今日のスタジオにお迎えしたのは、ゲームプランナーの松尾憙澄さん!
プレイステーションの人気ゲーム、『ムーン』を制作された方です。
『ムーン』といえば、我がHummingbirdのスタッフの中にも、
「大ファン」を公言する男女がいる、というほどの人気ゲーム。
それって、いったいどんなゲームなんだろう?
そして、それを作った方ってどんな方なんだろう?と、興味シンシンで松尾さんをお迎えしました。
松尾さんは、大きなめがねの奥の目がとても優しい、いわゆる「ゲーム好き」な感じとは、
かなり一線を画すタイプの男性でした。
何でも、昔はヒッピーでいらした、というご経歴を聞いて、なんとなく納得してしまうような、
可愛らしいお帽子もかぶっていらっしゃいました。
そんな松尾さんに、「ムーンって、どんなゲーム?」というシンプルな質問をぶつけてみました。
すると、「愛を集めるゲームなんです」という、不思議な答えが。
ハチドリ高柳も、昔はロールプレイングゲーム(=RPG)と呼ばれるゲームをやっていた、
隠れゲーマー。
かなりの凝り性の性格が災いし、一度ゲームを始めると他のことすべてがおろそかになる、
という自分の実態を知っているため、今はゲーム断ちをしている、といっても過言ではありません。
そんな私の中でのRPGといえば、旅をする途中で魔物を次々倒し、経験値を上げ、
仲間をみつけ、そして最後の大いなる怪物を倒すとアガリ、というゲーム。
「愛を集める」とは?と、ちょっぴり不思議に思ってしまいました。
それが、ムーンでは全く逆なのだそうです。
ゲームの中で主人公は、自分の目の前に「勇者」がいるのを、後ろから見つめています。
その「勇者」が、これまでのRPGのように次々と動物を倒して殺していくのを、
ただ見つめているわけです。
そして自分にかせられたミッションは、その動物の魂を救い、その「愛」を集めること。
愛を集めていくことで経験値が上がり、どんどん強くなり、
最後には女神の元にたどり着くのだそうです。
これはかなり斬新!
今まで、「ゲーム=殺すもの」というイメージは当たり前のように定着していましたが、
確かに、いくら自分が勇者だからといって、また、いくら相手が魔物だからといって、
それをばっさばっさと切っちゃあ殺していくことが、子供の健全な精神の発育に、
いい影響を及ぼすわけがありません。
そういった子供は、自分の望みが通らなかったときにすぐ、
相手を「倒す」ことを考えてしまうのではないでしょうか。
松尾さんは、「このゲームで最後までいった人は、
どんなことがあっても、人を傷つけるようなことはできなくなると思います。
また、子供向けのものは、例えば絵本のようなものもそうですが、
人を攻撃することを推奨するようなものであってはならないと思います。」と、
おっしゃっていらっしゃいました。確かに、本当にそうですよね。
哀しいニュースが多い最近の日本で、「いったい子供たちはどうしてしまったのだろう?」と、
かなり危機感を持っていたハチドリ高柳は、今日の松尾さんとのお話の中で、
少しのヒントをいただいたような気がしたのです。
やっぱり子供には、嬉しい感情とか、あったかい気持ちとか、愛とかを、
たっぷりたっぷり感じさせてあげることが、何より重要なんじゃないか、って。
殺伐とした気持ちとか、孤独とか、人より上にいってやろう、みたいな闘争心とかって、
できるだけ感じさせないであげたほうがいいんじゃないかって。
テレビゲームをほとんど知らず、
大きな目をいつもきらきらさせて「キョウコっ!!」って抱きついてきてくれた、
コスラエの子供たちを思い浮かべながら、ちょっぴり複雑な気持ちになってしまった、
ハチドリ高柳だったのでした。