新たな発想で生まれる「書」の世界

中塚翠涛さん(書家)×神崎恵(美容家)

2018

06.29

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映画やTV番組の題字やロゴの制作、さらには、パリ・ルーブル美術館の地下展示会場で作品を発表したりと、「書家」の領域を超えて、活躍されている中塚さん。日本人には馴染みのある「書」ですが、どのようにしてその唯一無二の世界観を作り上げていったのでしょうか。

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書との向き合い方



神崎
中塚さんはどうやって書くという世界に入ろうと思ったのですか?

中塚
わたしは子どもの頃に筆遊びをしていて、それを褒めてもらった延長で今があるんです。楽しかった記憶、筆の弾力が楽しくて、それで小学生に上がると、筆遊びでなくて今度、お習字の世界になって、書道というよりは、きちんと先生のお手本を綺麗に書き写すことで綺麗に学んできたと思うんですね。その当時、書家になりたいという気持ちはなかったんですね。ただ文字を綺麗に書いて賞をもらうと先生にも家族にも褒めてもらえることが嬉しくて、ただ本当に普通の小学生だったと思うんですけど、子供の頃から何かを表現したい気持ちは強くて、人のために何か役にたったらいいなと考えていたんです。ものづくりをするのが書を通じてできるものとは思っていなかったので、自分なりに、ヘアメイクさんや洋服のデザイナーさんにも憧れたことがあったし、どちらにしても誰かを美しく輝かせるというか、何かみなさんの心に届くものが自分だったらどんなことで提案していけるのかなということを考えていた頃はありました。大学で本格的に書を学ぶ機会をいただくんですけど、その時に自分の知っていた書道、お習字の世界と書家としてどんどん進んでいく道というのは、まだまだリンクする部分がなかったんですね。学べば学ぶほど、また新しいものに興味がでてきて、何か自分にしかできないことをやりたいという思いが当時は強くて、その時、あるお仕事で言霊シリーズといって、例えば、神崎さんのイメージで文字を書いてみてください、誰々さんのイメージでこんな漢字を書いてくださいっていうご依頼いただいたんですね、その時に本当だったら、すごい有頂天になるところだったんですけど、実際は先生のお手本通りのことしか学んできてなかったので、自由に表現していきたいと思っていたんですけど、その自由というのがまた難しくて、自分の殻を破っていくのが、結局、どこを目指していいのかわからなくなって、自分だったらいろんな世界をもっともっと見ていきたいなと思うようになったので、海外に行ったりとかいろんなアーティストの方々の書だけではなくて、建築だったりとか絵だったりとか表現を見たいなと思うようになったのがきっかけですね。

神崎
とても本当に枠がないというか、ブランドさんとかメーカーさんともコラボレーションされたりとか、銀座一面に中塚さんの作品が飾られていたりとか、海外でいろんな作品展だったりされたりして本当にアーティストって素敵だと憧れたりします。

中塚
それを出していくのが不安な時もあって、自分自身が否定されるんじゃないかとかそんな風に、勇気がない時もあったんですけどでも、自分のスタイルというものを書家というのはこうだよねっていうよりは、中塚翠涛さんはこういう人なんだねというのを少しずつ作りあげていければと思って、まだまだ学ぶことが多いと思っているんですけど。


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墨の中に色を感じる



神崎
字は小さい時から書いていたでしょ?でも、中塚さんの作品は、字と絵がくっついているじゃないですか、絵も描けるの?

中塚
絵は描けないです。だけど、すごい好きで、もともと字を見て、絵に見えますということを言っちゃうんですけど、実は子供の頃によく美術館に連れて行ってもらっていて、いろんなアーティストの作品の絵が自分の中では、この文字に見えるなとか、この字とこの絵は似ているとか思っていたんですね。そんな時に、なんで書道には色がないのかなと考えていたんですが、それが今だと墨の中に色を感じるし、色の中でも絵と文字が一緒というか、あんまり区別をしていないところがもともとあるんですけど、実際に文字は象形文字、形から生まれているので全部共通しているんだなと思っていますけどね。

神崎
わたしの3男が3歳になったんですけど、絵を描くと時に墨色で時にカラフルなんですよ。何かを絵にしたり、字にしたりする時って色だったり、形にとても出るでしょ?

中塚
感情がそのまま表れると思いますね。

神崎
それをお仕事にされていると感情に振り回されていられない?

中塚
そうですね。作品展に関しては、スイッチを変えるようにしていて、実は色を使っていると、使えば使うほど、実はモノクロのほうがすごい華やかだったりとか、なんかすごい不思議な感じなんですよね。墨だけを扱っていると、また色に手を出したくなるというか、それが自分の人生の中でやっぱり、積み重ねていって、最終的にどの色に落ち着くのかなというのは、まだまだ見つけられていないところがあるのかなって思っているんですけど。


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