今週も、カナダとアメリカの国境付近にある「ノースウッズ」という森をフィールドにオオカミをはじめ、森の姿を撮り続ける写真家の大竹英洋さんのお話です。
大学時代に写真家を目指し、不思議なめぐりあわせでノースウッズという森と出会い、もう18年も通い続けているという大竹さん。
ここまで色んなエピソードを伺ってきましたが、今日は大竹さんの写真家としての大きな目的、「野生のオオカミ」について語って頂きます!

〜ノースウッズの森でオオカミとの出会ったことはありましたか?
18年も通っているので、何回かあります。ただ、なかなか近づけません。彼らはすごく警戒心が強く、第六感のようなものも持っていて、鼻も利きますし、彼らに気づかれずにこちらが先のオオカミを見つけるというのはとても難しいのです。しかし、いろんな条件がうまく合致すれば会うことができます。たとえば、森の中を歩いていて、ちょっと小高い丘のようなところがあったのですが、そこをゆっくり歩いていて、その先の崖の向こうに何かいるかと思って、すっと顔を出したんです。すると、「ウォウっ」という声が聞こえて、その下にオオカミがいたんです。ちょうど向こうから来たところで、僕はかなり高いところにいたはずなのですが、声を出したということは僕に気がついたということです。そして一瞬でバーっと森の中を走って消えてしまったんです。ピョンピョンって数秒で森の奥に消えていってしまいました。あとでその丘を降りていったら、さっき彼が二歩くらいで飛んだところはものすごく高い丘でした。常に写真を取れるように胸にカメラは構えていたのですが、とてもそんな時間はありませんでしたね。ただ、彼らが僕に気づいた間隔の鋭さとか、身体能力の凄さみたいなのは目に焼き付いています。

〜一番接近したのは?
雪が降っていて、新雪だったのですが、そこにオオカミの足跡が何頭分かついていたので、群れでいるなと思って、追いかけていったんです。でも追いかけても追いかけても全然いなくて、さすがにヘトヘトに疲れてしまって、これでは無理だと思ったので、遠吠えを真似てみることにしたんです。オオカミの遠吠えにも色んな種類があって、これから狩りに行くぞというのもあるし、攻撃的なものあるらしいのですが、僕が地元の方から教わったのは、群から離れた1頭が、自分はここにいるけれども、みんなはどこにいるんだ?という呼びかけです。それを練習していたので、それを試してみたら、なんと群れ全体が遠吠えを返してきたんです!そして、その直後に1頭、群れのリーダーが現れました。200mくらい離れていて、写真には撮りましたし、映像も残しているんですが、それが地上で近づけた一番近い距離ですね。
やっぱり出会ったときは背筋がゾクッとしました。顔には隈取のような模様があって、前足も長くて、体もすごく大きくて、ドキッとしましたね。じっとこっちを見ていたので、どうなるんだろうと待っていると、ずっと遠くに向かって鳴き続けていました。この映像を詳しい人に見てもらったりしたのですが、どうも僕の遠吠えは、経験の豊富なオオカミには自分たちの仲間じゃないということはわかるんじゃないかと思うんです。ただ、オオカミの群れはお父さんお母さんのブリーディングペアがリーダーなのですが、その子どもたちは僕の遠吠えに反応して声を返してしまう。ですから、群れのリーダーであるお父さんが森の向こうにいる自分たちの仲間に向かって「落ち着け、出てこなくていいから」というような事を言っているんじゃないかと。まあ本当のところは彼らに聞かないとわからないんですが、たしかに僕に向かって吠えているというよりは横を向いたり、上を向いたりしていましたから、そういう感じなんじゃかいかと思うんです。この後彼は森の向こうに消えていってしまったんですが、全てが終わった後に心が震えるような、ドキドキした感覚が襲ってきましたね。


〜こういったオオカミがいるノースウッズでの日々は、大竹さんにとってどのようなものでしたか?
この星が人間だけのものじゃないということは、自然の中に出かけていくとすぐにわかります。東京で暮らしていてもなかなかクマに吠えられたり、オオカミと出会うという経験はないので、どうしても人間の社会だけのことを考えがちですが、この星にはたしかに野生動物たちがいて、この星をみんなで分け合って暮らしているということをやっぱり感じますね。

大竹さんのお話、いかがだったでしょうか。今回のお話はポッドキャストでもくわしくご紹介しています。大竹さんのオオカミの遠吠えは必聴です!ぜひこちらも聞いてみてください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Story of Our Life / 平井大
・93 Million Miles / Jason Mraz

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