Dream Heart(ドリームハート)

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REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.204 大塚朝之さん

2017年02月26日

今週も、東京・恵比寿にあるコーヒーショップ、
猿田彦珈琲のオーナー・大塚朝之さんをお迎えしました。

大塚さんは、現在35歳。15歳で演劇の世界に入り、俳優業を目指すも25歳で引退。
その後、下高井戸のコーヒーショップでアルバイトを始めます。
そこで、コーヒーの魅力に取りつかれた大塚さんは、
2011年、29歳で、東京・恵比寿に、わずか9坪弱のスペシャルティコーヒー専門店「猿田彦珈琲」をオープン。
今や若い人を中心に人気を集めています。

また、現在、KADOKAWAからの初の著書、
「たった一杯で、 幸せになる珈琲」を発売されていらっしゃいます。

そんな大塚さんが、俳優業からコーヒーショップのオーナーへの転身を遂げるまでに、
どんな道のりがあったのかを伺いました。






──背中を押してくれた人


茂木:大塚さんは、以前、映画とかにも出られてるんですよね?

大塚:そうですね、映画の主演をさせてもらった事もあります。
ベルリン国際映画祭に出展していただいた「Departure」という映画ですね。

茂木:映画の主演ってすごくないですか?

大塚:変な話、お金にならないし”いま、自分は何なんだ?と、いつも思わされてきましたし。
10年間くらいやっていたので、オーディションも1000回受けて、15回受かったか受からないかくらいでした。

茂木:そんなにですか!

大塚:それは就活する学生が落ち込んだりしてる子たちが、いっぱいいるじゃないですか?
それが10年間くらい続いているようなものなので、自信を持つこととか、将来どうしたいとか、いろんな葛藤がありながら続けていたので。
今となっては辛いことがあっても、あの頃に比べたら…みたいな。若い頃からそういう経験をさせてもらえたのは今に生きていますね。

茂木:著書「たった一杯で、 幸せになる珈琲」の中では、EXILEのTETSUYAさんと対談されていますが、どういう関係なんですか?

大塚:僕が俳優を辞めてて、もうすぐコーヒー屋をオープンする頃…EXILEさんの会社の中で演技指導をしているコーチが僕の先輩で、人手がないから手伝いに来てと言われたんですね。その初めての相手をさせてもらったのが、TETSUYAさんだったんです。

茂木:そこからコーヒーへの道は?

大塚:その時がコーヒーショップを始める1、2ヶ月前だったんですね。
何度かTETSUYAさんとお会いして演技の話をしてたんです。
その中で、「僕コーヒーショップをやるんですけど、やった方がいいですか?やらない方がいいですか?どう思いますか?」と聞いてみたんですよ。

茂木:なるほど。

大塚:僕にとっては本当にいいお兄ちゃんだったので、”この人が背中を押してくれたら始めよう”と思ったんです。
「いいから、やればいいんだよ、大丈夫だよ!」と言うので、始めちゃおうと思って始めたんです。
そしたら、その後TETSUYAさんが来てくれて、自分のツアーの時とかに仕事をくれて…辛い時はTETSUYAさんが大きな仕事をくれるので。

茂木:TETSUYAさんいい人じゃないですか!

大塚:本当にいい人です。本の時は、ぜひTETSUYAさんに対談してもらえたらと思っていました。





──本当に美味しいコーヒーを作りたいのなら…


茂木:オープンした一号店が…8.5坪ですか?

大塚:8.7坪の店ですね。

茂木:その空間を、どう活かそうと思ったんですか?

大塚:お店に使ったコーヒーの機材とかを抜いて、ペンキ塗ったりとか、木材買ってきたりとか、内装費って自分たちの手作りなので20万かかってないんですよ。逆に、エスプレッソマシン1台で200万とかしてるので。

茂木:え!?

大塚:とにかく、”コーヒーがやりたいんだ!”っていう(笑)。

茂木:200万ですか…(笑)。
あるところで得た情報によりますと、最近お店に入れた焙煎機が2000万?

大塚:2000万しました、もう一台大きいのを買うところなんですけど、3000万するみたいですね(笑)。

茂木:”みたいですね”って…コーヒーって大変ですね!

大塚:本当に大変で!(笑)何が大事って、コーヒーだけじゃダメで。
金融機関さんの支援がないと、真面目にやっていくのは難しいんですよ。

茂木:ただコーヒーが好きだけじやれないってことですよね。

大塚:やれないと思っていますね。本当に美味しいコーヒーを作りたかったら、絶対にいい機械が必要になってくるって僕は考えているんですよ。

茂木:大塚さんの夢は何ですか?

大塚:いい加減な方を言うと、サッカーがすごく好きなので。どっかのサッカーチームのオフィシャルコーヒーになったら嬉しいなと思っているのと。
僕は結局、コーヒーで何がしたいんだろうと毎日思っていて。
誰だって、少し前向きになって一歩前に出たら、実はいろんな事が可能なんじゃないかといつも考えているので。僕らのお店の従業員は、全員明るいわけじゃないんですね。

茂木:そうなんだ(笑)。

大塚:そこで一歩前に出ようっていうのを最初に伝えきるので、全員が一歩前に出てくと自信ができて……っていう繰り返しで。
プライベートが何だろうと、少なくともお客様の前では、とてもいい表情でみんないられるようになっているので。
それは世界の接客業だけに限らず、そういうことが文化として影響していけるんじゃないかと思っているので。それが一番の大きな目標で猿田彦珈琲をやっています。

茂木:お客様との会話が猿田彦珈琲の大きな特徴だと思うんですけど。
そのホスピタリティーの精神っていうのは、どこまで広がるのかな?

大塚:僕はそういう仲間って世界各国に絶対にいると思っているし。海外出張をいっぱいさせてもらえてるので、どこへ行ってもそういう人は1人か2人は見るっていうことは、もっといるはずだから。
そういう人達が集まってくれば、大都市だったら1軒や2軒はやれるんじゃないかなと思っているんですね。

茂木:ひょっとしたら、世界中に猿田彦珈琲ができる?

大塚:できたら嬉しいですね。どっちかと言ったら、コーヒー1杯紙コップ持って歩いてるだけで幸せな気持ちになれば、本当にそれで小さなことでいいんですけど。
夢物語ですけど、それをするために世界各国に猿田彦珈琲がもしあったら、それがもっと実現するんじゃないかなと思っています。



●「たった一杯で、 幸せになる珈琲」



(Amazon)



「猿田彦珈琲」公式サイト




来週は、株式会社オリィ研究所 代表取締役 所長の吉藤オリィさんをお迎えしてお話をうかがっていきます。
どうぞお楽しみに。