草津心と身体を温める名湯
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ON AIR REPORT

草津心と身体を温める名湯

目と耳でも楽しめる湯畑

「なんにもしないを、しに来たんだ。」
父が言っていた言葉の意味が、今の私にはよく分かる。

幼いころ、忙しい父が珍しく、
旅行に連れて行ってくれたことがあった。
温泉から上がった父は、縁側でくつろぐ猫のように、
いつまでも畳の上に寝転んでいた。

「せっかく旅行に来たのに、外に遊びに行かないの?」
退屈そうに訪ねる私に、父は言った。

「大人になると、やらなきゃいけないことが沢山あるんだ。
だから今日は、なんにもしないを、しに来たんだ。」

父の笑顔を思い出しながら、窓の外に目をやると、
町の中心にぼんやりと、白い湯気が立ち込めていた。
その湯気は、忙しい大人に声をかけ、優しく身体を包み込む。

棚にしまっていたジャケットをそっと下ろすと、
外を見ていた息子が振り返った。

「ねぇ、着いたら、どこに行くの?」

INFORMATION

「草津」といえば、真っ先に思い浮かぶのが、「草津温泉」ではないでしょうか。
古くから、地元の人や旅行客に愛されてきたこの温泉は、日本三名泉の1つに数えられる名湯。江戸時代の温泉番付でも、当時の最高位である「東大関」に格付けされていました。
6つの大きな源泉からは24時間豊富なお温が湧き出し、訪れる人の心と身体を温めます。湧き出るお湯の量は日本一を誇り、毎分32,000リットル以上。1日で、ドラム缶約23万本分に相当します。
「草津温泉バスターミナル」からほど近く。温泉街の中心に位置する湯畑は、言わずと知れた草津のシンボル。
そのデザインを手掛けたのは、当時この町のホテルに泊まっていた芸術家、岡本太郎です。湯畑の周辺は、瓦を敷きつめた歩道と石柵で囲まれ、湯上がりの火照った身体を冷ますには、もってこいの公園になっています。
滝のように湧き出る温泉と、それを包み込む真っ白な湯気。全国的にも珍しいこの光景は、旅行客の目と耳も楽しませてくれます。
世界中の旅人を、温かく迎えるこの街を、ジェイアールバス関東のバスは走る。

かつての恩を語り継ぐ

観光客に紛れて、バスに揺られる。
この中で、実家に帰る途中、なんていうのは、きっと私ただ一人。

温泉街で生まれ育った自分にとって、
「草津出身」という言葉には、特別な意味なんて感じなかった。
ただの不便な田舎町。そんな風に思っていた。

憧れの東京に行きたくて、死に物狂いでした受験勉強。
出発の朝、母は寂しそうにバス停まで見送りに来た。
ぐんぐん離れていく故郷の景色を、私は一度でも振り返っただろうか。
その目は真っ直ぐ、大都会を向いていた。

そんな憧れのはずの東京で、会う人会う人に羨ましがられた。
家族と、友人と、恋人と。私の故郷を訪れたときの話をしてくれた。
その顔は、みんな決まって幸せそうで。
人の思い出になる、そんな土地で生まれ育ったことを、急に誇らしく感じられたことを覚えている。

バスを降り、温泉街を抜けていく。
変わった名前の道が見えてくると、家はもうすぐそこ。
時間がゆっくり流れるこの街で、私だけが足早に歩いていた。

INFORMATION

国内はもちろん、海外からも観光客が訪れる日本の温泉。その中でも草津温泉は、早くから世界にその名を知られた、草分け的存在でした。
その鍵を握るのは、明治時代にこの地を世界に紹介してくれた、ある人物。彼の名は、ドイツ人医師・エルヴィン・フォン・ベルツ博士。
明治9年、日本政府の要請で来日。現在の東京大学医学部の教壇に立つと、それから26年にも渡り、日本医学の発展に貢献し続けました。
そんなベルツ博士が日本に滞在した間、たびたび訪れたのが、草津温泉。
温泉を分析し、医師として、正しい入浴法を指導すると共に、「草津は高原のリゾートとして最も適した土地である!」「こんな場所がもしヨーロッパにあったら、どんなに賑わうことだろう!」と称え、草津の名を世界に広めました。
草津温泉バスターミナルから、15分ほどの場所にある「ベルツ記念館」、町の北側を通る道「ベルツ通り」など、町の随所に見られるその名前。草津の住民はその恩を忘れることなく、今でも「草津の恩人」として、その功績を後世に伝えています。
かつての恩を、世代を超えて語り継ぐこの街を、ジェイアールバス関東のバスは走る。

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