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2009年06月12日

「ブーアの森」の出張色校正・その1

前回のコラムの最後にチラっと書いたように、ハヤシは先週の金曜日、
沼津への日帰り出張を敢行いたしました。
で、何が目的の出張だったかと言いますと、増刷作業を急ビッチで進めている
忌野清志郎氏の絵本「ブーアの森」の色校正。
んん??色校正とは、何ぞや?
と、疑問に思った方に、ここでちょっと解説いたしましょう。

カラーの印刷物を作成する際、色がきちんとイメージどおり、
現物どおりに印刷されるかどうかを必ず事前チェックします。
これがすなわち、色校正の作業。
特に、写真やイラストなどを印刷する場合、原本どおりに色が再現できているか、
入念なチェックが必要になるのです。
通常は、印刷会社さんが原稿を手元まで届けてくれるので、それを見ながら、
「ちょっと青が濃い」とか、「肌色が暗い」とか、細かい指定を入れていきます。
ただ、この色校正用の原稿は、あくまでも仮印刷のため、
本番印刷の色合いと微妙に違ってしまうという難点があるのです。

で、今回印刷する「ブーアの森」は絵本。
つまり、絵が命。色が命。
ちょっとでも色のニュアンスが違ってしまったら、
それは作者である清志郎さんの意図とは違ってしまうということなのです。
そこで、「ブーアの森」の印刷会社である図書印刷さんの沼津工場まで行って、
本番印刷用の機械で刷った原稿のチェックをして来たというわけ。

当日の午後イチ、図書印刷・営業部長のT中さんに連れられて、
風光明媚で知られる千本松原のすぐ隣の工場に到着。
晴れた日なら富士山も見えるらしいのですが、その日はあいにくの雨。
う〜ん、残念。
って、別に観光に来たのではないのですがね。
仕事じゃ、仕事。
そしてお茶を一杯いただいた後、広大な工場の中をずんずん歩いて、
「ブーアの森」を印刷している機械の所へ。
そこには、出力したばかりの原稿と、印刷部長のT橋さんほか、
数人の印刷工さんが私を待ってくださっていました。

その印刷工さんの中に、いかにも「職人」という風貌の方がいらっしゃったのですが、
この方はI川さんとおっしゃって、既に定年退職された超ベテランで、
業界では名の知れた元印刷部長とのこと。
ナント、今回の印刷を完璧な色で仕上げるために、
T中さんが特別に呼んでおいてくださったのです。
その職人的お仕事ぶりには、ハヤシ、惚れ惚れ。
「ちょっとここの青を濃くして欲しいのですが、肌色はこのままキープを」
とかお願いすると、
「じゃぁ、青のナンチャラを&%$#……」
と、専門用語で他の印刷工さんたちに指示をして、機械の数値をピピピと操作。
そして刷り直された原稿を見ると、
私のイメージ通りの色に仕上がっているじゃないですかっ!!
「印刷」って、機械的な技術だけではなくて、
熟練した人の技やセンスが出来上がりを左右するお仕事なのだと、改めて実感。
スゴイな〜。

(話が長くなりそうなので次回に続く)


投稿者 ハヤシ : 2009年06月12日 16:43

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