八戸産業都市とウミネコの楽園
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ON AIR REPORT

八戸産業都市とウミネコの楽園

日本一空が遠い場所

それは、偶然の出会いだった。

ホテルのロビーに置かれていたパンフレットを何気なくめくっていると、
一枚の写真が目に留まった。
青空の下に、ポッカリと空いた白い巨大な穴。
その、今までに見たことのない景色の正体は、「石灰石の採掘場」だった。

展望台から見降ろすと、目の前には、果てしなく広がる荒涼とした大地。
これが全て人の手によって掘られたとは…、にわかには信じがたい。

これまで、たくさんの国々を巡ってきた。
その度にいつも「自然には敵わない」、そんな気持ちにさせられてきた。
でも、今日は違う。
どうして…。人間の力もあなどれない。
その気になれば、なんだって出来る。

突然脳裏をよぎったのは、半ば諦めかけていた、あの子のこと。
よし。
数年越しの片想いに決着をつけるべく、その景色に別れを告げた。

INFORMATION

青森県・八戸市は、東北有数の産業都市です。太平洋に面し、工業によって栄えたこの街を象徴するのが、「八戸石灰鉱山」。コンクリートやセメント、製鉄の材料として使われる、石灰石の採掘場です。
採掘によって生まれた谷状の地形から、ついた愛称は「八戸キャニオン」。掘って、掘って、掘り進めた結果、最も低い位置は、海抜-170m。陸地の中では最も標高が低いことから、「日本一空が遠い場所」とも呼ばれています。
今もなお、拡大を続ける敷地面積は、南北に2km、東西に1km。人間が作ったものとは思えないそのスケールの大きさに、思わず圧倒されます。年間およそ500万トンの石灰石を生産していますが、それでも、向こう100年は石灰石が採れるだろうと言われています。
採掘された石灰石を海沿いの埠頭へと届けるのは、総延長10kmにも及ぶ地下ベルトコンベアー。工場でセメントへと加工された後、船に乗せられ、国内外へ向けて出荷されます。
高台に建つ展望台からは、そんな八戸キャニオンの全容を大パノラマで味わうことができます。
唯一無二の景色が広がるこの街も、国際興業のバスは走る。

「神の使い」が飛び交う街

数年ぶりに、実家に帰る。
本当なら今頃は、もう着いていてもいいはずなのに。
私はというと、つい、バスを途中下車。
立ち寄った海岸で、ウミネコと戯れていた。

それにしても、よく人に慣れている。
じっと見つめられても、写真を撮られても、みんないっさいお構いなし。
カメラを向けられると、いつも同じ表情になる私とは大違いだ。

子どものころ、我が家に一匹の柴犬がいた。
警戒心が強く、カメラを向けると、いつも大騒ぎして逃げていった。
そのくせ、おやつをくれる人のところには尻尾を振って飛んでいく。
おかげで残っている写真は、何かを食べている姿ばかりだ。
そう、ヤツはいっつも食べ物のことしか頭になかったんだよなぁ…。
まったく…、犬は飼い主に似るって言われるんだから…。

日が傾き始めると、ウミネコたちは巣に帰っていった。
よし、私もそろそろ帰るとするか。
今夜はなんだろう…、やっぱりいつものハンバーグかな…。

INFORMATION

八戸港から東へ、種差海岸を歩くと聴こえてくる「ミャアミャア」という独特の鳴き声。その声の主は、「猫」ではなく、「ウミネコ」です。
古くから、八戸の漁師にとってウミネコは、魚の集まる場所を教えてくれる「神の使い」とされてきました。長年大切にされてきたことで、いつしか、安心して子育てをすることが出来る、彼らにとっての楽園となりました。
そんなウミネコたちが特に集まるのが、海岸の最北端に位置する陸続きの小さな島「蕪島」。ウミネコの繁殖を間近で観察することができる国内唯一の場所で、国の天然記念物にも指定されています。
ウミネコが飛来し子育てを行うのは、3月から8月頃まで。その数は3万羽から4万羽にも上り、島全体が真っ白に見えるほどです。ちょうど今頃は、卵からヒナが孵る時期。ここからおよそ2ヶ月で大人となり、8月には島を旅立っていきます。
大切に守られた「神の使い」が飛び交うこの街も、十和田観光電鉄のバスは走る。

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