2017.12.10

長谷川穂積流「自分に勝つ力」を得る方法

プロゴルファーの丸山茂樹がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「五洋ホールディングス presents SUNDAY BACK NINE」。12月10日(日)の放送は、前回に引き続き、元ボクシング世界王者の長谷川穂積さんが登場。ボクシング引退から約1年を迎えた長谷川さんに、「自分に勝つ方法」や第2の人生について伺いました。

元ボクシング世界王者の長谷川穂積さん(右)と、パーソナリティの丸山茂樹



◆メンタルが強く影響する

丸山:スポーツ選手であれば“引退”は避けられない道ですが、いつぐらいから考え始めたんですか?

長谷川:バンタム級王者を10回防衛していたときは「いつかは引退するときがくるだろう」と思いつつ、「多分辞めないだろうな」とも思っていました。11回目の防衛戦で負けたときに初めて「(自分は)負けるんだ」と思って。そのあとフェザー級・スーパーバンタム級で2階級制覇したあと、その防衛戦で負けたときに「ボクシングを永遠に続けることは難しい」と引退を意識し始めました。

丸山:防衛戦で負けたときの原因ってなんだったの?

長谷川:バンタム級の防衛戦は完全に実力で負けました。その後の2敗は心の準備不足。モチベーションをうまく作れなかったんです。

丸山:僕は「体調が悪かったのかな」と思ったんだけど、体調は万全だったんだね。

長谷川:トレーニングは100%やっていたので、体調は万全でした。ボクシングは心が一番影響するんです。戦う理由を見つけられないときは負けましたね。

丸山:それを反省して、再挑戦をして勝つというのは、学習能力が人とは違うよね。格好良かったもん。

長谷川:失敗を失敗のままで終わらせないで、経験に変えるように心掛けました。

◆第2の人生はタイ料理屋!?

丸山:引退してから1年近くが経ちますが、今後の方向性を考えたりしますか?

長谷川:それがボクシング以上にやりたいことが見つかっていないんです。ボクサーってみんな、引退したら1回は廃人みたいになるんですよね。

丸山:バーンアウトみたいな?

長谷川:そう。で、そこから「やってみてもいいかな」ということを見つけて進んでいくことが多いんです。

丸山:それがまさかのタイ料理屋だった(笑)?

長谷川:タイ料理屋はただ好きでやっているだけなんですけどね(笑)。

丸山:パクチーは大丈夫なの?

長谷川:パクチーの枕で寝るのが夢ってくらいパクチーが好きです。(苦手な料理に)パクチーを入れるだけで魔法の料理に変わるんです。

◆「自分に勝つ方法」とは?

丸山:長谷川くんは現役時代41戦36勝5敗(16KO)という成績でした。よく「自分に勝つ」という言葉を言っていたけど、自分に勝つのって難しい。決まりごとはあるの?

長谷川:毎朝走ることですね。

丸山:減量もすごいよね。中日は「今日くらいは自分にご褒美をあげよう」とか思わないの?

長谷川:ないですね。減量中の中日は苦痛です。体を動かさないから体重が落ちないんですよ。だからサウナに行くんですけど、何キロも落とさないといけないので行っても楽しくない。

丸山:ずっとサウナに出たり入ったりするってこと? 水は飲むの?

長谷川:目標の体重に届くまでは、水も少しだけ。落とした体重の半分の量しか飲んでいませんでした。ホテルではよく半身浴をしていたんですけど、ずっと倒れていましたね。

丸山:ずっと(笑)!?

長谷川:バンタム級で1番しんどかったときは、半身浴をして立ち上がったら貧血と立ち眩みでバタンと倒れる、っていうのが当たり前でした。そういう意味では、減量が1番「自分に勝つ」の典型かも。

丸山:じゃあ歯磨きをしたときは壮快だね。口をゆすぐときとか、飲んじゃいたくならない?

長谷川:なります。子どもがトイレを流す音にも「あ、水が……」と過敏に反応してました。

丸山:そんなに辛い人生を歩んできたなんて尊敬する……。

長谷川:よく「自分に勝つためにはどうすればいい?」と聞かれることがあるんですけど、普段スポーツをやらない方も1キロでいいから毎朝走ることを続けてみたら自信が出ると思います。僕がいまだに走っているのは、体力をつけるためではなく、自分に勝って毎日走ることで、1日を気持ちよく生きるためなんです。

丸山:素晴らしい。何か1つを続けることで、「自分に勝った」という気持ちになれるということですね。

◆長谷川穂積の今後

丸山:今後の話にも少し触れたいんですが、年末年始の予定や来年の目標はもう決まっていますか?

長谷川:年末はテレビでボクシングを放送していることが多いので、いつもゆっくり家で過ごします。解説をすることがあれば行かせていただくんですけど。

丸山:たぶん呼ばれるでしょうね。

長谷川:あと、来年はジムをオープンしようと思っています。

丸山:タイ料理屋ではなく(笑)? ぜひまた今度、プレッシャーのかからないメンバーを集めてゴルフも行きましょう!

長谷川:いや、プレッシャーかかりますよ(笑)。

丸山:北島康介くんも100を切れなくて苦労していたけど、最近切れるようになって。きっかけなのよ。柔道の野村くんなんかも面白いから、今度ぜひアスリート仲間で行きましょう!

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【番組概要】
番組名:五洋ホールディングス presents SUNDAY BACK NINE
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:丸山茂樹
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/backnine/

組Instagram:@ sundaybacknine_tfm/
2017.12.3

長谷川穂積×丸山茂樹 ボクシングとゴルフの意外な共通点

プロゴルファーの丸山茂樹がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「五洋ホールディングス presents SUNDAY BACK NINE」。12月3日(日)の放送は、元ボクシング世界王者の長谷川穂積さんが登場。
現役時代はWBCのバンダム級、フェザー級、スーパーバンダム級と見事3階級を制覇した長谷川さん。当時の貴重なエピソードとともに、引退から1年がたった今について伺いました。

長谷川穂積さん(右)と、パーソナリティの丸山茂樹



◆「大人の青春が終わった」

丸山:引退から1年を迎えて、今はどんな心境ですか?

長谷川:練習は、行けるときは変わらず週4~5回は行っていますし、毎朝起きたら走っているので、自分の中で大きく変わったことはないんです。でも、やっぱり試合がないので、試合に向けての緊張感のようなものはこの1年なかったですね。

丸山:まだリングが恋しくなったりもする?

長谷川:ありますね……。

丸山:あんなにボコボコに殴り合っていたのに、まだ恋しいの(笑)!?

長谷川:一応チャンピオンのまま引退したので、「自分が一番強い」という感覚があって。だから強そうな選手を見ると、「こいつと戦いたいな」と思いますね。

丸山:ファイティングスピリットがどこかにまだあるんだ……スゴい。

長谷川:これは永遠に消えないと思いますね。

丸山:17年間ボクシング生活を送ってきて、一番印象に残っているのは何でしょう?

長谷川:僕、学生時代が子どもの青春だとしたら、ボクシングは“大人の青春”だと思っているんですよ。

丸山:カッコイイな、今の。

長谷川:それが1回終わったので、今おじさんの青春を探している最中なんです。しかし、ボクシングよりやりたいことというのが、この先出てこないなって。

丸山:ということは、若い人を育てたり、才能のある人を見つけたりという丹下段平(漫画「あしたのジョー」に出てくるトレーナー)みたいな人になる感じではない?

長谷川:(ボクシングに関しては)やり切った感があるので、次の後継者を探そうというのはまったくないですね。

◆3階級制覇時にぶつかった1.7kgの壁

丸山:3階級制覇という偉業に迫りたいと思うんですけど。そもそもこれってどれくらいすごいことなんですか?

長谷川:ボクシングって階級(ごとの差)が1.7kgずつしか変わらないんですよ。でも1.7 kg変わると、パンチ力や身体の強さが全然違う世界になるんです。ただ僕自身、今は3階級制覇が“スゴい”といえる時代ではないと思います。

丸山:そうなの!?

長谷川:昔はそんな人いなかったんですけど、今海外では6階級制覇してる人間もいるので。マニー・パッキャオという選手なんですけど。

丸山:あっ、パッキャオって6階級なの!? すごい人なんだね……。4階級かと思ったら6階級。

長谷川:4階級は結構いるんですよ。

丸山:(体重を)増やしていくほうが簡単なの?

長谷川:増やすほうが減量は楽になるんですけど、パンチ力が変わるんですよ。今まで(自分に)効かなかったパンチでも(階級が上の相手だとパンチ力が強いから)効くようになる。

丸山:1.7 kgの重さが加わると、それまで経験していたパンチ力以上の衝撃を受けるわけだもんね。いやー、スゴい。面白いな。

長谷川:僕は最初、バンタム級とその2つ上のフェザー級で2階級制覇したんですけど、そのときに対戦相手が「バンタム級とフェザー級では鶏と熊くらい違う。だからお前は勝てない」といっていて。そのときはたまたま勝つことができたんですけど、実際にやってみて「(自分のパンチが)こんなに綺麗に当たっているのに効かないな」というのはありましたね。

◆ゴルフとボクシングの共通点

丸山:僕、結構ボクシングが好きでいろいろな試合を観ているんですけど、悪いいい方をするとボクシングってほぼ喧嘩でしょ(笑)。本当の魅力がどこにあるのか聞きたい。

長谷川:辞めて気づいたんですけど、対戦相手と会話することってほとんどないんですよ。試合の前々日くらいに(対戦相手と)会って、会見をして、裸で計量して、試合が終わって、(海外の選手なら)次の日には帰るので。でも、テレビの企画で試合後に会いに行った選手が2人いるんですけど、10年以上仲のいい友達みたいな感じで接することができたんですよ。

丸山:ほとんどしゃべったことないのに? 記者会見なんて若干いがみ合いみたいな感じだよね。パフォーマンスなのかな、とは思うけど。

長谷川:でも、会話もしてないのに心から仲良くなれるんです。それはなぜかというと、リングの上で「あ……今、気が弱くなった」とか「一瞬ムッとしたな」とかがわかるから。(拳だけで)心の会話をしているような感覚なんです。

丸山:なんかゴルフのマッチプレーと似てる。ゴルフはマッチプレーが原点で、マンツーマンで戦って勝者を決めるものなんだけど、(相手が)「怒ってるな」「怖がってるな」「ビビり始めた」「緊張してるな」というのはスゴく伝わってくる。ストローク戦も相手がどんな心境なのかは見えるんだけど、マッチプレーは特に。(ボクシングもゴルフも)会話はほとんどなくても、(相手の気持ちが)伝わってくるという共通点があるんだね。

◆「対戦相手とはにらみ合わない」

長谷川:ゴルフでも、外国の選手によって戦い方が違うことはあるんですか?

丸山:タイガー・ウッズは僕と一緒にやるときはいつも調子悪いのよ。アメリカツアーに渡る前に世界選抜戦で当たったときも、ことごとく(僕が)勝っちゃうの。でも、2000年のPGAツアーの世界マッチプレーで当たったときに簡単にのされた(笑)。タイガーは「マルは調子こくから」って、わざと僕がドライバーで打った手前にピタッっとつけてプレッシャーをかけたりして、戦術をものすごく考えてた。「そんなにまで(僕を)意識してくれてたの?」って逆にうれしかったんだけどね。

長谷川:へー! 面白いですね!

丸山:ボクシングと似ていて、ゴルフでも相手をイライラさせたりするような駆け引きはすごくする。ボクシングだと加減はしないだろうけどね。「ジャブは撫でるだけにしよう」とか「体調悪いフリしよう」とかはないでしょ(笑)。

長谷川:あ、でも計量のときはありましたね。計量のときってよくにらみ合いするじゃないですか。でも、にらみ合ったりすると自分も相手も力が入っちゃうんで、笑顔で「明日よろしくお願いしまーす」みたいな感じで、「コイツには勝てるんちゃうかな」と相手に思わせる雰囲気を出していました。

丸山:対戦相手はにらみ合いたいのにね。

長谷川:(対戦相手に)拍子抜けさせるのはずっとやっていましたね。

丸山:えーすごいね、それ(笑)。


次回、12月10日(日)の放送も、引き続き長谷川穂積さんをゲストに迎え、お届けします。お楽しみに!

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【番組概要】
番組名:五洋ホールディングス presents SUNDAY BACK NINE
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