2011年3月30日
このコーナーが始まってからの1年半を振り返って
望月:先週は、日弁連も東日本大震災の義援金を受け付けているというお話しがありました。あらためて義援金の詳細を教えて下さい。
中田:日弁連のホームページで震災に対する義援金のお願いをしています。
一般の方も義援金を出して頂ければ、被災地の方々に対する無料の法律相談ですとか、弁護士活動だけではなく赤十字を通じて被災された方への支援のお金になったり、そういう使い方をします。
ぜひ、ご協力頂ければと思います。
望月:日弁連の弁護士の方の安否情報も載っていますね。
中田:日弁連会員の被災した弁護士もたくさんいます。
そういった方々の安否情報もホームページに載っています。
望月:今回のこういった災害を受けて、法律を変えざるをえないことってありますよね。どういう風になっていくんですか。
中田:法律というのは、人間の社会で起きる色々な問題を想定して作っていくのですが、こういう非常事態に全部対応できるほど、網羅的に作られているわけではないのです。
しかし、こういう事態になると、何をどうすればいいのかを細かく決めなければいけません。
そういう意味では、時間を限って適用する特別立法をしたり、いつでも適用できる法律の中でも、こういう事態についてどんなケアをしていくのか詳細に丁寧に決めていくことになります。
法律は堅苦しいところがあるのですが、みなさんの生活を支えていくベース、ソフトなのです。
いわゆる、ソフトインフラと呼ばれていて、人間が生きるための知識や環境を作っていかなければなりません。
そのためには、環境や状況の変化を臨機応変に取り入れていく必要があります。
法律も進歩しなければいけないということになるのです。
望月:法律って硬いものじゃなくて、私たちの生活をより良くしていくものなんですよね。
中田:そういうことです。
望月:そしてこのコーナーは今週で最終回です。この1年半でも弁護士さんを取り巻くや法律の世界も変わってきたんじゃないですか。
中田:そう感じています。
一番大きいのは裁判員裁判が始まったことで、それもだいぶ定着してきたのだろうと思います。
法律関係者ではない方、リスナーの皆さんにとって裁判は遠いところにある存在でした。
しかし、裁判員裁判が行なわれたことで、どんな人も裁判員として裁判に関与する機会が出てきて、法の世界や裁判の世界に興味を持って頂くことができるようになりました。
これは、とても良いことだと思います。
もちろん、裁判というのは良いところも悪いところもあります。
裁判員裁判は刑事事件なので、人が殺された現場や人間関係のドロドロしたところなど、非常に衝撃的なものをみるわけです。
そういうものは、できれば見たくないというのが人間の心理で、ましてや、その人をどういう運命に導くのか、例えば、死刑や無期懲役といった人の運命を左右するということはとても重いことです。
できればしたくない、でも、せざるを得ない世界があるということを考える機会ができたということになります。
法に限らず、人間が生きていくためにはどういうことが起きるのかということを、身近に感じることができるようになったのは、大きいと思います。
我々弁護士にとっても、皆さんがそういう感覚を持ち始めたことは、良い悪いは別として切実に感じます。
望月:裁判員裁判が始まって、弁護士はこうあるべきだということも見えてこられたのではないですか。
中田:法律というのは、専門家のものだという意識がどうしてもあるのです。
説明をする時にも、これは一般の人に言っても分らないだろうということはたくさんあったかも知れません。
しかし、裁判員裁判がこれだけ皆さんの興味と関心を集めたことで、きちんと自分も理解して相手にも理解させて、法というのは一体なんなのか、なぜ、こういう結論が出るのか相手にも分るように説明しなければいけません。
そして、相手を納得させるためには自分も納得しなければいけないのです。
当たり前のことですが、そういったことを弁護士や法律関係者も自分のこととして感じるようになってきています。
望月:本当に分らない人達に教えなければいけないんですよね。そういう意味ではこのコーナーもそうでしたね。
中田:1年半やらせて頂いて私が言いたかったのは、法というのは知識ではないということです。
もちろん、条文や考え方は紙に書いてあったり、凡例という形で存在します。
あるいは、習慣だって法の一部になったりしています。
そういう意味で法は、知識ではなくてものの考え方、大げさに言えば生き方というものなんだよ、と私なりに言いたかったのです。
ですので、みなさんもこれから先、色んなことが起きてそれに対処していかなければいけません。
そういう時に、法律ではどうなっているか以前に、自分はどういう風にしたいのか、どう考えていくのか、それが法律的なものの考え方に繋がっていくのだということに気づいて、自信を持って対処していくべきだと思います。
一人一人のその取り組みが、人間の社会の自由や民主主義社会を作り上げていくのです。
望月:そこから集まって社会になっていく。いかに自分に自信を持って責任を持つか。
中田:責任というと重いですが、やっぱり責任なのです。
その前に自信を持って対処できるように。それが法の考え方なのです。
望月:ありがとうございました。またぜひBLUE OCEANにもご出演下さい。
中田:はい。また、別の機会でよろしくお願いします。

