今月、ワールド・クルーズにご乗船していただくのは、
世界中から依頼が殺到する、今日本で一番忙しい建築家・隈研吾さんをお迎えしています。

1年の半分以上を海外で過ごされるという、隈研吾さん。
これから1ヶ月間、色々な旅のエピソードをお聞きできると思います。


ー 膨大な空間情報が脳の中に蓄積されているわけですよ ー


干場「大学院を卒業後、建設会社に就職、サラリーマン生活を6年間送った後に30歳を過ぎてから、ニューヨークのコロンビア大学に客員研究員として行かれています。どうして留学をされようと思われたのでしょうか?」

「一度海外で暮らしてみたいというのがあって、旅行とは違う何かがありそうな気がしたんですよね。自分はわりと動いていないと退屈してしまうので、ニューヨークは自分に向いていると思いましたね」

干場「コロンビア大学時代に得たものは何ですか?」

「拘束時間が無いから、すごく暇だったんですよ。それでアメリカ中を、建築見て旅行しようと思ったんですよね」

干場「どれくらいの期間行っていたんですか?」

「ちょうど1年間ですね。アメリカは飛行機に乗って、レンタカー乗ってという交通を完備してるから、安いホテルもあって、見ようと思えば沢山の街を見る事が出来ますね」

干場「ちなみに、どのあたりに行かれたんですか、覚えているとこはありますか?」

「西海岸は僕の好きな建築が多いですね。フランク・ロイド・ライトという建築家が作った、あのロサンゼルスの気候風土に合った建築がかっこいいんですよ」

干場「どういう感じなんですか?」

「彼が発見したスタイルがコンクリートブロックを積んだ建築なんですよ。コンクリートブロック自身がデコボコした、いい感じの装飾がついていて、それを積み重ねていくとマヤの神殿みたいなんですよ。実際にライトもマヤ文明が好きで意識してるんですよね」

干場「そうなんですね、初めて知りました」

「住宅なんだけど、マヤの神殿を思わせるような、すごい家が何軒かあるんですよ。今も一般公開されていて、丁寧に解説してくれる人もいるのでおすすめですよ」

干場「マヤ文明、そういうところから来ているんですね」

「あと、面白いのはフロリダとかも面白いですね。1920、30年代のアール・デコの建築があって、モダンなんだけど今のモダンとは違う不思議なモダニズムのアール・デコスタイルがあって、そのホテルが並んでる一角があるんです」

干場「それが鮮明に焼き付いてるんですね、隈さんはそういう時はどうするんですか?ノートに書いたりするんですか?写真とかも撮られたり?」

「やっぱり写真ですね。暑い時にメモなんかはとりたくないのでね(笑)写真で撮っておくと、自分がその時に気付かなかった事に、後から気付けるんですよ。二度楽しむ事も出来ますからね」

干場「今の建築にも活かしたりするんですか?」

「無意識的に活きているかもしれないけど、それを拾い出して来てヒントにしようとは思わないけど、膨大な空間情報が脳の中に蓄積されているわけですよ。それが今はすごい役立っていると思いますね」

「現在、高校3年生。大学に入ってからクルーズデビューしたいと思っています。長いクルーズになると、曜日や時間の感覚がなくなりそうなのですが、どうやって管理しているのでしょうか?」

客船は毎日寄港して、ニュースレターで現地の時間の確認をする事が出来ます。
確かにずっと太平洋を横断していたら分からなくなっちゃうかもしれませんね。

現在では、アメリカの大学のプログラムにクルーズがあるんだとか?
3ヶ月で世界一周のプログラムもあれば、短いプログラムもあるんです。

大学の教授もクルーズ船に乗っていて、一学期が船の上で行われるんです。

現地を訪れながら、船の上では教授の講義を受ける。
現地に着いて、文化にふれ、習慣を見て、活きた勉強が出来るんですね。

若い時に旅をするというのは素敵な事、英語が苦手という方も乗ってしまえば、
否が応でも話さなくてはいけない状況になりますよね。

3ヶ月経って降りて来ると、英語も喋れるようになっているかもしれません。