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Dream HEART vol.528 フットリンガル代表 タカサカモトさん 著書「東大8年生 自分時間の歩き方」

2023年05月13日

タカサカモトさんは、1985年、鳥取県のご出身で、
東京大学文学部をご卒業されていらっしゃいます。

東大に進学後、人生に迷い、大学を休学。
大学の恩師の助言で、自分に素直に生きた結果、
メキシコでタコス屋の見習いや、鳥取で学び舎「寺子屋」の運営、
ブラジルの名門サッカークラブの広報、そして、
ブラジルのサッカー選手、ネイマール選手の通訳などをご経験されました。

その後、主にプロサッカー選手を対象とした学習コンサルティングサービス
「フットリンガル」を創業し、国際舞台での活躍を志すプロサッカー選手を中心に、
語学や異文化コミュニケーション等を教えていらっしゃいます。

そんなタカサカモトさんは、徳間書店より、一風変わったご自身の生き方を1冊にまとめた、
『東大8年生 自分時間の歩き方』を刊行されていらっしゃいます。


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──小松先生の授業

茂木:ということで、大学に入った後にちょっと戸惑っちゃうというのは多くの人が経験することだと思うんですけど、東京大学の小松先生に色々相談するじゃないですか。このご著書『東大8年生 自分時間の歩き方』に書かれているんですけど、相談した時はかなり切羽詰まっていたんですか。

タカサカモト:そうですね。自分なりに切実さはあったように思いますね。

茂木:小松先生に相談した時は、どんな感じだったんですか?

タカサカモト:自分なりに前向きな気持ちで、意気揚々と上京はしました。大学入りました。ただ、決定的に私が悩んでいたのは、時間の流れる早さが東京は非常に早くて、気がついたら日が暮れてるような感じで、目の前のことに追いついていくのでいっぱいいっぱいで。そこで、ただ「スケジュールがしんどい」というより、自分のリズムとか感覚がそこで狂っていくような怖さがあって、何となくそれを小松先生という方には相談できそうな雰囲気が感じられたので、そのまま素直に「こういうことで悩んでます」ということで、授業後に相談に行きました。

茂木:この小松先生の授業というのは、どんな授業だったんですか?

タカサカモト:タイトルこそ『科学史』という科学の歴史を習うのかな、という授業だったんですけど、実際には、生命倫理学的、特に“生きる”“死ぬ”ということに関して、知識をただ教わるのではなくて、自分自身が自分の目で見て、心で感じて、頭で考えて、自分自身の生き死にについてしっかり向き合って、そこに対する考えを一歩でも深めていくように、ということを促してくれる授業でしたね。

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茂木:「この先生だったら何か返って来るんじゃないかな」と思って相談して、小松先生は何て言われたんでしたっけ?

タカサカモト:先生に仰って頂いたのは、「苦しめばいいんじゃないか」ということを、一言目にまず言われたんですけども。詳しく伺うと、要は、私が自分の中に元々持ってるリズムや感覚というのを無理やり殺して、周りの時間とか価値観に合わせようとしてもがいていることの苦しみを、今私が抱えていたと。でもそうではなくて、元々鳥取で育った私が持ってるリズムとか本来の感覚を大切にして、好きな時に好きな人に会って、好きな本を読んで…という風にやってもいいと思うよ、と。ただそれやると、外側の価値観・時間の流れと軋轢が生じて、しんどくなると思うんだけど、そっちの苦しみだったら徹底的に苦しみ抜いた方がいい、というようなことを言われて。

茂木:そうか。自分にとって意味のある課題だったら、と。

タカサカモト:そうですね。「自分のリズムで生きた結果、周りと合わなくて苦しい」という方は、むしろ苦しみ抜くぐらい、それぐらい自分の時間・リズムを大切にしなさい、というような意味で受け取ったんですけども。

茂木:すごい先生ですね。

タカサカモト:即答で仰って頂いたので、本当に19歳の芋学生によくあんなことを仰って頂いたなぁ、と思いますけども。

茂木:(笑)。そして、タカさんは自分の時間を生き始めていくわけですね。

──“優秀さ”とは

茂木:『東大8年生 自分時間の歩き方』を読んでいると、タカさんの立ち位置は一貫して人間の側についているんですけど、例えばね、世間でよく言われるような「東大はエリートだから」とか、そっちの方には最初からいないですよね。

タカサカモト:そうかもしれないですね。

茂木:何でそうなったんですかね?

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タカサカモト:やっぱり、そもそも大学に入った当初から観察者的な感覚がずっとあったから、というのはあるかもしれないですね。自分は田舎から行っていましたし。
あと、高校の時の教育実習の先生が非常に面白い先生で、最後の授業で、金八先生の真似をして「俺の好きな漢字は」みたいなことを言い出したんですけどね(笑)。その先生が『優(しい)』という漢字を黒板に書いて、「『人が憂う』と書いて『優しい』と読むが、お前ら、人が憂えてる時に自分もその人と同じ気持ちで憂えたり、その人と同じ気持ちで喜んだりということをしてるか」と。「お前らは今進学校で勉強してるから、これから社会で“エリート”と呼ばれるところに行く奴らだけども、この『優しさ』というものを絶対に忘れずに、お前らは勉強して、先に行け」と。そして、「そういう『優しさ』をちゃんと持ってる人間で、エリートになる人間を」と言った後に、『秀(でる)』という漢字をその下に書かれて、「そいつを『優秀』な人間って呼ぶんだぞ」と言われたんですよね。
だからその時に、“優秀さ”というのは『優れて秀でている』ことではなくて、『優しさにおいて秀でている』ことだということを、彼から教えて頂いて。それが影響しているかしていないかは分からないんですけども、そこからいわゆる“エリート志向”と一般的に言われるものとは違う方向に、よりなっていったような気はちょっとします。

茂木:皆さん、『東大8年生 自分時間の歩き方』は本当に素晴らしい本なので読んでいただきたいんですけど…。ただ、タカさんは何者なんですかね? 元々作家になろうという気はあったんですか?

タカサカモト:あとがきで少しだけ書いたんですけど、絵を描いていた母が生前…もう亡くなっているんですけど、「書いてみたら?」ということを、何気ない瞬間にふっと私に言ってきたことがあって。母親もちょっと教育ママっぽいところがあって、そういう時の母は大嫌いだったんですけど、何気ない瞬間にふっと母親が言ってくれたアドバイスというのは、やっぱり本質的なものを感じるところがあったんです。それが一つのきっかけになって、「もしかしたら、自分もそういう興味、方向、もしくは適性があるかも」と思ったところから、「いつか本を書きたい」という思いがだんだん強くなっていったというのはありましたね。

茂木:気が早いですけど、今後、書くご予定はあるんですよね?

タカサカモト:チャンスを頂ければ。書くということは、今回やってみて充実感がありましたし、許されれば続けてやっていきたいなという気持ちはもちろん持っていますね。

茂木:本当に素晴らしいなと心から私は絶賛させて頂きますが、是非、皆さん、自分の生き方に迷ってる人とか、あと少し世界観を揺るがされたい人とか、そういう人は読んだらいいんじゃないかなぁと思います。

タカサカモト:そうですね。私自身が世界観を揺さぶられたという原体験があって、それをそのまま書いたところもありますし。あと、10代の高校生であったりとか、或いは20代で「これからどうしていこうか」と、ちょうどお仕事を始めて何年か経ってる方もいらっしゃるかもしれないですし、色んな方に手に取って頂けたら嬉しいですね。

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●「東大8年生 自分時間の歩き方」/ タカサカモト (著)
(Amazon)


タカサカモトさん Twitter(@grantottorino)


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●「O Amor Ta Ai(愛はそこに)」- YouTube


↑サッカー選手、ネイマールさんが、ブラジルで運営している、
 「Instituto Neymar Jr.(ネイマール学院)」の公式ソングです♪