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トウキョウハナコマチ

アスファルトを剥がし時代を遡る
東京の過去を旅するタイムリープ・コーナー。

※こちらに掲載されている記事の内容については諸説あります。

ネギと江戸っ子


2018.2.14 (wed)

お鍋に、薬味に、あらゆる料理で存在を発揮するネギ。ネギが広く食べられるようになったのは江戸時代で、そのきっかけはやはり「お蕎麦」でした。

元々、蕎麦につける薬味として推奨されていたのは、辛味大根のしぼり汁でしたが、ピリっとした辛みを持つネギは、辛み大根と同じように、江戸っ子に愛されたのです。

さらに、江戸っ子が大好きだったのが「ねぎま鍋」。鶏肉の間にねぎをはさんだ焼き鳥の「ねぎま」ではなく、江戸時代「ねぎま」といえば、「ネギ」と「まぐろ」の「鍋」のこと。

当時とても安い食材だった「まぐろ」と、身近な食材だった「ネギ」は相性抜群で、塩や醤油で味付けした汁をはった鍋に、マグロを角切りにしていれ、ネギと一緒にふうふういいながら食べるのが、庶民にとって、冬の定番メニューでした。

そんな「ねぎま鍋」をテーマにした落語も存在します。その名も「ねぎまの殿様」。こんなお話です。

向島のあたりに雪見にでかけた殿様が、道中、煮売り屋からただ寄ってくる、あまりにもいい香りに惹かれ立ち寄ることに。そこで出会ったのが、人生はじめての「ねぎま鍋」。「殿が庶民の食べ物を口にするなど!!」と家来が止めるのもきかず、醤油樽に腰をかけ、汁がたっぷりしみ込んだネギをひと口…。あまりの美味しさに、お酒もすすみます。

翌日、その味が忘れられず、台所番におなじ鍋を用意させる殿。そして、煮売り屋で、腰を掛ける時に醤油樽を使っていたことを思い出し、家来に「オイ!樽をもってこい」と言うのがオチ。ねぎまは、そうやって樽に腰をかけて食べるものだと思い込んでいる殿様の、世間の風俗からズレているその価値観を笑いのネタにするというものです。

おいしいだけじゃない、笑いのネタとしても活躍するネギ。江戸の人にとってやっぱり欠かせない存在だったんですね!