あなたのキレイと元気を磨く!「植物の力」で美しいライフスタイルを!

5000年以上の歴史を持ち、クレオパトラも愛した植物との暮らし。植物と向き合い、植物の声を聞くライフスタイルや、ボタニカル・フードのとっておきレシピ。植物の世界からあなたに届く「美しい贈り物」です。

―この番組は、2021年3月で終了しました。―

2017.04.14

Botanical Books8
桜を撮る一期一会のまなざし『SAKURA』

  • BotanicalBooks
冬を過ごした心に華やぎをもたらしてくれる桜。その短い美しさをとらえ、残し、伝えるために、独自の手法で桜を撮る写真家、鈴木理策さん。日本の自然の美、桜が一冊の写真集に収められています。

©2016 Risaku Suzuki / Courtesy of Taka Ishii Gallery, Christophe Guye Galerie


「植物」に関しての名著や新刊書、写真集、そしてグッズなどをご紹介する「ボタニカルブックス&グッズ」。今回は独特のまなざしで桜を撮影する写真家・鈴木理策さんの新作写真集『SAKURA』(edition.nord)をご紹介します。


『SAKURA』とは?
美しい色彩感覚で、時間や空間を見事に切り取る写真家・鈴木理策さんの最新写真集が『SAKURA』(edition.nord)です。1995年から、作品のテーマとして桜の花とレンズを通して向き合い、多くの作品を発表してきました。ある時、奈良・吉野山を訪れ、ふとしたきっかけで迷い込んだ山に咲く桜の幻想的な空間に魅せられ、それからは毎年、桜を求めて撮影の旅を続けています。 今回収められた桜の写真は、昨年、奈良・吉野山、そして東北・弘前で撮影が行われたものです。


桜と出会って感動する心と向き合う
鈴木さんの写真の特徴は「絵」として桜の花や風景を切り取るのでなく、桜の中に自ら身を置き、桜と向き会い、その心の震えや心の揺れを写真を通して表現していること。満開の桜咲く空間に迷い込んだかのように、ピントの差違により生まれた空白が奥行きと広がりを感じさせてくれます。同時に、自然に吹く風さえもが表現され、めぐり来た春に満開の桜と向かいあう喜びが満ちています。

©2016 Risaku Suzuki / Courtesy of Taka Ishii Gallery, Christophe Guye Galerie


そして、今回の作品集の最大の特徴は、散り舞いおちた水面一面に浮かぶ無数の「桜の花びら」。弘前城のお堀を埋め尽くすピンクの花びらと、枝に咲き乱れる花が、より立体的で華やかな構図でその場所ならではの桜の美しさを実感させてくれています。

©2016 Risaku Suzuki / Courtesy of Taka Ishii Gallery, Christophe Guye Galerie

©2016 Risaku Suzuki / Courtesy of Taka Ishii Gallery, Christophe Guye Galerie

©2016 Risaku Suzuki / Courtesy of Taka Ishii Gallery, Christophe Guye Galerie


「写真は証拠。説明するのではなく、桜を見て人の気持ちが震え、揺らぐ感覚を作品にしたい。風景ではなく、桜を見て感動するその時の心を撮りたい」、そんな思いでとらえられた去年の桜は、今年もその美しさを伝えています。


日本の美を生み出す、移ろうものへの愛情と視点
桜以外にも鈴木さんは、波や水など一瞬に現れ、姿を変え、消えるものを捉え続けています。輝くような緑に溢れる新緑の季節の熊野の森、すべてを白く覆いやがて春とともに消えてゆく雪、一心に咲き乱れ、時を短くして散りゆく桜。季節とともに生まれ、姿を消し、やがて季節が巡り来ることで再び生まれる生命への憧れ、喜びが作品の根底に流れています。同時に、それこそが日本人の美意識の基本にある世界観。四季があることで日本に生まれた多くの言葉や表現。その多様さは些細な違いかも知れませんが、その違いこそが「味わい深さ」に繋がるもの。写真も、些細な違い、移ろいを捉えることで「味わい深さ」が生まれる。日本に生まれた自分が表現できる面白さは、日本の四季や自然を置いて他にはない。これが鈴木さんが思う日本の四季、日本の美への思いです。

「桜の開花のピークはたった半日ぐらい、そんな花や植物は他にはない。 だから、自然を撮る中でも桜は特別。桜の満開が近づいても、ピークの手前に雨が降ることもある、風が吹くこともある。その年それぞれ違いがあり、同じ桜を同じ場所で二度とは見ることはできない。そんな変化や違いがあるから、桜に惹かれるのかも知れない。この時期には気持ちがはやります!」今年も桜を追う鈴木理策さんの旅は、吉野、弘前へと続きます。


TOKYO FM「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。

また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送しているノエビア「Color of Life」。4月は料理家の有元葉子さんを迎えてお届けしています。どうぞ、お聞き逃しなく。


鈴木理策(すずき・りさく)
写真家。1963年和歌山県生まれ。1987年東京綜合写真専門学校研究科修了。2000年第25回木村伊兵衛写真賞、2006年第22回東川国内作家賞、2006年和歌山県文化奨励賞、2008年日本写真協会年度賞、2015年さがみはら写真賞を受賞。写真集に『White』『Stream of consciousness』(共にedition.nord)、『海と山のあいだ』(アマナサルト)、『Atelier of Cézanne』(Nazraeli Press)、『熊野 雪 桜』(淡交社)、最新刊は『SAKURA』(edition.nord)。2006年より東京藝術大学美術学部先端芸術表現科准教授。

edition.nord 
新潟を拠点にアートブックを出版する独立系出版社。2009年の立ち上げ以来、鈴木理策氏をはじめさまざまなアーティストとの協働を続けている。日本だけではなく海外からも注目を集める。
『SAKURA』は以下の同社のサイトから購入可能。
4月下旬に一般書店にて販売開始予定。
http://editionnord.com/

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