Dream Heart(ドリームハート)

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Dream HEART vol.396 シンガーソングライター 大塚 愛さん 短編小説「開けちゃいけないんだよ」

2020年10月31日

大塚 愛さんは、1982年、大阪府のご出身。

15歳から作詞・作曲を始め、2003年9月10日に、
シングル「桃ノ花ビラ」でメジャーデビュー。

その年、12月17日にリリースした2nd シングル「さくらんぼ」が大ヒットとなります。

シンガーソングライターとしての活動のほか、イラストレーター、絵本作家、
楽曲提供など、クリエイターとしてマルチな才能を発揮し、ご活躍中でいらっしゃいます。

そして、先日、講談社が発行する『小説現代』の9月号に、
初の短編小説「開けちゃいけないんだよ」を寄稿し、話題を集めていらっしゃいます。


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──映画を小説に落とし込んだ

茂木:短編小説「開けちゃいけないんだよ」は電子版だとまだ読めるということなんですけど…。
ネタバレになるのであまり具体的には言えないんですが、女の子が主人公で、おばあさんの家に行ってちょっと怖い目に遭うんですよね。冒頭のセミのシーンがすごいですね。もう何十年も小説を書いてきたような、すごい出だしです。

大塚:ええ!? そうなんですか?

茂木:あと、ほとんどこのままドラマとか映画にできそうな映像的な感じがしたんですけど…。

大塚:そうですね。大きい声では言えないんですが、私はあんまり小説が読めないんです…(笑)。読みたい気持ちはすごくあるんですけど、大体3ページ目ぐらいでちょっとわかんなくなっちゃう(笑)。

茂木:そうなんですか!? なんでこんな立派な小説書けたんですか?

大塚:小説の読み経験値がものすごくないんですよ。映画とかドラマとかはすごく好きでよく観ているので、どちらかと言うと、自分の中で映画を小説に、逆に落とし込んだ感じなんです。

茂木:だから映像的なんですね! すぐにでも映像化できそうな感じでした。
担当編集の方に、最初に“ドヤッ”と送った時に、どうでしたか?

大塚:最初は恋愛ものを上げていたんですよ。自分の中でちょっと安パイを狙っちゃったんですよね。
「違うな」と思って。どこか自分の中で気持ち悪さがあったんですよ。何かしっくりこないと言うか、嘘をついている感じと言うか、自分らしくない感じがして。やっぱり、せっかくだからもっと自分らしいものをやりたいなと思って、1回直しを頂いたぐらいまで進んじゃっていたんですけど、そこで「ごめんなさい。ホラーに変えていいですか?」と。

茂木:恋愛ものからホラーに変わったんですか?

大塚:そうです。

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茂木:でも今おっしゃった“何となく気持ち悪い”というのは、やっぱりアーティスト・クリエイターとしてすごく大事にされているところなんじゃないですか?

大塚:そうですね。基本、自分の作品に対しては、「何か違わない?」と思いながら出すというのは、昔からあんまりよろしくなくて。やはり「聴いてください」「見てください」とちゃんと言えるかどうか、というところもありつつ、ビジネスのラインもちょっと頭に入れつつ、という。

茂木:(笑)。小説も“書くからには売れるものを”、ということだったんですか?

大塚:小説に関しては本当にただの素人なので、お声を頂いたんですけど、私がどんなレベルなのかよく知りもせずにおっしゃってくれた、とんでもなく怖いもの知らずな方だな、と思ったんです。なので「逆に、このレベルですけど大丈夫ですか?」という確認もしながら。
でも実際に表にドン、と出た時に、「このレベルで大丈夫ですか?」という自分の中の恐怖の方が勝っちゃってて(笑)。

茂木:僕は本当に面白く読みましたけどね。

大塚:ありがとうございます!
ちょうど小説の冒頭にセミが印象的に出て来るんですけど、私の楽曲の中にもセミが印象的に出て来る楽曲があるんです。小説は、逆にそこを貰って書いたんですね。

茂木:この「クムリウタ」は代表作のひとつなんですけども、歌詞が素晴らしいじゃないですか。

大塚:ありがとうございます。

茂木:「クムリウタ」はカタカナですが、「曇り」の「歌」ということですよね?

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大塚:そうですね。見た目が嫌だなと思って(笑)。「曇り歌」の『も』が、私の中の“美”に反したんですよ。『く』と『り』に挟まれた『も』の形が、いまいち好きじゃないな、と思って…(笑)。

茂木:そういうところの言葉の感覚とこだわりが、編集者が「この人は」と思ったところなんじゃないですか?

大塚:タイトルを大事にしているので…。

茂木:僕はたくさん小説を読む方なんですけど、この「開けちゃいけないんだよ」は素晴らしいです! ぜひ読みたいという皆さんは、『小説現代9月号』の電子書籍版などで読むことができます。ぜひチェックしてみてください。


●小説現代 2020年9月号(Kindle版)
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小説現代 講談社


●大塚 愛 / クムリウタ