Dream Heart(ドリームハート)

土曜22:00-22:30 TOKYO FM/全国38局でON AIR 各局放送時間

REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.267 マイケル・ブースさん

2018年05月12日

今週ゲストにお迎えしたのは、先週に引き続き、イギリス人No.1グルメライターで、
トラベルジャーナリスト、そして、フードジャーナリストとして活動されていらっしゃいます、マイケル・ブースさんです。

1971年生まれ、イギリス・サセックスのご出身。
2010年に「ギルド・オブ・フードライター賞」を、
そして、2016年「ギルド・オブ・トラベルライター賞」を受賞。

パリの有名料理学校「ル・コルドン・ブルー」で1年間修業し、
レストラン「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」での経験をつづった
”Sacre Cordon Bleu(英国一家、フランスを食べる)”、は、BBCとTime Outで
絶賛され、ベストセラーにランクインするなど、高い評価を得ていらっしゃいます。

日本で発行されている著書には、日本の食文化を100日間取材した、
『英国一家、日本を食べる』や『英国一家、フランスを食べる』など多数あります。

今週はどのようにして今の仕事に就かれたのか、マイケル・ブースさんの人生について詳しく伺いたいと思います。


null


──興味を惹かれるものを書く

茂木:マイケルさんは、イギリスのガーディアンなどの新聞でも書かれているんですけど、そもそもイギリスでは新聞などのジャーナリズムで食べ物のことなどをよく書く習慣があるんでしょうか?

マイケル:これはイギリス独特のものかもしれないんですけれども、食べ物についてよく知らない記者が食べ物について書いてるんです。
でも、実際は文化や人間について書くということがあります。それは、レストランのレビューを書く人たちのような、食べ物をオタク的に追求している人たちとは全然違う人達なんですね。
食べ物を文化的なものの一端として真剣に捉えて書くということが一つのトレンドとしてあります。私はその両方の間に位置しているような感じですね。

茂木:同時にイギリスでは、旅行について書く伝統もあると思うんですけど、
ひょっとしたらマイケルさんのお書きになってることっていうのは食べ方について書くことと、旅行について書くことを混ぜ合わせた、すごく新しいジャンルかと思うのですがその辺りいかがでしょうか?

マイケル:そうですね、自分で自分のブランディングをしないままにこの仕事を始めてしまいましたが、自分が興味を惹かれるものをとにかく追求して書いて行こうと思っています。
食べ物と旅というのは私が一番興味を惹かれているものなんですけど、両方ともについて書くうちに文化人類学のことも書けるし、自分が好きな食についても書けるので、その両方を活かせるような本を書いているという感じです。

茂木:マイケルさんは時々、辻 静雄さんの著作について言及されるんですけど、やっぱり辻さんの本というのはヨーロッパで日本食に興味ある方にはかなり大きな影響を与えてるんでしょうか?

マイケル:辻 静雄さんの本は何年も読み継がれているんですけれども、なぜかというと日本料理についてちゃんと書かれた唯一の本だったからです。
もうだいぶ昔に出版されたものなので技術が古くなっているところもあるんですけど、それでも、これから日本料理について学ぼうという人達は必ず本棚に辻静雄さんの本を入れています。

茂木:マイケルさんご自身の本が、今の日本食と伝統的な日本食の間にあったギャップを埋める役割を果たしてるというような感覚をお持ちでしょうか。

マイケル:全然違うと思います。私の本はレシピ本ではないし、食べ物に関して文化的に分析をしている本だからです。
私はこの本を読む人に楽しんでもらいたい、エンターテインメントとして書いています。でも、私の本で日本に興味を持ってもらえたら、とも思っています。


null


──マイケルさんの夢

茂木:マイケルさんは本当に色んなことに興味を持ってらっしゃるので、次にどういう本を書くかっていうのは読者側からすると予測しにくいとこがあるんですけど、
ご自身としては本のプロジェクトってどのようにして決めるんですか?

マイケル:1冊の本を書くのにだいたい2年かかるので、テーマを決めるときは20ヶ月後も自分が興味を持ち続けられるテーマかどうかどうか重要です。
その2年間はそのテーマに関する本しか読めないですし、ずっとそのことについて考えています。
今まで経験したことがないような、何かを与えてくれるようなテーマを選びたいと思っています。

茂木:国際的なベストセラー作家になり、すでに夢を実現しつつあると思うんですけど、
マイケルさんがこれからやってみたい夢って何でしょうか?

マイケル:実は、私はジャーナリストとしてやりたかったことは全部実現しました。
大きな夢としては、この本が終わった後に誰かとコラボレートしてみたいと思ってます。
例えば、テレビシリーズなど、誰かと一緒に作品を作ってみたいと思っています。
作家というのはとにかく孤独な作業で、ずっと一人で仕事をしているので誰かと一緒に仕事をしてみたいと思ったのです。
日本に関係した夢としては、日本で誰かとコラボレートして漫画を出版したいと思っています。
もし出来れば、1年間日本に住んで1ヶ月ずつ違う厨房に入って料理を学びたいと思います。そして、1年京都に住めたらいいなと思っています。
それから、ずっと先の未来の夢としては、南フランスに行って畑を耕しながら毎日料理を作ったり音楽を聴いたりしてゆっくり暮らしたいと思っています。

茂木:最後に、KADOKAWAより発売されています「英国一家、日本をおかわり」について、
メッセージをいただけますか?

マイケル:私の本を楽しんで読んでくれたらすごく嬉しく思います。また、私の本を読むことによって今まで知らなかった日本について知っていただけたら、とも思います。
とにかく楽しんで読んでもらえたら、嬉しいですね。



「英国一家、日本をおかわり(マイケル・ブース)」


(Amazon)






KADOKAWAオフィシャルサイト

マイケル・ブース公式サイト


来週は5月19日(土)から、恵比寿ガーデンシネマを皮切りに、
全国で順次ロードショーされる香港映画「29歳問題」の監督、キーレン・パンさんをお迎えします。
どうぞお楽しみに。