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2009年03月27日

森博嗣氏「DOG & DOLL」刊行裏話その3

前回に引き続き「DOG & DOLL」の話。

この本は森博嗣さん初の音楽エッセィ本というわけで、
森さんがどんな音楽をどういう状況で聞かれているか、なんて話も度々出てきます。
だったらやっぱりご自宅の音楽環境を取材したい!!
というわけで、コニシー、M賀氏、ハヤシの3名で森邸までお邪魔したのでありました。

まずは早速、「DOG & DOLL」の表紙にもイラストで登場してもらっている愛犬
(シェットランドシープドッグ)のパスカル氏がお出迎えしてくれました。
可愛えぇ。。。
よ〜し、よしよしよし……と、動物好きのハヤシはムツゴロウ化。
その愛らしい歓迎ぶりに敬意を表し、本の奥付の「Special Thanks」欄にもちゃんと
パスカル氏の名前を入れさせていただいたのでした。

そして取材開始の前に、「欠伸軽便鉄道弁天ヶ丘線」の機関車に乗せてもらえる
という光栄にも預かったのであります。
森さんの多趣味ぶりはファンにはよく知られているのですが、
中でも機関車模型の世界では有名な第一人者でもあり、
ご自宅の敷地内にミニチュア機関車用の線路を敷いて、
「欠伸軽便鉄道弁天ヶ丘線」と名付けていらっしゃるのです。

ミニチュアと言っても、途中に立派なレンガ造りの陸橋があったり、
走行できる距離もかなり長くてビックリするほど本格的。
その弁天ヶ丘線を、森さんご本人が運転する機関車で一周させていただいたのですが、
風向明媚な景色を眺めながら風を切る気分は最高で、大感激。
そのほか、リビング、仕事部屋がわりのガレージ、更にはトイレの中に至るまで、
カラフルな機関車や飛行機の模型、可愛いキャラクター人形、様々な工具などなどが
所狭しと並んでいて、それはもうおもちゃ箱をひっくり返したかのように
楽しい空間なのです。
あっちを見ては「キャー!」、こっちを見ては「ヒョエー!」という具合に、
初めてディズニーランドに行った時くらいにワクワクしてしまいました。
こんなに出張で楽しい思いをしたのは、社会人歴○十年にもなるハヤシにとっても
初めてのことかも……などと、役得に感謝感謝。(笑)

普段は永遠と続く校正作業やら、シビアな交渉ごとなど地道な仕事ばかりなので、
たま〜にこれくらいの楽しい思いをさせていただくくらい、許してやってくださいまし。
そのワンダーランドのようなご自宅を取材した模様は、
「DOG & DOLL」のカラーページで紹介していますので、是非ご覧になって下さいね。

さて、この「DOG & DOLL」を既に書店で見かけられた方は、
ひょっとするとあることに気付かれたかも知れません。
あることとは、この本全体が音楽エッセィにちなんで
CDジャケットのパロディになっているということ。
版形が若干横長のほぼ正方形だったり、通常の帯は表紙の下に横長でかかっているのが、
この本では表紙の左端に縦長でかかっていたり、
コンテンツの名称も“SIDE A〜D”“SPECIAL TRACK”だったり、
そして何より、イラストが某有名海外アーティストの
有名レコード・ジャケットのパロディになっているのです。
それが誰のどんなレコードのパロディかわかりますか?
音楽通を自認する方は是非書店でご覧になって、答えを考えてみてくださいね。



投稿者 ハヤシ : 15:34 | コメント (0)

2009年03月13日

森博嗣氏「DOG & DOLL」刊行裏話その2

いよいよ本日、森博嗣さんの音楽エッセィ「DOG & DOLL」発売開始!!
というわけで、前回に引き続き「DOG & DOLL」のお話。

この本に関しては、ハヤシも編集を手伝うことになっていたため、
まずは森さんにご挨拶をせねばと、編集担当のコニシーと共に
ご飯をご一緒させていただくことになりました。

森さんといえば超人気作家さんだし、気難しいお方だったらどうしようと、
お会いする前はドキドキだったのですが、実際のご本人はとても気さくで楽しいお方。
しかもしかも、森さんが生まれてから学生時代まで過ごされた名古屋のご実家と、
ハヤシ(=バリバリの名古屋っ子)の実家がかなり近所だということが判明。
あそこのお店がどーだったとか、学校ではこーだったとか、
めちゃめちゃローカルな話題で盛り上がってしまいました。

特に驚いたのが、某短編小説に出てくる殺人事件が、
名古屋のとある小さな病院で起きた実際の殺人事件を参考にしているということを、
ハヤシが言い当ててしまったこと。
「あの殺人事件って、私が幼少期に通っていた○○病院で起きた事件に
シチュエーションが似ているんですが……」と申し上げたら、
「そうだよ。あれを参考にしたんだよ。当時、家族があの病院でお世話になっていてね」と。
殺人と言っても特に有名な事件でもなく、もうウン十年も前の話なのに、
ほんの数行の殺人シーンを読んだだけでその事件を思い出した自分にもビックリ。
なんだか不思議な縁を感じてしまったのです。
もちろんハヤシが一方的にそう感じているだけなのですが。(笑)

そしてもうひとつ盛り上がったのが、名古屋メシの話。
名古屋メシとは、櫃まぶしとか、味噌カツとか、天むすとか、手羽先とか、
いわゆる名古屋名物のご飯のことです。
その中でも特に盛り上がったのは、「あんかけスパゲッティ」の話。
この「あんかけスパゲッティ」は、名古屋以外の土地では殆ど食べることができない
超ローカル・メニューなので、コニシーたち他府県出身者には全く未知の食べ物。
「オレンジ色のどろっとしたソースが極太パスタにかかっていて、
味はデミグラスソースとケチャップ味を足して割った感じに少し近くて、
更にスパイスを効かせて……」と森さんとハヤシで一生懸命説明はするものの、
ピンとは来ない様子。

そこで、取材のため名古屋の森さん宅に出張訪問をすることになった際、
コニシーとライターのM賀氏と3人で、「まずは本場のあんかけスパゲッティを
食してからお宅に伺おう!」ということになったのでした。
そしてネットで検索したお店に意気揚々とGO!
しかし、予想外に駅から遠くてやっとの思いでたどり着いたと思ったら、
お店が閉店していたのでした。
ガガーーーンと、すっかりショックを受けながら大慌てで近くのテキトーなお店でランチをし、
森さん宅に向かったのですが、約束の時間から10分ほど遅刻をしてしまいました。
冷や汗をかきながら、「実は、遅刻した原因は、あんかけスパゲッティでして……」と
正直に説明したところ、笑って許してくださったので、ホッと一息。(恥)

そんな訳で、いきなりの遅刻から始まりながらも、
とっても楽しかった森邸取材については、次回コラムで!
※次週は祝日のためメルマガ休止につき、3月27日号につづきます。


投稿者 ハヤシ : 15:54 | コメント (0) | トラックバック

2009年03月06日

森博嗣氏「DOG & DOLL」刊行裏話その1

前回ご紹介した森達也さんの新刊「マジョガリガリ」は、大変好評につき現在品薄状態。
嬉しい悲鳴とはこのことでございます。

さて、今日はもう1人の「森さん」、森博嗣さんの
来週・3月13日(金)に発売される音楽エッセィ「DOG & DOLL」のご紹介。
森博嗣さんと言えば、映画「スカイ・クロラ」の原作や、
「すべてがFになる」をはじめとするS&MシリーズやVシリーズなど、
ミステリィを中心に多数の本を出されている大ベストセラー作家。
なんと、著作発行部数は累計1,000万部超!!

TOKYO FM出版の本は、殆どが番組関連とか音楽関係のものばかりなので、
いわゆる「小説家」さんの本というのはあまり出していません。
しかも、森さんクラスの人気作家さんだと、普通は大手出版社さんから刊行される本の予定で
何年も先までスケジュールが埋まっているので、TOKYO FM出版のような
小出版社が入り込む余地は殆ど無いというのがトホホな実情です。
では、なぜ今回「DOG & DOLL」の出版が実現したかというと、
ある社員の熱い熱い情熱があったからなのです。

その社員とは、TOKYO FMの音楽携帯サイト“MUSIC VILLAGE”を担当しているコニシー。
彼は学生時代から森さんの熱烈なファン。
いつか一緒にお仕事をしたいという一念で、
『“MUSIC VILLAGE”で音楽エッセィの連載をしませんか?』
というメールを送ったのが全ての始まりだったのです。
でも当初、コニシーは自分が昔からの大ファンだということは、
森さんご本人にはひた隠しにしていました。
著名人とお仕事をする場合、「ファンです!」ってことを
前面に出しながらだと逆に相手に嫌がられる場合もありますし、
仕事は仕事として個人的感情を入れずにクールに進める方が良かったりしますから。

しかしながら、彼は小説の内容などはもちろんのこと、
森さんの個人的な趣味嗜好のことまであまりに詳しいので、
相当なファンだってことはかなり早い段階で
ご本人にもバレていたようなんですけどね。(笑)
そのあたりのエピソードは、「DOG & DOLL」のあとがきで
森さんが書かれていらっしゃるので、是非読んでみてください。

・・・と、ちょっと話が横道に逸れてしまいましたが、
コニシーからのメールをご覧になった森さんが、
「森博嗣に音楽のエッセィを依頼するなんて発想がかなり突飛だ、
と思ったので敬意を表してお引き受けすることにした」(本文より)と、
なんとも広いお心で“MUSIC VILLAGE”で週に1回、
2年に渡ってエッセィを連載してくださることになったのです。

そして、昨年1年間に渡って連載されたそのエッセィをまとめたものが、
書籍「DOG & DOLL」になったというわけ。
ちなみに2年目の現在は、タイトルを「TRUCK & TROLL」に一新し、
“MUSIC VILLAGE”で好評連載中でございます。
おっと。
この「DOG & DOLL」に関する話はちょっと長くなりそうな予感。
続きは次週!



投稿者 ハヤシ : 15:23 | コメント (1)