宇陀日本酒と原風景の街
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ON AIR REPORT

宇陀日本酒と原風景の街

清酒発祥の地

ふぅ…。
朝から商談の連続で、すっかりくたびれた。
それに、腹も減った…。
新緑の爽やかな香りより、いまは店から漂う料理の匂い。
趣のある宿場町の風景より、テーブルに並ぶ絶景だ。

「出張先で、空腹で倒れるわけにはいかない」
そんな言い訳を自分に言い聞かせ、迷わず暖簾をくぐる。
「ザ・昔ながらの居酒屋」といった様子の店内を軽く見渡し、
はやる気持ちを抑えて品書きを開く。

手招きするかのように、名を連ねる銘酒たち。
そりゃ、喉も鳴らずにはいられまい。

働く男の、ささやかな晩餐。
先付けの「ごぼうと大豆の煮物」に箸をつける。
わざわざ注文はしないが、結局、こういうのが一番いいんだ。
女将さん、よくわかっていらっしゃる。

「どうせなら、飲んだことのないものを」
と選んだ銘柄は、口当たりはすっきりとしているのに、余韻が残る。
米の美味さが、身体の隅々まで染みていくようだ。

これは、出会ってしまったな。
思わずこぼれた笑みを隠すように、顔の前でもう一度品書きを開いた。

INFORMATION

奈良県と三重県の県境、「大和高原」と呼ばれる高原地帯に位置する奈良県宇陀市は、周囲を山々に囲まれた自然豊かな地域で、歴史も古く、「古事記」や「日本書紀」にも記述が見られます。
宇陀は、京都と伊勢などをつなぐ交通の要所。豊臣秀吉の家臣や、織田信長の次男・織田信雄といった、名だたる武将たちによって収められ、城下町として発展を遂げていきました。
そんな宇陀の名物の一つが、日本酒。奈良は「清酒発祥の地」とされ、古くから酒造りが行われてきました。水質も良く、寒冷なこの地では、伝統的な酒蔵がいまなお醸造を続けています。また、その豊かな土壌で育った「宇陀金ごぼう」や「黒大豆」といった農作物は、日本酒との相性も抜群。互いにその味を引き立て合う名物として愛されています。
旅人の心を「ほろり」とほぐすこの街も、奈良交通のバスは走る。

バスが走り始めて100年

目を開けると、そこには人々と自然が共生する、
まさに「原風景」という言葉がピッタリの景色が広がっていた。

都会とは違う、ゆったりとした時間の流れの中を、バスは進んで行く。

このまま通り過ぎてしまうのは、なんだかもったいないな。
ぼんやりとそんなことを考えていたら、気づけばバスを降りていた。
予定にはなかったことも、忙しない日常では味わうことのできない、旅の醍醐味だ。

午後の日差しとそれを包み込むような暖かい風が、気持ちを優しくさせてくれる。
何を見るわけでもない、何をするわけでもない。
いま、ただここにいるだけ。

やがて、少しずつ太陽は西に傾き、東の空にはうっすらと月が浮かぶことだろう。

「今日」が終わり、「明日」がやってくる。
この場所にも、そして、私にも。

INFORMATION

古くから、交通の要所や城下町として栄えた宇陀には、初代・神武天皇や、第33代・推古天皇が足を運び、その後も、多くの歴史的な人物がここを訪れたといわれています。
その一人が、飛鳥時代の歌人・柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)。
「東の野に炎の立つ見えてかへり見すれば月傾きぬ」
万葉集に収められた、人麻呂の代表的なこの歌は、宇陀の地で詠まれたものです。
東の野に朝の光がさすのが見えて、振り返ってみると月は沈みかけている。そんな情景に、当時の変わる時代の移ろいを重ね合わせ、詠まれたものとも解釈されています。
この地に、バスが走り始めたのは1917年。新たな時代の到来から、今年はちょうど100周年にあたる節目の年。
時の流れを空が映すこの街も、奈良交通のバスは走る。

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