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“ひふみん”こと加藤一二三さんが語る将棋の世界  (2017/10/14 放送)

今週は、将棋棋士の加藤一二三(ひふみ)さんをお迎えしました。

今年6月に現役を引退した加藤一二三 九段は、1940年1月1日、福岡県生まれの77才。戦後間もない小学校4年生で本格的に将棋を始めたそうで、その頃、新聞の将棋欄の観戦記を読んだ時に「将棋の本質を掴んでプロになれると思った」というから凄いですよね。

「要するに、将棋というものは良い手をずっと指し続けていくと勝てるというふうに私は汲み取ったんです。同時に、この世界は私の世界だと思って、プロになれるというような気持ちを持ちました。4年生の時ですね。なれると思ったその予感は間違っていませんでした。後にプロとなって、名人にもなったり、とにかくかなり勝ちましたからね。成功したと思っています」

「見て覚えたんですよ。小学校4年生の時とは言いますけれども、実は5才ぐらいの時に覚えて将棋を指したんだけども、勝ってばかりでつまらないから将棋を4年生までやめてました。もう指せば勝つわけですからね」

羽生善治さんに「加藤先生は子供の頃どうやって将棋の勉強をしましたか?」と聞かれた時も「いや、大して勉強してないよ」と答えたという加藤さん。小学校6年生の時には、当時のトップ棋士だった升田幸三さんから「この子、凡ならず」と才能を認められたとか。

「将棋は基本的にはひらめき、第一感、これが大事ですね。だから盤面を見た瞬間に、一番良い手はこうだろうなというのが、プロは…少なくともわたくしは95%浮かんできています。才能ですよね」

「数学で言うと、将棋の変化、可能性は10の220乗あるそうです。ということは、変化だけで言えばいっぱいあるわけ。それをプロはパッと盤を見た瞬間に、あ、これだっ!ってのがわかるわけです」


そして14才7ヶ月という史上最年少で、四段になった加藤さん。「この世界は四段がプロです」ということで、当時は四段になると月給に加えて、対局料、優勝すれば賞金が貰え、社会保険や退職金もあったとか。また、1局の対局料は安くても初任給と同じくらいだったそうです。

さらに18才でA級八段となり、「神武以来(このかた)の天才」と呼ばれた加藤さんは早稲田大学に進学。あえて大学に進んだことについてはこんなふうに話してくれました。

「八段になってたし、いちおう棋士としての将来性は見えてたから、同時に、例えば歴史とか国語とか社会とか好きな学科もあったから、視野の広い人生をおくりたいと思って大学に。挑戦だったので、私が早稲田大学に入学したことは朝日新聞の社会面の記事になりました」


ちなみに、昨年、加藤さんを超える史上最年少プロ棋士となり、進路が注目されている藤井聡太さんについて、加藤さんはこんなことをおっしゃっていました。

「一つは、藤井聡太さんね、やっぱり試合の数が多いんですよ。だから仮にこれで高校に進んだ場合、なかなか進学するのは大変かというふうに私は思ってるんですけどね」

「完全にマイペースでいいと思いますよ。藤井さんが高校に行かなくて将棋一本でトップを目指すという選択も大いにあると思ってます」

「私が引退する時に藤井聡太さんが、俊英が出てきたっていうことは大変素晴らしい新興ぶりだと思ってまして。というのはね、藤井聡太さんの誕生で空前の将棋ブームになってます。例えば、将棋を覚えたい子供達が3割増えてます。それから将棋の盤と駒は一セットだいたい3000円ぐらいで買えるんだけども、手頃な将棋の盤と駒のセットが全部売り切れです」


音楽が大好きだという加藤さん。クラシックに興味を持ったのは小学生の時だったそうです。

「地方の小学校だったんですけども、ちゃんと教室にはバッハとかモーツァルトとかベートーベンなどの大作曲家の肖像画もかかってました。教室で見た時、彼らは大音楽家で、私はこの人たちの曲を聴く日が来ると思いましたよ。1年生で」

「時々、対局中に自分の頭の中で音楽が鳴っている時があります。この曲が頭に浮かんできた時は調子が良いっていうのがあるんですよ。例えば、ちょっと渋いですけども、モーツァルトの宗教曲が戦いのさなかに浮かんでくる時は大体勝てるんです(笑)」

「音楽と将棋っていうのは共通点がありまして、勝負の時の緊張感、それとクラシック音楽の聴こえてくる演奏の緊張感は非常に良く似ています。それと、次々と一瞬一瞬で曲が展開していきますけれども、将棋も一手一手、新しい景色が展開していくんですよね」

来週も引き続き、加藤一二三さんをお迎えします。 
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