南砺守られる伝統と新たな文化
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ON AIR REPORT

南砺守られる伝統と新たな文化

美しい世界遺産の町

これといった理由もなく、一人でふらっと何処かへ行ってみたくなる。
誰でも一度や二度、そんな気持ちになったことはあるはずだ。

なぜだろう。
田舎の風景は、都会育ちの人間にとっても、どこか懐かしい。
こんな場所で暮らしたこともなければ、訪れた記憶もないというのに。
でも、不思議だ。やっぱり懐かしい。

そういえば、小学生の時、数ヶ月だけクラスメートになった転校生がいた。
「田舎から来た」、そう言っていたあの子は、こんな自然の中で育ったのだろうか。
ようやくクラスに溶け込み、みんなと仲良くなったころ、彼女はまた転校していった。
お別れの日、「またね」とだけ言って、小さく手を振った。

今頃、彼女はどうしているのだろうか。

あてのない旅の先で、思い出に、風景が上書きされた。

INFORMATION

富山県南砺(なんと)市、相倉(あいのくら)口のバス停のほど近く、そこには五箇山(ごかやま)の合掌造り集落が広がっています。
合掌造りは茅葺きの屋根が特徴的な家屋で、岐阜県の白川郷とともに、平成7年、「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として、ユネスコの世界遺産に登録されました。
現存する合掌造り家屋の多くは、江戸時代末期から明治時代に建てられたものですが、最も古いものは17世紀にまでさかのぼると言われています。
白川郷と比べて手付かずの場所が多く、素朴な原風景が残る五箇山合掌造りは、平家の落人(おちうど)の哀愁を奏でる「麦屋節」や、およそ1400年前から歌い継がれる「こきりこ」など、五箇山民謡とともに大切に守られている文化です。
時の流れが止まったかのような、美しい世界遺産の町も、バスは走る。

新たな文化を刻む

夕方、いつもの時間に、いつもの場所から乗ったはずなのに、
車内はいつもより混んでいた。

ぼんやりと窓の外を眺めると、林に囲まれた社が見えた。
夕陽が木々に遮られ、そこだけ一足早く、夜を迎えている。
無邪気に駆け回る小学生の顔だけが、なぜか暗がりに浮かび上がるように見えた。

そういえば、東京の小学校に転校した時、親切に学校を案内してくれた男の子がいた。
「田舎から来た」と私が言うと、
「田舎ってどんなところ?」と、彼は興味津々といった様子で尋ねてきた。
そしてようやく仲良くなったころ、私はまた転校することになった。

今頃、彼はどうしているのだろうか。

私は今もこうして、田舎で暮らしているよ。

INFORMATION

富山県の南西部に位置する南砺(なんと)市は、平成16年に8つの町村が合併し、誕生しました。
南砺市の北東の平野部には、瑞泉寺(ずいせんじ)門前の古い町並みから木槌の音が響く、信仰と木彫りの里・井波があります。
江戸時代中期、瑞泉寺本堂の彫刻再建のため、京都本願寺より、彫刻師・前川三四郎が派遣されました。
この時、地元大工4人が参加し、彫刻の技法を習ったのが井波彫刻の始まりです。
昭和に入ってからも寺社彫刻は活発で、東本願寺、東京築地本願寺、日光東照宮など、全国各地の寺社・仏閣の彫刻を数多く手がけ、昭和50年には時の通産大臣より伝統工芸品の指定を受けました。
現在では、伝統工芸だけでなく、展覧会などの作家活動も盛んに行なわれ、伝統は形を変えながら、今日も大切に受け継がれています。
守り、受け継ぎ、変えていく。
新たな文化を刻むこの街も、バスは走る。

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