心地いいインテリアを作るためのルール

行正り香さん(料理研究家)×田中麗奈さん(女優)

2018

12.14

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行正り香さんは、高校3年生の頃に、アメリカに留学され、帰国後は広告代理店に就職。CMプロデューサーとして、世界各国を飛び回りご活躍されました。料理研究家としてこれまでに50冊以上の本を出版されているのですが、実は、デンマークのインテリアにも詳しく、昨年、デンマーク親善大使にも選ばれました。

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ヒュッゲなインテリア



田中
り香さんは、これまでに出された「行正り香のインテリア心地よく ルールとアイデア」という本の他に12月には最新刊「行正り香の家作りヒュッゲなインテリア」も出版。り香さんのインテリア本も見させていただいたんですけども、すごい素敵、もう本当に勉強になるテクニックがたくさんで、ヒュッゲはどういう意味ですかね?

行正
ヒュッゲは、デンマーク語で心地よいっていう意味なんですけれども、ヒュッゲな暮らしをするとか、ヒュッゲな人、ヒュッゲな食べ物、ヒュッゲな場所、ヒュッゲな体験というような言い方をデンマークの方はよくされるんですね。それがすごく価値観としてデンマークに行った時に素晴らしいと思って。物事を選ぶときにこれがヒュッゲかどうかって聞かれるんですね。

田中
でもその心地良さって人それぞれですから、自分に合った暮らしに繋がっていきますもんね。り香さんにとってのヒュッゲなインテリアとは?

行正
一言で言うと温かみがある。インテリアの中で私が一番重要だと思っていることはライティングなんですね。照明に温かみがあるか、どうか。

田中
デンマークに行かれた時にはインテリアもたくさん見てらっしゃるんですか?

行正
デンマークに行ったら一番興味があるのが、レストランのインテリア、ホテルのインテリア、友達の家のインテリアですね。たまたまの広告の仕事をしている時によく向こうのプロダクションと働いていたので。一人で行ったりするとご飯食べるの寂しいでしょうって言われて、みんなが家に呼んでくださるんですね。デンマーク人のおもてなしは、レストランに一緒に行くことではなくて、お家に呼ぶことなので、それで皆さんのおうちを片っ端から見せてもらうことになって、私がインテリアが好きだと言ったら、知らない人だけどこの人のおうちも見たほうがいいって連れて行かれて、それでいろんな人たちの暮らしぶりやとライティングを見ることができました。例えば、いつもキャンドル使っていて素敵と学んだので、夜になったら、光を抑えて、いつも食卓にはキャンドルをつけて、という風に心がけています。照明は、人と人の距離感を変えるんですね。もし家具を買うお金もないと言うんだったら照明を見直すだけで家は、がらっと変わります。

田中
お料理を美味しく見せる照明の作り方もあるんですか?

行正
あります。私は新橋で「フードデイズ」というステーキレストランをやっているのですが、2人席で、本当にお互いに顔は見えなくて、真ん中だけにステージのようにハロゲンライトを当てているんですね。その食卓が舞台になるような形にすると料理はとても美味しそうに見える。
田中
なるほど。今、お肉にスポットがあたっていますよ!という感じ。

行正
明るさを抑えることによって、そこの存在感が増していくんですね、明るい時は全てのものが同一に当たっているので、全ての情報が私たちの脳の中に全部入ってきてるんです。だからそこに美味しいお肉があっても美味しそうには見えない。引き算をしてそこだけに当てると主役になるので、とても美味しそうに見える。

田中
もう全部イメージできました。

行正
ペンダントライトもおすすめですよ。食卓の上にペンダントライトを上から垂れ下げ、下から45 cmとか50cmぐらいの低い位置にちょっと暗めに置くと、そこだけが照らされる。

田中
おしゃれですね。


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思い切ってソファーを捨てた!



行正
料理を作るのも、インテリアも同じなんですけど、理想の味を知っていると、そこにいくプロセスは短いものになるんですね。だから、こんなふうに暮らしてみたい、こんな家はすてきだなと思う点を知ってるか知らないかだけで、それが一番の近道なんですね。次にやっぱり、戦後の日本の家は、どんどん間取りを細やかに分けてしまったんですね。子供がいない時から子供部屋を作ったり、台所もリビングも分けて。でも人間の体はひとつだから一箇所で過ごす場所が、より広い方が小さな部屋にいるよりは心地がいいなと思うので、なるべくワンルームリビングみたいな感じにしていますね。

田中
り香さんがお仕事で書き物とかされる時はどちらで?

行正
自宅の食卓でやっていますよ。家のテーブルは食卓でもあるんですけれども、私のオフィスでもあるし、自分の子供たちが宿題をする。子供達にも机を買ってあげたのに結局、食卓でやってるから買わなきゃよかったってすごい後悔してます。

田中
私も台本も、その辺りでうろうろしながらでないと読めないタイプで、お茶を飲みながらとか、日の当たるところに移動したりとか、定位置にものは置くんだけど、自分は移動できる、そんな感じがいいなって。

行正
「コージーコーナー」は、シュークリームもおいしいんですけど、そうではなくて、コージーとは、実は心地いいって意味なんですね。コージーのコーナーを家の中でいくつも持っていることが実は幸せなんです。私も多分同じで、ある時は台所のキッチンのテーブルでやったり、ある時はテレビの前でラップトップで仕事をしたり、そうやっていろんなところで気分を変えて、自分を盛り上げて仕事をしています。

田中
なるほど。そういう素敵な空間を作る中で欠かせないのが、すっきりおうちを見せる断捨離。これもすごい重要になってくると思うんですけど。

行正
そうですね。大切なことは、どうでもいいものを身の周りに置かない。断捨離はある意味しなくてもいいんですよ、それが好きなものであれば。自分にとって、例えば修学旅行で買ってきたペナントであろうと何であろうと、それがとても大切なものであれば自分のそばに置いておけばいいと思う。けれども、どうでもいいもの、着るか着ないかもわからないものとか、使うか使わないかわからない器とか、そういうものはなくていい。

田中
確かに。それだけでもものすごくすっきりしますよね。

行正
例えばソファーを一個置くとそこに一人が寝転んで、全てが終わってしまうし、場所をすごくとる。それをうちは、イージーチェアというちょっと低めの椅子にしたんです。最初、家族はソファーを捨てることに大反対だったんですけど、結局イージーチェアを人数分置いたら、そっちの方が家族が集まるようになったんですね。

田中
それ意外ですよね。でも。ソファーを捨てるなんて、大胆ですよね。

行正
でもカーペットなのでそこにクッション置いて、みんな寝転がる時はソファーの上に寝っ転がっているのと同じような感じ。

田中
そうしたら誰かが携帯をいじっているとしても、隣で本を読んでたとしても会話ができそうなので、いいですよね。

行正
そうなんですよ。楽しいんですよ。しゃべっているわけではなく、みんなバラバラに過ごしているんですけど、なんとなく楽しい。これはねデンマークでイージーチェアをよく活用しているお家があって、真似をしてみました。


行正り香さんは、肉好きの、肉好きのための、肉のレシピ本「肉の本 今夜は、お肉を食べよう。」を扶桑社より出版、おもてなしに役立つお肉料理がたくさん掲載されています。

駒沢公園ハウジングギャラリーにある三井ホームのモデルルーム「プレミアムレジデンス駒沢」にて公開収録

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