『Orico presents FIELD OF DREAMS』では、夢を叶えた方、今まさに夢に向かって突き進んでいる方をゲストに迎え、その人生のターニングポイントに迫っていきます!
今週のゲストは、先週に引き続き、怒髪天の増子直純さんです。
メジャーデビュー後に訪れる、バンド活動休止のお話、武道館ライブのお話をうかがいました。
●30年の時を経て
川田「メジャーデビュー後に活動休止を一度されますが、この時は解散ではなく活動休止だったんですか?」
増子「解散に近かったかな、”とりあえず一回やめるわ”みたいな。ちょうど30歳になる頃で、いろいろ歯車が合わなくなってきたというか…お客さんが5人、6人の前でライブをやっていって、どうなるのかな?って。これだったら、飲みに行って、隣のやつに自分の考えを話してるほうが、よっぽど伝わるんじゃないかと思ったんですよ。仕事も大変だし、家賃も高いからね」
川田「それを続けないといけないし、となると……」
増子「ちょっと一回、もういいかなってね」
川田「その後、活動を再開されたきっかけは何があったんですか?」
増子「ベースの清水から電話がかかってきて、『ギターの友康さんと飲んでるんだけど、話があるから来ない?』って。”そろそろ田舎帰るのかな”と思って行ったら『もう一回やりたい』って言うから、正気か?って(笑)。
『俺、働いて正社員だよ?カードも作れるんだよ?ローンも組めるんだよ?やめるわけねーだろ!』って(笑)。それでも、『もう一回やろうよ』って言うんだよ。飲んじゃってるからね、そんなこと言われてるうちに、『じゃあ、遊びでやるか!でも、仕事はやめねーよ』ってことになって」
川田「その清水さんの一言があって、今の怒髪天がまた出来あがるわけですよね。その後に20
14年、バンド結成30周年で日本武道館でのライブとなります。増子さんが47歳の時ですね。”武道館ライブをやろうか”という話がきた時は、どうでしたか?」
増子「『30周年どうしますか?』みたいな話になって、でも『やんねーよ!』って(笑)」
川田「最初は、やらないつもりだったんですか」
増子「当時、動員が徐々に伸びていって、マックスが2500人だったの。武道館はその3倍くらいでしょ?結成28年やって2500人、あとの2年で、どうやって3倍になるのって話で。記念の年に、なんで最初に悲しい顔で始まんないといけないの?って、だから、『絶対にやんねーよ』って話したの」
川田「なるほど(笑)」
増子「そしたら、『やるとしたら、ここしかないですよ。次ないですよ?』って言われて、ギターの友康が『やろうよ!』って言うんですよ。『え?やりたい!?』って言うと、ベースの清水も『うん、やりたい!』って。
『じゃあ赤字になったら、またバイトでもして返そうよ。記念にやるか』って。俺らがコツコツやってきて、もし出来たら、後から来る若いバンド達や、自分たちと一緒にコツコツやってきた仲間達の希望にもなんじゃねーのってことで、失敗したら笑い話になるし(笑)。
『金ないからどうする?』と、なるから。金ないなら足で稼ぐぞっていうことで、一年前に告知して、一年間かけてびっちり細かくツアーして、宣伝してやろうと、やったんだよね」
川田「やると決めてからは、成功させるために向かったわけですね。それで、朝早い番組で歌ったり」
増子「入りが5時半とかだもんね!(笑)絶対に売り切れるなんて思ってなかったから」
川田「実際に、満員で大成功を収めましたね」
増子「も〜、泣いたね!
1週間ちょっと前ぐらいにソールドアウトになって、家でも泣き、ステージでも泣きだね(笑)」
川田「メンバーの皆さんも嬉しかったと思います。30年やってきて良かったなと感じました?」
増子「打席に立ち続けないと、デッドボールも来ないぞっていうね(笑)。立ち続けてれば、デッドボールでも出塁はある!」
●ニューシングル「セイノワ」歌詞に込めた想い
川田「ニューシングルの『セイノワ』このタイトルには、どういう意味があるんですか?」
増子「この曲に関しては、言いたいことはいろいろあるんですけど、あんまり言わないでおこうかなと思って。自分の聴いたままに、好きにとってもらえればと思って。いろんな意味でとれるように作ったので。
いま、この時代に生きる仲間として、俺が一番言いたいことだよね。大きな意味でのラブソングだし、死ぬよりも生きることのほうが大変。それを、愛のために生きることのほうが、死ぬよりも大事なことなんだよという……。逆転あるからね」
川田「身をもって感じていますもんね」
増子「大逆転じゃないかもしれないけど、小逆転くらいはあるからね。でも、それで十分だと思うよ」
川田「”人に届く歌詞”というように、考えて作ってらっしゃると思います。どんどん変わってきましたか?」
増子「そうだね。アナーキーに影響を受けて、アナーキーが出してた本『心の銃』に書いてあったんですけど、簡単な言葉を使って歌詞を書くようにしてると。それは何でかというと、勉強できないやつは簡単な言葉だったら分かるし、賢いやつは、もちろん分かる。
だけど、難しい言葉を使ったら、勉強できないやつは分からないだろうと。だったら、歌う者のメリットとして、絶対に簡単な言葉で書いたほうがいいと。それを中学生の時に読んで、そっからは、その教えを守ってる」
川田「どの世代にも、男女関係なく真っ直ぐに受け止められる。そんな言葉ですよね」
増子「それが一番大事なんじゃないかな」