Dream Heart(ドリームハート)

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REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.386 お笑いジャーナリスト・時事YouTuber たかまつななさん 「若者に向けた政治や社会問題の番組を作りたい」

2020年08月22日

たかまつななさんは、フェリス女学院出身のお嬢様芸人として、
テレビ・舞台で活動する傍ら、 お笑いジャーナリストとして、
お笑いを通して社会問題を発信されていらっしゃいます。

18才選挙権を機に、若者と政治の距離を縮めるために、
株式会社笑下村塾を設立。

東京大学大学院情報学環教育部、
そして、慶應義塾大学大学院政策メディア研究科を
ご卒業されていらっしゃいます。

現在は、お笑い界の池上彰を目指し、
「笑える!使える!政治教育ショー」を行う、
株式会社笑下村塾の取締役として主権者教育の普及・啓発を、
積極的に行っていらっしゃいます。


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──粗削りでも今作りたい

茂木:たかまつさんがNHKに入ると聞いた時本当にビックリしたんですけど、どういう経緯で入られたんでしたっけ?

たかまつ:全国の学校を回ってる中で、政治についての関心を高めることはそんなに難しくないなと思ったんですよ。継続することが難しいな、と思いまして…。
「じゃあ何のメディアを観ればいいですか?」と子供たちに聞かれた時に答えられなくて、“賛成・反対、両方の意見を聞きましょう”とか“情報を疑いましょう”とか、そういう綺麗事しか言えませんでした。そうじゃなくて、「このメディアを観ましょう!」と、いっぱい挙げたかったんです。
それで、「NHKだったらそういう番組を作れるんじゃないかな」と思ったので、どちらかと言うと新規で番組を立ち上げたかった。若い人に向けた政治社会問題の番組を作りたくて、NHKに入りました。

茂木:ディレクター職で入られたということで…。ずっと渋谷の本局で?

たかまつ:そうですね。『おはよう日本』という番組です。

茂木:しかも看板番組の『おはよう日本』をされていたということで、いかがでしたか?

たかまつ:とても勉強になりましたね。教育政策をずっと取材してたんですけども、“霞が関とか永田町でどういうふうに動いているのか”とか、“報道がどうなっているのか”ということをこの目で知れたのは、大きなことでしたね。

茂木:たかまつさんがNHKに入局する前の意気込みで、「私がNHKを変える!」…という雰囲気をよく覚えているんですけど、どうでしたか?

たかまつ:全然できなかったです。玉砕しました(笑)。
結局、『組織』というものがすごく勉強になりました。まず、年次が上がらないと難しいとすごく思いましたね。

茂木:年功序列で、上に行かないと自由に何かができないということですか?

たかまつ:それでも民放よりはましだと思いますよ。私も一年目から全国の放送に出させてもらったので、それは良かったですけれども…。
例えば、「若者の視聴者数がすごく少ないからそれを上げよう」と言ってるのに、その企画を考えている人たちは若者じゃなかったりとか。

茂木:(笑)。なるほど。NHKでは、番組提案というのは誰でもできるんでしょう?

たかまつ:誰でもできますし、外部の制作のスタッフさんでもできますね。

茂木:でも、なかなか通るのは至難の業?

たかまつ:難しいですね。番組のフォーマットも作りたかったんですが、そもそも報道局にはそういう文化があまりなかったですね。

茂木:新しい番組を作る文化がない。

たかまつ:『NHKスペシャル』がトップに君臨してて、あと『クローズアップ現代』とか、みんな大体そこを目指して作る。だから、フォーマットはある程度決まってるんですよね。決まったフォーマットの中で、いかに自分が伝えたい社会的なメッセージを通すか、という。
それはそれで勉強にはなったんですけど、「伝え方を大きく変えてみよう」というのは、報道局よりも番組制作局の方がそういう意識はありますね 。

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茂木:報道は“フォーマットは弄らないで内容で勝負”みたいなところなんだけど、でも本当はたかまつさんからすると、“フォーマットを考えた方がいいんじゃないですか?”と、そういう意識があったんですね。

たかまつ:でもそれは、最初からは難しいだろうなと思ったので、「NHKの原則の中で、自分ができることは何かな?」と考えました。やっぱりNHKのニュース番組の一番の役割は、“霞が関・永田町が動く”ということだと思うんですよね。「NHKが報道した」と。「予算委員会で取り上げられます」と。「どうなってるんですか?」と。で、政策が動く、とか。
やっぱりNHKの報道にはそれくらいの信頼度もあるし。だから私は、“政策が動くタイミングはいつなんだろう?”と、そういうことをすごく意識しながらやっていましたね。

茂木:NHKは渋谷と地方局を行ったり来たりする人も多いみたいですが、地方局にも行ってみたくはなかったですか?

たかまつ:地方政治を知りたかったので行ってみたかったんですけども、若者に向けた番組を作るのにあと10年〜20年かかりそうだなと思って。そしたら、私は今27歳なんですけど、今でも高校生と10歳ぐらい差があるので、もう若者の感覚を失いつつある、と。正直、20年後の47歳で10代の子に向けた番組を作れるかな、という自信はなく、だったらちょっと粗削りでもいいから今作った方がいいんじゃないかという気持ちがひとつあります。
あと副業を認めてもらって入ったんですけど、副業が2年ごとに更新が必要で、その更新が駄目だったんですよね(笑)。

茂木:駄目だったの!?

たかまつ:それが大きな決定打になりました。どういう判断をどういう経緯でしたか、というのは私もわからない部分はあるんですけど、結果的に駄目だったということですね。

茂木:NHKと袂を分かつことを決めた、ということですが、これはたかまつさんの人生の決定なんですよね。NHKがどうのこうのということもあるけど、自分の今やりたいことは一度NHKを出てやりたいと。

たかまつ:できなくはないと思うんですよ。私も“このテーマを磨く”ということはできたと思いますし、若い人に向けた政治や社会問題の番組ができないのは自分の実力不足でもあります。でもそこに対するストレスがすごく自分の中でかかってきたので…。「企画が通らない…!」とか「今これを伝えたい…!」とか、「ファクトは取れないけどこれはやるべきだろう…!」ということとか。
若者に向けて政治とか社会問題を発信する人の方が遥かに少ないので、自分はそっちに行きたいし、そっちがやりたいなと思いました。

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たかまつなな/時事YouTuber(@nanatakamatsu) Twitter


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