今月ご乗船いただいているのは、人気雑誌『LEON』編集長の前田陽一郎さんです。

仕事も含めて、旅の経験も豊富な前田陽一郎さんにお話をうかがっていきます。
第4回目の旅先は、前田さんの故郷「三重県の伊勢」について、お話を伺いました。


ー ”そこで何をするか、感じるか”という旅のスタイルに変わってきていると思うんですよ ー



干場「三重県にはいつくらいまで住んでいたんですか?」

前田「厳密に言うと、僕は伊勢市の隣町にある玉城町という小さな町出身なんですね。
恵まれていたのは、そこには田丸城というお城跡があって。
うちは代々、老中の家系で、大手門という一番重要な門の位置する場所に今も自宅があるんですよ」

干場「そうなんですか!」

前田「自分がある程度年齢を経てから、”そんなすごい場所に自宅があるんだ!”と気付いたんですよ(笑)」

干場「はい(笑)」

前田「子供の頃から庭のように遊んでいたのは、お城跡が自分の遊び場だったんです(笑)」

干場「すごい場所ですね、聞いてビックリしましたよ」

前田「伊勢市内まで7〜8キロしかないので、伊勢神宮にも、友達と自転車で遊びに行く感じだったんです」

干場「そんな前田さんが、”ここだけは見ておいたほうがいい!”という場所はあるんですか?」

前田「これから注目してほしいのは鳥羽のエリアで、合歓の郷というのがあるんです。そこにアマンリゾートの、アマネムができたことで有名になって…。サミットがあった、志摩観光ホテルという巨大ホテルがあったりとか。
志摩・鳥羽地区が、いま、かなりいいホテルが出来つつあってオススメなんですよね」

干場「なるほど〜」

前田「特にオススメしたいのは、ジ・アースというホテルがあって、ここは国立公園の中にホテルがあるんですよ。
国立公園という自然の中に宿泊できるというのは、なかなか面白い体験じゃないかなと思います」

干場「確かに」

前田「観光地を見て回るという旅のスタイルから、徐々に”そこで何をするか、感じるか”という旅のスタイルに変わってきていると思うんですよ。僕がここのところ楽しんでいるのは、観光地ではないところで地元の人と接してみたり、話をするのが楽しいかな」

干場「前田さんの人生において、旅とはどんなインスピレーションを与えてくれるものでしょうか?」

前田「僕にとっては旅そのものがインスピレーションであって、どこへ行っても常に発見と出会いがある。
それは国内も海外も、どんな国であろうと、どんな土地であろうと、そこには自分を新しく作ってくれる何かが必ずある。それが僕にとっては旅だし……今日、靴を履いて外に出た瞬間から家に帰ってくるまでは、もしかしたら旅の一部なのかもしれないし、日常すべてが旅なのかもしれない。
というと、僕に影響を与えてくれるものが、すべて僕にとっては旅かなと思っています」

「寄港地でお酒を購入して持ち込みは可能?」

保木「現地のワインとか『船に乗って飲みたい』ってなりますよね。
もちろんセキュリティは通りますけど、現地で買ったお酒を船に持ち込んで、もしくは自分が飲みたいお酒を持って行って、
持ち込みの場合、コルクチャージがかかる場合もありますけど、仲間たちと飲むことができるんですよ。

船の方もいろいろなワインをご用意していて、現地に合ったものを、そこで仕入れたりするんですよ。
航海中にオススメのワインとして提供する場合もあります。酔っ払っても、お部屋まで帰るのはすぐですからね(笑)」

今月ご乗船いただいているのは、人気雑誌『LEON』編集長の前田陽一郎さんです。

仕事も含めて、旅の経験も豊富な前田陽一郎さんにお話をうかがっていきます。
第3回目の旅先は、「マレーシア・ボルネオ島」について、お話を伺いました。


ー 食と言葉と、あらゆる文化がカオスになっているんですよね ー



干場「マレーシア・ボルネオ島には、いつ行かれたんですか?」

前田「15年ほど前に、奥さんに『オランウータンを見に行かない?』って言われて(笑)。
街といっても、当時ボルネオは開発途上の場所だったので、山の方へ入っていったり、それこそ高さ数十メートルの木が茂ってるんですね」

干場「すごいですね〜」

前田「木と木の間を橋で繋いであって、高さ数十メートルの上を吊り橋で歩くみたいな、ジャングルトレッキングというのができるんですよ」

干場「それはホテルに泊まったんですか?」

前田「そうですね。でも、ホテルというのもいわゆるコンクリート造りのホテルじゃなくて、ポリネシアンスタイルの、窓もなくて、屋根だけがあって。
ホテルのレセプションがジャングルの中に突然現れるんだけど、レセプションから奥に入っていくと、突然海が開けるっていう場所だったんですよ」

干場「すごい綺麗な場所じゃないですか」

前田「自然と一体になれるような、ホテルとも言いにくいような……コテージというのが一番ぴったりくるかも」

干場「現地の希少動物も見たんですか?」

前田「いっぱい見ましたよ(笑)。へんちくりんな色したカエルとか、あと、擬態化するような虫とかね。
他にもトカゲやヘビみたいなのもいたけど、とにかく動植物の数がすごいんですよ」

干場「なるほど〜」

前田「面白かったのはリバークルーズ。今でも、エコツアーとかエコトレッキング、エコツーリズム、流行りじゃないですか。
当時は、まだそれほどでもなくて。僕らも意識して行ったわけではないんだけど、結果的には、自分にとって初めてのエコツーリズム体験だったんですよね」

干場「リバークルーズをされた時は、どんな感じだったんですか?」

前田「丸一日かけて、ボルネオ島のジャングルを分け入りながら行くんですけど。
ホタルのなる木っていうか、時期にもよると思うんだけど、木毎にホタルが生息していて。
夜になると、まるでそこにライトが仕込んであるように、ホタルが一斉に光り始めるんですよ」

干場「何匹もってことですか?」

前田「そうですね。木がチカチカ点滅してるようなクリスマス状態。それをとにかく見たくて、その日はリバークルーズを楽しんだんだけど。
誤解なく言っておくと、ボルネオっていうのは国の名前ではなくて島の名前で。僕が行ったのはボルネオ島のマレーシア領に行ったんだけど。一方でインドネシア領もあって。それからブルネイ領も一部あります」

干場「ブルネイはお金持ちの国っていいますよ」

前田「ボルネオ島っていうのは、その島の中に三国の領土があるという面白い場所なんですよね」

干場「面白いですし複雑ですよね」

前田「ブルネイに行くと、ものすごい豪華な世界が待っているんだけど。その周辺のインドネシア領になると、もともと話す言葉も、インドネシア語、マレー語を話す人もいる、英語、フランス語が通じる場所もある。食と言葉と、あらゆる文化がカオスになっているんですよね」

「外国船籍のクルーズで日本語が通じるクルーズ船は?」

保木「外国船籍、基本的に船内はすべて英語なんですね。
日本近海をクルーズする場合、日本のお客様も多いということで、コーディネーターが乗っている場合が多いんですね。

例えばプリンセスクルーズ、コスタクルーズは常に日本人が乗っていますので安心だと思います。
雰囲気は外国なのに、日本語が通じるって嬉しい船の旅ですね。

クリスタル・クルーズという船は、いつも日本人のアクティビティ・ホステスという女性が乗っています。
フロントにも日本語を喋るバイリンガルの女の子が乗っているので、日本人にはとっても乗りやすいラグジュアリー船ですね」

今月ご乗船いただいているのは、人気雑誌『LEON』編集長の前田陽一郎さんです。

第2回目の旅先は、「モンテネグロ」について、お話を伺いました。


ー あの静かな海をヨットで渡れば、そこにモンテネグロがあるんですよ ー



干場「今回はモンテネグロの旅について伺っていきたいと思います」

前田「国といっても、人口が60万人しかいないので非常に小さい国なんですね。
切り立った崖のような山と、アドリア海に面した国なんです」

干場「城壁に囲まれているイメージですよね」

前田「モンテネグロっていうのは、歴史的にはいろんな国に支配された場所、小さな国が寄り添うにようにして出来上がっている国なんですね。
自分たちの村や町、都市を守るということが続いてきたので、町々が城壁に囲まれているんですよ」

干場「映画で言うと『紅の豚』みたいな場所ですよね」

前田「アドリア海に面した国なので、イタリアからのアクセスがものすごくいいんですよ。あの静かな海をヨットで渡れば、そこにモンテネグロがあるんですよ。『モンテネグロ』という国の名前自体も、実はイタリア語なんです」

干場「そうなんですか」

前田「『モンテ』が山、『ネグロ』は黒、だから『黒い山』なんです。
常緑樹が多い山が多くて、常緑樹って遠くから見ると黒いじゃないですか?
なので、イタリア側から見ると『黒い山がそびえる国モンテネグロ』っていう名前がついたくらい、イタリアからの文化が入ってきてるんですよね」

干場「モンテネグロの食事はどうでしたか?」

前田「東欧諸国の食文化と、イタリアの食文化が合致するような場所だったらしくて。ピザやパスタがあるんですよ。
一方で、ソーセージみたいな肉や豆料理が案外たくさんあったり。魚料理は、完全にイタリアの影響を受けてると思いますね」

干場「アドリア海を挟んで対岸がイタリアですからね。振り返ってみて、今でも心に強く残っている風景はありますか?」

前田「けっして裕福な国ではないなっていう印象はあって、それは物価が非常に安い部分にも表れているし。それらは、いまのモンテネグロを見たときに歴史の一コマが残っているものであって、マイナスを感じる空気はなかったですね」

干場「なるほど」

前田「宮崎駿さんが『紅の豚』の時に描いた、赤い屋根と白い壁、朽ち果てた城壁に囲まれた街。
切り立った断崖絶壁のような山ばかりなんだけど、その山の上から眺めた時の印象は日本やアジアにない風景なんですよね。
僕が見たヨーロッパの町々にも、なかなか見られるような景色じゃなかったのが、すごく印象的だったかな」

干場「そうなんですね」

前田「いま、海岸沿いに、どんどん豪華クルーザーが停泊できるようなハーバーが出来上がっているんですよ」

干場「観光地としても、力を入れてきてるってことですよね」

前田「そうだと思いますね。いい宿泊施設があって、開発されきっていない自然が残っている。
実は独立紛争があちこちで起こった時に、破壊されてしまった街もあるみたいなんだけども。
およそ、その修復も終わって。旧市街地なんかは非常にいい町並みが戻ってきているので、一度行ってみるべきですね」

「保木久美子さんからのお知らせ」

保木「『クルーズフェスタ2016』が行われた、晴海の客船ターミナルってご存知ですよね。
2020年、オリンピック・パラリンピック大会までに、新しい客船ターミナルを建築中、整備を進めているんです。
レインボーブリッジの外側に、4階建てのターミナルで、大きな屋根の日本らしい木を使った建物を作っているんですよ。東京都は、すごく力を入れていますね。

一番大きな船は、5000人くらい乗ってる船があるわけじゃないですか。
いま、パナマ運河も広くなりましたし、太平洋側に大きな船が出てくることを考えると、やはり東京として受け入れられる港があるとね…やっぱり、ターミナルがないと、税関の問題とか、雨が降っちゃったりしたときに、外国のお客様をお迎えするのに貨物のターミナルというわけにいかないんですよね」

今月ご乗船いただくのは、人気雑誌『LEON』編集長の前田陽一郎さんです。

第1回目の旅先は、前田さんがお仕事でもよく行かれる「イタリア」について、お話を伺いました。


ー お互いフィフティーの関係でいるためには、気は使うけれども使いすぎない ー



干場「『LEON』というと、イタリアっていうイメージがありますけど。前田さんもイタリアには相当行ってますよね?」

前田「相当行ってますね(笑)」

干場「イタリアの中でも、”ここが好き”っていうのはあるんですか?」

前田「僕らにとって、ミラノやフィレンツェって仕事をする場所じゃないですか。
そういうことも含めて考えていくと、マルケ州とか」

干場「またピンピイントできましたね。なぜ、マルケなんですか?」

前田「とにかく行く機会が多くて、マルケはシューズのブランドがたくさんあるんですよね」

干場「有名ですよね、例えばTOD'Sとかね」

前田「あとはSantoni。プライベートでお付き合いさせていただいてる人達がやっているブランドで。
街並みや、そこにある自然も美しいんだけど、人が合う…それをすごく感じる場所なのかな」

干場「マルケに滞在する時は、どんな風に過ごすんですか?」

前田「友達のような付き合いをさせてもらっているので、Santoniなんかだと、ジュゼッペ・サントーニという、彼がいまの社長なんですけど。僕と一歳違いで、一つ上の先輩になるんだけど。
初めて取材で訪れたときは、前後1日は『ゆっくりと、この街を見てくれ』っていう時間をもらって」

干場「また、いい取材じゃないですか(笑)」

前田「”ここを見てほしい”っていうのが、”自分たちのルーツを知ってほしい”っていう接し方をしてくるんですよね。
だから、観光地用に案内するというよりも、”自分たちが何を食べて、何を見て、この商品を作ってきたか”を、見てほしいと…そこで共感を得てほしいということを、僕らにアピールしてくるんですよね。それが郷土愛にあふれているんです」

干場「確かにそうですね」

前田「人に惚れるとともに街に惚れる。それが僕にとってのマルケ州なのかな」

干場「前田さんの中でも、印象的なんですね」

前田「イタリア人気質っていうのかな、一番いいところが色濃く残っていて。同時に、自然も低い丘と綺麗な海が残っている。素晴らしい場所だと思いますね」

干場「出張の時の旅のスタイルは、どういう風にしていくんですか?」

前田「もちろん気は使うんですけど、クライアントさんに阿ったファッションをしようと思ったことはあまりなくて。
TOD'Sであれば、TOD'Sを履いていけば喜んではくれるんだけど、むしろ彼らに対して、何かアイデアを与えてあげられるようなものとか、『いま、こういうものが僕は面白いと思ってる。例えば、このジャケットね……』という感じで、
それを見せてあげたほうが、『なるほど、それを僕らなりに落としたら、こういうことが出てくる可能性がある。それは売れると思う?』って」

干場「逆に聞かれるんですね」

前田「聞かれて、『それ、すごい面白いと思う。やってみようよ』というような、お互いフィフティーの関係でいるためには、気は使うけれども使いすぎない、お互いに何かメリットがあるような関係」

干場「なるほど〜」

前田「ジャケットは最低限、必ず持っていきますね」

干場「イタリアの場合は、特にそうですよね」

前田「イタリアの場合は、襟のついてないものを極端に嫌うんですよね。
今でも忘れないのが船上パーティーのときに、『船=ダブルのジャケット』というのは間違いないわけで。それを意図的にやって、もちろんデッキシューズを持って行きました。
で、ファッションって面白いなって思ったのが、いろんな人達から『すごいエレガントだな!そのジャケットはどこのだ?』とか、声をかけられたんですよ。旅っていうのは、そこの文化を理解して、ここにはこういう文化があるから、こういう色の服を着ていくと、どういう風に見られるのかなとかね」

干場「”郷に入っては郷に従え”というかね」

前田「そういうのを楽しむために洋服を持っていく、旅の準備をするっていうのは、よくやってることかな」


「船内の食事はどんな感じなのでしょうか?」

保木「みなさん、ここも気になるところですよね。
日本船、外国の船、いずれの船も、お食事は本当に最近クオリティが高いんですよ。
大きな船になると、20箇所くらいレストランがありますね。

また、レストランは一緒でも、お客様が飽きないようにメニューを毎日変えてるんですよ。
ウェイター、ウェイトレスの方達は、雰囲気を変えるためにユニフォームを変えるんですよ。例えば、フレンチナイトだと、ビストロ風のユニフォームに着替えたり。
お客様が一緒で、レストランが一緒で、ウェイターも一緒。そうすると、長い船旅の中で飽きてしまわれる方もいらっしゃるので。
私は、3日に1回くらい寄港地に寄らない日があるクルーズを選ぶようにしてるんです。
そうすると、船の中も楽しめるんですよ。
レストランも趣向を凝らしたバーベキューをやってみたり、例えばギリシャだったら、現地のギリシャっぽいお料理を出してくれたり、寄港地に寄らなくても、お食事はそれなりに楽しめますね」