三島せせらぎの中に香るキンモクセイ
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三島せせらぎの中に香るキンモクセイ

水に恵まれたその街並み

窓の外に目をやると、いかにも清涼な川の流れ。
湧き水が豊かなこの街は、「せせらぎの街」と呼ばれているそうだ。
水に恵まれたその街並みは、初めて訪れた者にもとても優しい。

余裕をもって、早めに到着してよかった。取引先との約束までは、まだ少し時間がある。
「よし、次のバス停で降りてみよう」

僕が生まれ育った街にも、川はあった。
でも、その水はお世辞にもきれいと呼べるものではなかった。
だからこそ、こんな風景に憧れがあったのかもしれない。
街中なのに、手のひらですくってゴクゴクと飲みたくなる、
その美しい水の流れは、まさに清流と呼ぶにふさわしい。
飛び石を行く子どもたちの賑やかな声が、せせらぎをかき消す。

今度は季節を選んで、息子たちを連れて来てみようか。
運がよければ、ホタルを見ることができるかもしれない。

出張先で、来年の楽しみができた。

INFORMATION

静岡県東部、伊豆半島の中北端に位置する三島市。江戸の昔から宿場町として栄えたこの街を、 当時の旅人たちは「箱根の西の麓にある水の都」と賞賛したそうです。
市内を流れる源兵衛川(げんべいがわ)は、富士山の伏流水(ふくりゅうすい)を水源とする美しい清流。 三島が舞台となっている文豪・太宰治の作品「老(アルト)ハイデルベルヒ」には、 源兵衛川の様子も描かれており、 水上通り(みなかみどおり)にはその一節が記された石碑が建てられています。
源兵衛川のちょうど中間地点に位置するのは「水(みず)の苑緑地(そのりょくち)」。 カワセミなどの野鳥がさえずる自然豊かなこの公園には、数カ所の湧水ポイントがあり、遊歩道などから四季折々の水辺の景観を楽しむことができます。 毎年5月から6月にかけては、ホタルも見られるそうです。
富士山からの湧水が流れる美しい水の都も、バスは走る。

キンモクセイが香るこの街を、バスは走る

ピークタイムにはまだ少し早いだろうか。いつの間にか車内は、ほぼ満員になっていた。
ドアが開閉するたび、人いきれの中を、甘い香りがかすかに漂う。

後方から、初々しいカップルの会話が聞こえてくる。
スマホ片手か、必死に盛り上げようとする彼氏の話に、 彼女は興味がありそうで、なさそうで…。

「そういえば、手を繋いでくれるの、遅かったな…」
若い2人のほほえましいやり取りが、記憶の断片を紡ぐ。
口下手で、不器用で、きっとサプライズなんて考えたこともない…、
そんな彼に会いに行く、このバスで過ごす一人の時間が好きだった。

ほどなくして、アナウンスが目的地のバス停を告げた。

甘いキンモクセイの香りはもう消えていた。

INFORMATION

静岡県三島市は、三嶋大社の門前町として発達したことから、 それに由来して、地名も三島と称されるようになった、という説があります。古くから伊豆国(いずのくに)一宮(いちのみや)として信仰を集め、 源頼朝(みなもとのよりとも)が平家討伐の旗揚げを行い、源氏再興を祈願したことでも有名な三嶋大社。
その最大の見所の一つとされるのが、境内に生育する大きなキンモクセイです。
樹齢1200年以上とも言われるこのキンモクセイ、実は花の色などから、 キンモクセイではなく、よく似たウスギモクセイではないかと推定されていますが、 国の天然記念物に指定された際、その名称は「三島神社のキンモクセイ」とされました。
1回目の花が散ったあと、2回目の花を咲かせる、 いわゆる「二度咲き」の性質を持つことでも知られる神木(しんぼく)の香りは、 満開時には、風に乗って8キロ以上も先まで届くと言われています。
天然記念物のキンモクセイが香るこの町も、バスは走る。

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