.2] DVD崖の上のポニョ 感想
投稿者:『ORICON BiZ』編集部 副編集長 島田寛明 / 男性 / 30代 / 東京都 投稿日:2009/7/6 14:54
夏休み真っ盛りの昼下がり。子どもたちでいっぱいの映画館で『崖の上のポニョ』を観ました。
空き瓶の中にすっぽりと収まったり、ハムをムシャムシャほおばったり、波の上を疾走したり……。スクリーンの中で縦横無尽に活躍するポニョの姿に、隣に座っていた宗介と同じくらいの年齢の男の子の目は釘付け。そんな子どもたちの笑い声や溜め息に包まれながら、いつの間にか自分も映画に夢中になっていました。
宗介とポニョの冒険物語もやがて佳境に入り、ついに感動のラストへ。満足感を全身に漂わせ、一緒になって主題歌を口ずさむ子どもたちの表情を眺めながら、とても幸せな気持ちで映画館を後にしたのを昨日のことのように憶えています。
大のおとながひとりで観ても、もちろん楽しい。子どもたちと一緒に観ればもっともっとハッピーになれる。
『崖の上のポニョ』はそんな映画だと思います。


『ORICON BiZ』編集部
副編集長 島田寛明
[No.1] DVD 崖の上のポニョ 感想
投稿者:「ぴあ」副編集長&「MOVIEぴあ」編集長 岡 / 男性 / 30代 / 東京都 投稿日:2009/7/6 14:33
劇場公開時の反応として、きっぱりと好みや解釈が分かれた感もある本作。自分の場合は、ちょうど3歳の息子がいて日常的に子どもの世界を近くで疑似体験していることもあって、素直に共感できた。これが子どもを持つ前の自分だったら……。ひょっとすると、理解できなかったかもしれない。

 誰もが子ども時代を経験しているはずなのに、大人になるにつれすっかり忘れてしまった素直な感情表現。めいっぱい無駄な体の動かし方。そしてすべてがきらきらと輝く世界の見え方。70歳近い宮崎監督のピチピチした感性には本当に驚かされるし、彼の頭の中に溢れるイメージを鮮明に映像化したスタッフの技術力にも心底感銘してしまった。
 
 子どもたちの感情は常に真っすぐで、とてつもなくパワフルだ。「一緒にいたい」と「守ってあげたい」。ただそれだけで固く結ばれている、ポニョと宗助の素直な愛情の露出が清々しく気持ちがいいし、また海の精や魔法といったファンタジーを、登場人物が当然のごとく受け止めているのも心地良い。子どもたちにとっては現実にファンタジーが侵入してくることなど日常茶飯事なのだ。

 『ポニョ』が描く世界は、子どもたちがこんな風であってほしいと素直に願う世界なのかもしれない。それは、大好きな人と一緒にいることができて、それを見守ってくれる大人たちがいて、時として自然が大きなうねりをもって世界の様相を変えたりするけれど、人々は協力し合いながらポジティブに生きている。先の見えない未来を抱えて、不安や不満が多く渦巻く世の中だけれど、案外肩の力を抜いて、こんな風な未来を思い描いて生きていけば、子どもたちに明るい未来を手渡せるのかもしれない、と思った。

「ぴあ」副編集長&「MOVIEぴあ」編集長
岡