先月、アルピニストの野口健さんが
新書をPHP新書から出版されました。
そのタイトルは
『震災が起きた後で死なないために
 〜「避難所にテント村」という選択肢』


野口さんは昨年、熊本地震が発生した際、
ヒマラヤのベースキャンプをモデルに
益城町で被災者向けのテント村を
およそ1か月半運営しました。





































ずらりとテントがならぶ様子を
報道で目にした見た方も多いかもしれません。
ただ、野口さんはその中で、
日本の避難所が抱える現実に直面したそうです。

実は世界には、災害や紛争など
人道支援が必要な現場でも、
個人の生活を尊重するための国際基準があるんだそうです。
避難所の一人あたりのスペースの広さなどについて
示されている『スフィア基準』と言うものなのですが、
これが日本では浸透していないため、
避難所の環境が先進国の中でも遅れていると言います。
だからこそ、野口さんは
『テント』の大切さを訴えています。


 避難所に求められているのは、
 雨風をしのぐというのは当然ですが、
 それだけではない。
 人間は精神的な生き物です。
 家を失ったり、仕事を失ったり、
 中には家族を失ったり、
 色んなものを抱えて、皆さん集まります。
 前を向いて生きていかなくてはならない中で、
 「どういう空間を演出していくか」というのが
 すごく大事。
 テント村がすごく喜ばれたのはまず、
 自分たちだけの空間になれる。
 そして、大型テントだったので
 10畳くらいのスペースを一家で使える。
 また、アウトドア用品なので、写真だけみると、
 テント村はキャンプ場のようなんです。
 雰囲気がもの凄く明るい。
 僕はスフィア基準を何も知らずに
 テント村を運営しましたが、
 色んな専門家の方がテント村に調査にきて、
 結果的には国際基準に相当該当していると
 言われました。
 テント村がすべてカバー出来るとは思いませんが、
 色々な選択肢があればいいなと思います。



確かに、避難所は震災後の生活を再建していくための
スタートの場所でもあるので、
前向きな気持ちになれる場所をつくる、という
視点が大切なんですね。

来週は、野口健さんに
私たちが震災のために備えるべきことを伺います。


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