モニター紹介

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[No.5] 佐藤さんへ!
投稿者:番組ディレクター 服部 / 男性 / 50代 / 東京都 投稿日:2009/6/8 6:31
第三章に出演している石上さんというお坊様がおしえてくれたんですが、仏教の言葉に「我聞如是」というのがあるそうです。仏の言葉を私はこんなふうに聞いた!という意味です。鈴木さんは仏じゃありませんが、編集というのは、それにちかいものです。去年の秋にこのDVDの企画書を鈴木さんに出したとき、ポニョのDVDと同時期にリリースされるということもあり、『もうひとつのポニョの物語』的な方向の編集企画を出したところ、鈴木さんはひとこと「ポニョのポの字も出さないでつくりましょう!」と。そしてもうひとこと「来年は仏教かな?」ってつぶやきました。だから、このDVDは、仏教の巻物みたいなものをイメージしてつくりました。鴨長明は『方丈記』しか残しませんでしたが、鴨さんの対話録があったら?と考えました。で、考えてみると、世の中には意外に作品ばかりが残っていて、会話や気配は残っていないんですよね。大塚康生さんじゃないけれど、百年後、21世紀にはまだこんな人がいたんだ!こんなことで悩んでいたのか?こんなふうに笑っていた
のか?そんな空気を保存する巻物も面白いかなと思ったんです。
[No.4] RUNGさん・番組ディレクターさんへ
投稿者:佐藤譲 / 男性 / 20代 / 大阪府 投稿日:2009/6/7 21:47
>RUNGさん
コメントありがとうございます!
なるほど、CDには長時間収録できないのですね。納得しました!
「鈴木敏夫さんがCDがたくさんになってイヤだからDVDにしちゃおと言った」説は感想文を書いているときは想像にすぎなかったのですが、十分にありえますね。
鈴木さんは『もののけ姫はこうして生まれた。』のVHSを発売する際に、「3巻にする」という面白い方法を取りました。販売に関して、非常に頭を使う方なので、今回のDVD1枚というも何か仕掛けがあるのかなという気がしてなりません。


>番組ディレクターさん
はじめまして、いつも番組を拝聴しています。『鈴木敏夫のジブリ汗まみれ』は毎週の楽しみです。
感想文の件、お世話になりました。おかげさまでモニターを楽しめました!

そうなんですよね・・・、鈴木さんはつかめないです。輪郭を描こうにも描けない。自分なりに「あっこれだ!鈴木さんはこういう人に違いない!!」と思っても、それは鈴木さんの一部であって全体ではない。この第6章を観て、「あっこれかな?これが鈴木さんかな?」と思ったことを、感想文に色々と書きましたが、読み返すと「違うかもな・・・」と感じてしまいます。面白い人ですよね。もっと鈴木さんのことを知りたいです。番組の今後に期待しています!(この番組は今までの書籍やDVDとは比べ物にならないくらい、鈴木さんに切り込んでいると思います。同級生の回とか、すごいですよね)

現在、他の章の気になる回を観ているところです。考えがまとまったら、また感想をアップします!コメント、ありがとうございました。
[No.3] 佐藤さんへ
投稿者:番組ディレクター 服部 / 男性 / 50代 / 東京都 投稿日:2009/6/7 20:39
すごすぎるレポートありがとうございます。佐藤さんの汗まみれまみれドキュメントを一時間かけて読むのもドキドキ楽しい時間でした。ご指摘のように、この第六章は、宮崎駿はどこへ行くのか?とタイトルしつつ、これまでイメージされてきたものとはちがう鈴木さんと宮崎さんの関係、鈴木さんとは何者なのか!?という領域にはいりこんでいます。もちろん答えはありません。カタチにした途端、それは鈴木さんではなくなっているからです。この奇妙な一年半の対話の記録をDVDにおさめたのは、もしかすると、そんな日々変化してゆくカタチないものの価値を捕まえたかったからかもしれません。佐藤さん、本当に素晴らしいレポート感謝します。でもなんか勘違いなさってますよ。第六章が終わったら、第一章からお願いしますね!みんな、たぶん鈴木さんも楽しみにしています。少しずつで結構です。佐藤さんの40時間の旅日記、ぜひおねがいします!
[No.2] 僕の考える、ラジオの音源をDVDにした理由
投稿者:RUNG / 男性 / 10代以下 / 兵庫県 投稿日:2009/6/6 19:43
CDプレイヤーで聴くことが出来れば一番便利ですけれども、通常のCDプレイヤーで聴くCDには、一枚につき約90分までしか収録できません。だから、2438分あるこのDVDをCDで発売するならば、単純計算でも27枚程度のCDを入れる必要があります。実際には、会話の途中で急に途切れてはいけないため、1人のゲストにつき1枚程度のCDが必要になるくらいでしょう。
だから音だけですが、CDではなくDVD形式で発売する必要があったのだと思います。
[No.1] 【感想】
投稿者:佐藤譲 / 男性 / 20代 / 大阪府 投稿日:2009/6/5 12:36
【モニターに選ばれた】
 これを書いているのは6月3日ですが、モニターに選ばれたという知らせがあったのは一昨日の6月1日。DVDが届いたのが6月2日。そして、感想文の締め切りが6月4日・・・と、TOKYO FMのスタッフの方の鬼っぷりに泣かされている今です。が、モニターに選ばれたことが嬉しく、そしてDVDが予想以上に新しい部分が多くて、刺激的な十数時間を楽しみました。モニターに選んでいただきありがとうございます!
 そもそもモニターに応募したのは、毎週日曜に放送されているラジオ「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」を聴いていたからです。では、なぜこのラジオを聴いているか?一言でいうと、「鈴木敏夫さんに興味があるから」です。以前、「もののけ姫はこうして生まれた。」という3夜連続のドキュメンタリーがテレビ放映され(現在はDVDとなって発売されていますね)、その第2夜に鈴木さんが登場したんです。そこで心奪われた。この人カッコイイな、と。以来10数年、鈴木さんを何かとチェックしてきて、2007年のとある日、「鈴木さんがラジオ番組をやる」という情報を手に入れまして。それから2年近くずっと聴いてきたことが功を奏したのか、番組のDVDモニターに選ばれ、感想文を書いているという現在に至ります。緊張しています。


【こんな聴き方でいいのかな?】
 感想文を書くに当たって心配しているのは、私の聴き方が特殊すぎないか、ということです。
「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」のリスナーはどういう聴き方をしているのでしょうか?ジブリへの関心か、宮崎駿監督をもっと知りたいからか、あるいは・・・。リスナーによって、ラジオの楽しみ方は様々でしょう。私の場合はというと、先にも述べたとおり「鈴木敏夫への関心」、これ一点。なので、ラジオを聴く際にmemoを取るのは「鈴木さんが何を考えているか」であり、「鈴木さんがどういう相槌をするか」であるし、「鈴木さんの周りにいる方は鈴木さんとどう接するか」です。だから私は、鈴木さん特有の話術でゲストを手玉にとり鈴木さんペースで話を進める回よりも、鈴木さんとサシの勝負で負けないようなゲストが登場し鈴木さんの本心が露呈している回の方が好きです。こんな聴き方は変でしょうか?
 こんな聴き方をする者の感想は他の方々に受け入れられないのではないか、とドキドキしています。でも、モニターなので、書かないとモニターたりえません。よって以下に記述しますが、どうか「こんな聴き方があるか!」などと怒らないでください。


【感想文の恐怖と喜び】
 DVDが届く前、番組スタッフの方から「佐藤さんには第6章『宮崎駿は一体何処へ行くんだろう!?』のご感想をいただきたく」というメールがあり、「ひょえー」と小さな叫び声を上げました。なぜなら、「一番大事な章なのでは?」と思ったからです。そして、この「宮崎駿は一体何処へ行くんだろう」というのが鈴木さんにとって重要なテーマだと考えるからです。その大事なテーマの放送に対して感想を書くのか・・・ひょえー、怖い。
 怖くなりながらも、DVDの到着が楽しみでした。宮崎さんを語る回は誰がゲストの回だろう?あのハラハラした押井守さんの回は絶対にあるだろうし、若き日の宮崎・高畑両名を語った大塚康生さんの回も入るだろう。・・・そんな風に予想し、怖さを紛らわせて、「この章なら私の好きな回のはず。観て、感想を書くのが楽しみ」と思うようにしました。
 実際、ラジオの放送でも、宮崎さんが話題に出る回は特に面白かったのです。なぜ面白く感じるかというと、宮崎さんを語るときの鈴木さんが一番私の知りたい鈴木さんだからです。私は宮崎さんとの関係の中での鈴木さん(「の」が多いですね)を知りたいと思っていて、知ることができるのは鈴木さんが宮崎さんを話題にする回だからです。
 大事な章の感想を書く怖さと、自分の好きな章を担当できる喜びとが入り混じりつつ、郵便屋さんを待っていました。そして昨日、DVDが届きました。


【ラジオに入りきらなかった部分を味わえる】
 カバーを開くと、表面が鈴木フォント(鈴木さん直筆の文字です)で埋め尽くされたDVDが。九十九の言葉の一部でしょうか。「宮崎駿だって間違える。」という言葉がとりわけ濃く書かれているように見え、気になりつつ、DVDをセットします。
 起動するまでの少しの時間、説明書を見ると、私が担当する第6章はゲストに、1.ジョージ・ルーカス、2.リリー・フランキー/橋口亮輔、3.浦沢直樹、4.押井守、5.渋谷陽一、6.村上隆、7.大塚康生/依田謙一/田居因、と書かれていました。やったぁぁー!好きな回ばかり!!それに、説明書に書かれてある時間を見てみると「70分」や「76分」と、明らかにラジオのときの放送時間より長い。ラジオではカットされた部分がたくさん味わえるということですね、楽しみ!
 1から観る必要はないかなぁと思いながらも、ジョージ・ルーカスさんの回から順に観ることにしました。


【ラジオの音源をDVDにした理由】 
 ラジオ番組を何故DVDにしたのだろうという疑問があります。CDじゃ駄目なのか?「絵のないDVD」って?と。私はルーカスさんの回なら、ルーカスさんと鈴木さんが談笑している静止画が画面に登場するのかな、と予想していたのですが、大きく外れました(見てのお楽しみです)。なぜDVDにしたのかをあれこれと考え、「CDじゃ何枚にもなって煩わしい。1枚に収まるDVDにしちゃお」と鈴木さんが会議の席(あるいは、レンガ屋)で言った、という想像に落ち着きました。で、ルーカスさんの回の話。


【笑い方に特徴のある二人】
 「監督とプロデューサーのどっちが面白い?」という鈴木さんの質問に始まるこの回は、笑い声に満ちていました。鈴木さんも特徴的な笑い方をするし(アハハハという大声の笑い方の場合もあれば、引き笑いをすることがあります。私は引き笑いが好きで、マネをしたことがありました。そして現在、引き笑いの癖があります)、ルーカスも変わった笑い方をします。その二人が「映画は興行は回収できればいい」「自分たちが観たい映画を作る」と互いの胸の内を明かし共感する姿は少年のようで、テレビの前にいる私は思わずニッコリとしてしまいました。鈴木さんを知りたい私からすると物足りない回でしたが、「映画作りが好きでたまらない」という共通点で結ばれる二人をまじまじとノーカットで見れて(聴けて?)良かったです。


【働きたい人と、そうじゃない人】
 続くリリー・フランキーさんと橋口亮輔さんの回は、ルーカスさんの話から始まります。鈴木さんとルーカスさんの対談をテレビでリリーさんが見ていた、と。この会話で明らかになったのが、キャサリーン・ケネディーさんと鈴木さんの関係。鈴木さんはプライベートで前々からキャサリーン・ケネディーさん(鈴木さんはキャシーと呼んでいました)のことを知っていて、素晴らしい女性だと思っていた。でも、一緒に仕事をして、仕事上の彼女は鉄の女だと分かった。180度変わるキャサリーン・ケネディーさんを前に「そんなキャシーじゃイヤ・・・元に戻って欲しい。でも、プロデューサーとしては頼もしい・・・」とジレンマに苦しむ鈴木さん。リリーさんが小さな声で「恋が冷める瞬間ですね」と相槌を打ったのが印象的です。鈴木さんの泣くように笑う表情が浮かびました。
 『ぐるりのこと。』について三人が話す中で、「表現」がテーマになります。そこで、鈴木さんは『カントリーロード』における近藤喜文監督と宮崎さんの演出方法の違いに言及し、次第に宮崎さんを語り始めます。
 この回は、鈴木さんが宮崎さんと自らとの違いを「働きたい人と働きたくない人」と述べていました。そして「人生を決めるのは性格ですよね」とも。私の思う「本当の鈴木さん」はこの鈴木さんです。世間が思うような「ワーカホリックな鈴木さん」は鈴木さんではなく、「怠けたいのだけど、働かざるをえない鈴木さん」が本当の鈴木さん、だと考えています。「働きたくない」という言葉は、その考えの証左となる言葉で、嬉しくなりました。ただ、鈴木さんの言葉をそのまま信じてはいけない用心用心、とも思いました。


【リアリズム高畑さんの呪縛】
 リリーさん橋口監督の次は、浦沢直樹さん。この回は「浦沢さん、すげぇ」という言葉が何度も口から出てしまう回でした。少年時代に様々なアニメを見ていて「宮崎駿に気付いた」という浦沢さん。「自分たちの見るアニメのクレジットにいつも出てくるこの人たちは誰なんだ!」と宮崎さんや高畑さんの名前を見つけて不思議に思ったそうです。そんなかつてのアニメ少年を前に、鈴木さんは嬉しそう。
 この回では高畑さん・宮崎さんの二人について語られます。リアリズムに徹する高畑さんと、その呪縛から逃れようとする宮崎さん。「こういうカットを描くと、高畑さんに怒られる」という宮崎さんの言葉が二人の関係を言い表していました。例えば、『未来少年コナン』でコナンが高いところから落ちて足がビーンってなるシーンは、高畑さんがいたらできなかった、と。二人のそのせめぎあいが一体となった作品が『ルパン三世 カリオストロの城』である、と。二人の関係は、映画的にはとてもいい関係ですね。
 「『崖の上のポニョ』ではその呪縛から逃れ思う通りにやっている」。そう述べる鈴木さんは楽しそう。宮崎駿が何をするのか知りたくて仕方ないんだよ、といった雰囲気を声のトーンから感じました。


【「あんたは何をやるんだ」】
 ここまでは一気に観終わったのですが、押井守監督の回を前に長い休憩を入れました。なぜなら、押井さんの回は、ラジオの時でもハラハラしたので、倍以上に伸びている今回のDVDバージョンは一層ハラハラするのは必死。心の準備が必要です。1時間くらいテレビから離れたのち観始めてみると、やはりというか、予想以上にハラハラしました。

 「宮崎駿の映画が映画足りえたのは高畑・鈴木がいたから」と語る押井さん。鈴木さんが「ポニョで宮崎駿は高畑勲の呪縛から逃れた」と言うと、「何でほったらかしにしたんだよ」と食ってかかる押井さん。押井さんは『崖の上のポニョ』における宮崎さんの表現力に最大級の賛辞を送りながらも、「妄想炸裂映画」「最低限の必然性がない」と評します。直截に言う押井さんにドキドキしながらも、鈴木さんの反応が楽しみで仕方ありません。
 この回で「宮崎駿はどこに行くんだろう?」というテーマが登場します。押井さんは「老人の大暴走」と言い捨てますが、鈴木さんは「宮崎吾郎に息子ができることが影響するのでは」と述べます。どこに行くのかを考えるのが楽しみで仕方ない鈴木さんに押井さんは付き合わず、このテーマはすぐに違う話に取って代わってしまうのですが。宮崎さんをよく知る二人に、もっと話して欲しかったです。
 二人の会話は自由奔放に飛び回り、アニメーターの育成、日本のアニメーションにまで及びます。弁証法的な対話に少々戸惑いますが、第6章を通して一番興奮したのはこの回です。互いのことを友人と呼ぶ二人の関係は、どこでどんな風に繋がっているのだろう。『立喰師列伝』などを観るにつけても、謎のままです。
 始終元気な押井さんに鈴木さんは「押井守、健在!」と言います。「元気に映画を作り続けてください」とも。そんな鈴木さんに対し、押井さんは「あんたは何をやるんだ」と疑問を投げかけます。それに鈴木さんは答えずにこの回は終わりました。その答えが知りたかったです。


【作品を守る】
 渋谷陽一さんの回を観始める頃には、深夜0時を回っていました。ただ、残りの回すべてが気になるのでそのまま見続けました。

 ラジオで放送された渋谷さんの回は忘れられません。「鈴木さんは宮崎駿や押井守にコンプレックスがある。それが鈴木さんのプロデュース力の源」という渋谷さんの持論は非常に興味深かったからです。そして、渋谷さんの持論に「そうなのかなぁ〜」と笑う鈴木さんは「宮崎駿と喋っていて、血が逆流するときがある」という言葉を残します。私はそこにクリエイターとして宮崎駿を分かろうとし、その先を行こうとするクリエイティブな鈴木敏夫を見ました(違う?思い込みかもしれません)。ラジオを聴いていて、とりわけ興奮した回がこの回です。
 DVD版では渋谷さんの宮崎さんへの思い、『崖の上のポニョ』への思いが存分に語られていました。ポニョの公開後に批判的な風潮があり、それが許せなかった。好き勝手にさせてたまるか。宮崎さんへのインタビューを通して、そうした批判する人の代わりをしつつ、最終的にポニョを肯定したかった、と。テレビから聴こえる渋谷さんの言葉は、作品を守る、という情熱に溢れていました。
 他にDVD版では「ポニョにおける鈴木さんの決断」が語られていました。このエピソードを聴いて、冒頭で渋谷さんが言った「鈴木敏夫は悪徳プロデューサー」説を理解しました。悪徳プロデューサーとは、映画にとって一番正しい判断をできるプロデューサーのこと。なるほど、鈴木さんは悪徳プロデューサーだ。その悪徳っぷりは、「作品を守る」という信念からくるのだと思います。だから、監督への進言がブレない。
 渋谷さんの指摘から始まって、次第に語られだす宮崎駿と鈴木敏夫の関係。渋谷さんの持論「宮崎・鈴木一体化」説、非常に的を得ているを思います。この話の最後に、渋谷さんが「宮崎さんの作品を誰よりも作りたいと思っている人はこの人ですから」といったのに対し、鈴木さんが(おそらくあの泣き笑いの表情で)「見たいんですよぉ」といったのが印象的です。これに続いて、例の渋谷さんの「鈴木敏夫論」が語られます。
 渋谷陽一のインタビューは凄い、と感服せずにはいられない回でした。ラジオのときより、断然DVD版のほうが興奮しました。空気では押井さんの回がドキドキしましたが、内容ではこの回が一番ドキドキしたかもしれません。


【鈴木敏夫を分析する】
 第6章のタイトル「宮崎駿は一体何処へ行くんだろう!?」という言葉が鈴木さんの口から出る、村上隆さんの回。鈴木さんは「宮崎駿が何処へ行くかが自分にとって最大の趣味」と言います。やっぱり、私が任された第6章は鈴木さんにとって大事な章でした。感想を書きながら、相変わらず怖いです。
 『もののけ姫』の公開のときに竹熊健太郎さんと一緒に長蛇の列に並んだ、という村上さん。『もののけ姫はこうして生まれた。』における企画会議での鈴木敏夫さんの姿勢を見習うべく、何度も見直すようです(あの鈴木さんの迫力は凄かったです)。あの姿勢が、ものづくりの原点だ、と。
 村上さんは「鈴木敏夫とは何か?」に興味があると言います。これからの若い人の中には、鈴木敏夫を分析する奴が現れる、という予言も残します。そこに、ナレーションが続きます。「実はこのDVDの目的のひとつなんです」。自分のことになるとフワフワしがちな鈴木を分析するために、このDVDが作られた、と。確かに、鈴木さんは本当に捉えどころがありません(だから私は好きなんですが)。ですが、誰かとの関係性の中の鈴木さんは捉えることができる。そういう意味においては、この対談だらけのDVDは分析材料になりえます。ホント、鈴木さんを見ているだけでは、雲を掴むような感じを覚えますから。


【大塚ルパンは残る】
 いよいよ第6章も最後。大塚康生さんの回です。私は大塚さんの『作画汗まみれ』という本をあらかじめ読んでいたので、大塚さんが宮崎・高畑をアニメーターとしてどのように見ているのかは知っていました。ただ、この回で語られるのはそれだけに留まらず、「東映動画時代、二人は女性にモテたか?」「二人は女性好きか?」「高畑さんはレーニン」などと聴いたことのない宮崎・高畑評を聴けます。それに、大塚さんのルパン話はやはり面白いですし、大塚さんが語る現在の若きアニメーターたちへの不満はアニメーターでない私にも通じるもので身につまされます。
 宮崎さんの映画作りを余人ができない作業、と断言する大塚さん。ジブリ映画を100年経っても人々が見つづけている「浮世絵」という芸術に例えます。宮崎さんは葛飾北斎、高畑さんは歌川広重。そして鈴木さんはその版元だ、とも。なるほど。
 この回で一番心に残ったのは大塚さんの言葉です。「あんなに議論して、あんなに一緒にやった。今、手伝えないのが残念」 
 最後のナレーションで読まれた「100年後のモニターに映るのは、誰の作品でしょうか?」というセリフから、私は100年後を想像しました。今このDVDを観ている人は誰も生きていないでしょうが、このDVDを観ている人はその世界にいるはずです。彼らが「やっぱりジブリ作品は残ったね。でも、大塚ルパンも残ってるよね」と話す姿が思い浮かびました。


【鈴木敏夫は一体何処へ行くんだろう!?】
 さて第6章、すべて観終わりました。どのタイミングでも息抜きできない、密度の濃い内容のため、かなり体力を消耗しました。でも、楽しかった。
 長々と感想文を書いてしまったのですが、これで大丈夫でしょうか?かなり特殊な聴き方だと思うので。私が好きな部分以外が、他の人にとって面白く感じる部分かもしれません。あまり参考になさらないほうが賢明かもしれない、すみません・・・(それに、観るとか聴くとかあべこべに使ってしまいすみません。それはこのDVDが観ているのか聴いているのか分からなくなってしまうように作られているためです・・・)。
 あえて、私なりの聴き方でこのまま第6章全部をまとめてみます。私が全てを観終えて思ったのは、「じゃあ、鈴木さんはどうするの?」ということ。散々人のことを語っておいて、全然自分のことを話さないじゃないですか。もっと自分のことも考えていただきたい。押井さんもおっしゃっていた「あんたは何をやるんだ」という言葉を今一度、鈴木さんに投げかけたいです。
 ・・・いや、この考え方は間違っているかもしれません。鈴木さんは自分のことを考えている。ただ、相手のこと(多くの場合は宮崎さん)を考えることで、自分のことを考えようとしているだけかもしれません。
 その証左として、こんな言葉を見つけました。「みんな自分のことばかり考えていますよね。人のことを考えないと、自分のことなんて解決できないのにね」。Amazonにある『鈴木敏夫のジブリ汗まみれ 九十九の言葉』の内容紹介文に書かれていた鈴木さんの言葉です。
 これを材料に考えると、「宮崎駿は一体何処へ行くんだろう」が最大のテーマだと鈴木さんが言うのは、裏を返せば、「宮崎駿との関係が一番大事」で、「宮崎駿との関係の中で自分が何をするかに興味がある」ということを意味するのではないでしょうか。「宮崎駿は何処まで行くのだろう。同時に、じゃあ俺は何処まで行けるだろう」とワクワクしているのが「本当の鈴木さん」だと、私は第6章を観て思いました。まとめると、鈴木さんの口から出て、第6章のタイトルにもなった「宮崎駿は一体何処へ行くんだろう!?」という言葉は、同時に「鈴木敏夫は一体何処へ行くんだろう!?」も意味する、と私は思います。だから、この章は鈴木さんにとってとりわけ大事な章だと思うのです。


【モニター楽しかったです】
 落ちのつけ方が分からなくなりました。DVDを観ているときは最後に「鈴木敏夫は一体何処へ行くんだろう!?」という言葉で終わろうと思っていたのに・・・。どうしよう、もう書いてしまった。内容に関してはすべて書いた気がするので、DVDの商品的なことに言及します。
 間違いなくジブリファンの方には満足いくDVDでしょう。鈴木敏夫ファンにはお腹いっぱいなDVDです。それに、総勢79名のゲストのどなたかに興味がある人にとっても、ありがたいDVDでしょう。
 そして、最も強く言いたいのが、買わざるをえない、ということです。内容だけでも買わざるを得ないと思わされるのですが、時間がそうさせます。全部で40時間あるのです。この長さでは、レンタルしても1週間じゃ到底観終わりません(鈴木さんはここまで予測して一枚のDVDにしたのでは・・・と戦慄しました。恐ろしい人です)。買いましょう。・・・商品的なことを述べるとなんか下衆な文になりますね。落とし方に失敗した。どうやって終わろう?
 
 モニターというのは初めての経験でした。他の方々が観る前に観て、感想を書くというのは非常に恐ろしいことです。作品にレッテルを貼りかねません。なるべく慎重に書いてきたつもりでしたが、どうでしょうか?少しでも、このDVDに興味を持っていただけたのなら幸いです。私は、今から他の章を観始めます。
 
 モニターに選んでくださったTOKYO FMの方々、ありがとうございました。どうにか締め切りに間に合いました!