脳を鍛える

長谷川京子(女優)×中野信子(脳科学者)

2020

01.10

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長谷川さんからのラブコールで実現した今回のキュレーターズ。2020年、何か新しいことをスタートしたいと思う時期ですが長谷川さんがいま、興味があるのは、ずばり、「脳」だそうです。

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いずれ、魔法使いになれる?!



長谷川
自分の伸びしろが、脳の伸びしろだなと思う時があって、例えば、海外に行って、経験を積むとかよりも今の自分で言うと、この前、速読の体験をしてきたんですけど、自分のルーティンの脳の使い方しかなかったんで、一回だけだから何もまだわかんないですけど、ちょっとした発見があって。

中野
体の使い方なら、こういう風に筋肉を使うなど、直接教わることができると思うんですけど脳の使い方、例えば同じ部屋で何十年も一緒に暮らしていても、見えているものとか、感じているものとかは、全然違ったりするんですよね。その人がどういう思考回路でいろんなものを捉えているのか、実は、見ることができないので速読で体験されたのは多分早く読んでる人はこういう風に拾いながら読んでるとか写真のように見て読んでるというのをやると思うんですけども、こんなふうに情報を取っているのかと思うと今までやってきたことがなったんだっていう。

長谷川
そうですね。

中野
その感じがちょっと面白いと思うんですね。

長谷川
中野さんは右脳左脳でいうとどちらですか?バランスをとっているんですか?

中野
バランスを取れるように心がけているつもりです。

長谷川
そもそも脳科学者という職業につこうと思ったって?

中野
これはこの学問もやらないといけないと思った事情があって、子供の頃に「あなたはどうしてそんなにおかしいのか」とありとあらゆる人から言われるんですね。母親父親からも言われるし、親戚中みんながそういうし、

長谷川
ちょっと変わっていたんですか?

中野
すごく変わっていたと思うんですけども。

長谷川
どう変わっていたんだろう?

中野
まず想定内の受け答えをしないんですよね。あと、先生が求める答えの先を答えちゃうとか可愛くないんですよ、コミュニケーションも上手く取れないし、このままでは私は学校にいる間は成績が良ければなんとかなるけれども、社会に出たらむしろコミュニケーションの方が大事だから生きていけなくなっちゃうと思ったんですよね。だからそこの部分も勉強しなきゃと思ったんですけど、教科書なんてないし、どこがどうしてコミュニケーションがこんなにおかしくなるのかと書いてないんですよね。だから自分で研究するしかないと思って。

長谷川
でも、すごい才能じゃないですか。速読を体験し、速読がもっともっと本当にきちんと身についてくると手をかざしただけで読めるっていうんですよね。

中野
(笑)。

長谷川
だからそれが本当だとすると、例えば本は情報の塊じゃないですか、ということは「手をかざしてわかるってことは人の事もわかるんですか」って言ったら「言い方を変えればそうです。」でも、彼はそれは教えてはいないと言ったんですけど。だからそういうことなのかなと思ったの。

中野
今の話がすごく深くても本当にこれだけで3時間ぐらい話せるくらい面白い内容なんですけど、極論すれば私は出来ると思いますね。

長谷川
魔法使いになれるってこと?

中野
魔法のように見えるかもしれないですね。ある程度の予測がつくことであれば、その人が言わんとする論旨はある程度は推測がつくし、それを確認するだけでいいっていうことになります。


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新しい年を幸せに過ごすために



長谷川
2020年、良い一日のスタートを切れるように、何かされてます?

中野
全然ポジティブではないことを今から言うんですけど生きていれば、嫌な気持ちに必ずなるじゃないですか、わたしは、デスノートを作っていて(笑)。

長谷川
え!まじですか?デスノート作っているの?

中野
絶対に見せられないし、書いて終わったら燃やす予定のデスノートなんですけど。
嫌なことがあったら全部書いて、忘れるの。

長谷川
書いたら忘れます?

中野
書いたことでちょっと満足するんですよ。

長谷川
消化するんですね?わたしは、書いたら逆に残っちゃう気がするな。

中野
書いたら残ってしまう人はやらないほうがいい。

長谷川
中野さん流の1日の気持ちいい終わらせ方ですね。

中野
そうですね。書いたらそこで終わり。

長谷川
私は20代の時、感受性がすごい強すぎて、本当に友達ができなかったんですよ。相手の気持ちを汲み取りすぎちゃって、

中野
わたしと逆ですね。

長谷川
この年になって、人が変わったように人間性善説みたいなところが自分の中で芽生えてきて、悪い人はいないみたいな。嫌なことを自分で頭の中でユーモアに変換してちょっとムカついたことぐらいはネタにして吐き出して終わりにする。

中野
すごい知的。

長谷川
嫌なことを引きずるとか人を憎むのは、エネルギーも使うし一番嫌なので。

中野
いいですね。

長谷川
そうもいかないこともあるんです、悪口も言いますけどね、でも悪口も悪口を言った瞬間に自分がすごい嫌な気分になるから、ネタにして言う。

中野
悪口を面白くいう。それはいいなと思って、

長谷川
悪を持つことは全然悪いことじゃない、当たり前の感情なんでそれさえも消したらやっぱ自分が表現者として機能しなくなるから。昔、お芝居の先生に言われたのは、すごく自分のネガティブとか悪の部分がマイナス100ある人は喜びの感情もプラス100にあるからその振り幅が広いんだよ、それを否定してはいけないって言われてないんですね、だからそこは絶対に否定しないし、自分の中で残さないとか人に嫌な気を残さないためには何か面白くしたい。

中野
私ももっと面白く表現したいです、もっと頑張って自分なりに言ってるつもりではあるんですけど。


長谷川さんの最新写真集『Just as a flower』は宝島社から発売中です。

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そして、中野さんはロングセラー書籍「あなたの脳のしつけ方」が待望の文庫化され、青春出版社より発売になりました。

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