今週は、森・自然の中で暮らし、そこで生まれる命と向き合いながら生きる道を選んだ、一人の若い女性にスポットを当ててお送りします。
ネットでも話題になったその方は、ちはるさん。
「狩猟女子」と呼ばれる彼女は、その名の通り猟師として、現在、福岡県で暮らしています。
きょうは、彼女がこういう生き方を選んだ理由、今のライフスタイルについてご本人のインタビューをお届けします。
ちはるさん。かわいらしい声の、普通の女の子・・・という印象です。現在28歳、新米猟師ちはるさんの、猟師としての暮らしとはどんなものなんでしょうか?

◆猟師としての暮らし
狩猟免許は2013年1月にとりました。いまは罠をメインでやっています。できるだけ身の丈にあった狩りがしたいと思っているので、罠も自分でつくり、山にかけにいける大きさのものを使っています。
”くくりわな”といって、足にワイヤーがかかって動物の身動きをとれなくするというものなんですが、周りで田んぼと畑をやっているのでそれを守る意味でも近辺の山にかけています。
うちで捕れるのはイノシシですね。山にイノシシがかかりそうな場所に狙いを定めて罠をかけるんです。イノシシは警戒心が強いので簡単には捕まりません。鼻先で匂いを嗅ぎながら歩いているので、匂いで罠がばれてしまうんです。ですので、匂いをかがないような場所にかけようと思って、坂道の最後にかけました。そうすれば駆け下りてきて、においをかぐ暇もなく罠にかかるというわけです。
実際、足跡がたくさんある坂道の下にかけたら、次の日かかっていました。わたしが考えた通り、前足の一番最初のところにかかっていたんです。罠が思い通りに作動したのは嬉しかったですね。
罠で死ぬことはないのでとどめは自分でささないといけません。鈍器でイノシシの額を殴って気絶させて、足で鼻先を踏み、噛まれないようにします。そして耳から顎にかけての頸動脈を狙ってナイフで刺し、放血させて出血多量で死ぬということになります。そして内臓を出し、皮をはいで、ばらして牡丹鍋にして食べました。美味しかったです。



お話を伺うと少し驚くところもありますが、普段私たちが食べているお肉も、捕まえて、それを解体して調理しているんですよね。
ちはるさんは、基本的には フィッシュベジタリアンだそうです。ポリシーとしてお肉を食べるのは、自分で動物を解体した時だけなんだそうです。
猟師になったのはつい最近で、実は数年前までは、横浜で映画配給会社の会社員をしていました。
会社員時代から、農業や持続可能な暮らしに関心が高かった彼女が、猟師を目指すことになったのには大きなきっかけがありました。

◆猟師になったわけ
東日本大震災が一番の大きなきっかけでした。当時は横浜に住んでいたのですが、都市ならではの小さなパニックが起きていました。それをみて、いざというときにはお金を持っていても役に立たないと感じたんです。
食べ物がなくなって、電気も来なくなった時、自分の暮らしがなりたたないことにショックを受け、自分がどれだけ暮らしを他人任せにしていたかを感じたんです。その人任せの暮らしを、少しずつでも自分の手に取り戻して、周りがどうなっても生きていける人になりたいと思いました。
自分で生きていく力といっても色々あると思うんですが、そのなかでも食べ物に興味がありましたので、食べることを自分で最初から最後まで出来るようになりたい、自分の手から離れた食べ物を自分の手でやっていけるようになりたいと思って始めたのが鶏を絞めて食べることでした。
両親は普通のサラリーマンですが、震災後にバラバラだったが家族が埼玉の実家に集まって家族会議をしました。そして父親が「みんな成人して仕事、学校、恋人など、それぞれ大事にしているものがあるのだから、まず自分が生き抜こう」と話してくれました。「生きていれば必ず会えるから、まずは家族一人一人が生き抜くこと」を約束したんです。そのとき、東日本大震災のときから感じていた生きることへの執念みたいなものが心の中で燃えはじめ、絶対に死にたくないという気持ちがかなり強くなったんだと思います。


こうして、ちはるさんは、去年7月に職場を退社。現在は福岡県糸島市で生活をしています。
ちはるさんは、別に山にこもって一人で猟師をやっているわけじゃないんです。
震災を経験したことで、ひとつのものに依存した暮らしをやめようと考えた彼女は、仕事も“ひとつに依存しない”スタイルを始めています。

◆シェアハウス
いまの暮らしはお金がかからないんです。福岡の田舎で運営しているシェアハウスは自分の家賃はゼロ。水道も通っていないので水道代もゼロ。おとなりの家から水が湧きでていて、それがポンプで全体を回るような仕組みです。
畑と田んぼもシェアハウスのみんなでやっていて、とても豊かな暮らしです。うちは一人一芸、手に職の家なんです。なにか自分が得意なものを活かして暮らしを作る。一緒に住んでいるだけでないんです。うちのシェアハウスのテーマは「食べ物と仕事とエネルギーをつくる」です。仕事もできるだけ外に出ず、自分たちのスペースでお金を稼ぐことを目標に、定期的に家でマルシェを開催しています。シェアハウスの敷地はとても広いのですが、住人がそれぞれ特技を生かして出店します。料理人は料理を出したりだとか、写真家と着付け師の双子姉妹は青空写真館を、音楽家はライブをしたりします。1回50人以上は来てくれます。
自分たちの得意なことを活かして、少しずつお金を稼ぐ仕組みを家から発信していければいいなと思っています。うちの暮らしはとても楽しいですよ。



現在、ちはるさんの運営する古民家を改装したシェアハウスには、猟師・兼シェアハウス広報担当のちはるさん、料理人、元農家の方、着付け師、写真家、元酒蔵の方、そして音楽家というメンバーが暮らしています。いまは20代男性・大工さんを募集しているそうです。
そしてちはるさんは、先日本をだしました。『わたし、解体はじめました ─狩猟女子の暮らしづくり─』(木楽舎)です。ちはるさんが狩りを始めた理由、鶏やイノシシの解体方法、私たちが食べるお肉がどこからきているのかなどがまとめられています。
また、ちはるさんの日々の暮らしはブログ「ちはるの森 | @chiharuh の日々。」でも紹介されています。
ちはるの森 | @chiharuh の日々。

今回のお話はポッドキャストでも詳しくご紹介しています。
こちらもぜひお聞きください!


【今週の番組内でのオンエア曲】
・Brave / Sara Bareilles
・きらきら武士 / レキシ
今週は、古くから林業の町として知られる埼玉県飯能市から、木材の魅力をちょっと変わった形で広めようという 動きをご紹介します。

それは…

お酒なんです!

飯能市は、市の面積の76パーセントが森林に囲まれ、江戸時代から木材業が地場産業として根付いていた地域です。飯能市や、おとなり日高市で取れる質の高い杉やヒノキは、西川材と呼ばれています。
そしてこの「西川材」を変わったアプローチでPRしようとしているのが、飯能市で材木屋さん一筋50年のベテラン、町田木材の町田喜久雄さん。
まず、西川材の特徴について教えていただきました。

◆西川材の特徴
この辺りの木材は西川材といいます。江戸からみて西の方の川ということでこの名前がつきました。西川材はきめが細かく、板にしても柱にしてもとてもに落ち着きのある目をしています。柱取りとしては日本の三大杉のひとつで、吉野杉に匹敵する杉ということで東吉野(あずまよしの)ともいわれています。「東吉野とその名も高い、飯能名物西川材よ」と歌にも歌われたほどです。
うちは材木屋としては、周りに比べればまだ日が浅いほうで、始めたのは昭和30年頃ですね。その頃は電柱も全部木でしたので、電柱用の丸太が随分出ました。また、今は見かけなくなってしまいましたが、鯉のぼりの竿の産地としてもこの辺は有名です。
当時は夜中に出て、都内各地に配達して、朝帰ってくるということを随分やりました。



昔は、お庭のあるお家はこいのぼりの竿を立ててたんですね。
また、関東大震災や東京大空襲のあと、復興の目的で東京に供給されたのも西川材だったそうです。とはいえ、当時は移動手段も限られ、飯能の山奥から木材を運搬するのはとても大変な作業でした。

◆筏で木場まで
昔は、名栗地区、奥武蔵一帯からでる材木は筏(いかだ)にして運び出していました。飯能からここまでの道も狭く、それ以前は牛車などをつかっていましたが、運べる量も限られていたので、台風がくるのを待って川で流す”筏流し”が主流になりました。一度川の淵に木材を貯め、あらかじめ筏を組んでおいて、水量が増えた時に一気に運ぶんです。4mくらいのものを5つ繋ぎ、筏師が3人くらい乗って下っていきました。名栗川、入間川、荒川、隅田川を通って、東京の木場まで運びました。
東京までは1週間から10日ほどかかります。帰りは武蔵野線に乗ったり、あるいは荷馬車などに乗って帰ってきました。若い人なんかは遊びに行ってしまってなかなか帰ってこない人もいたそうです。お金もらって帰ってきますから(笑)。



昔は大変だったんですね。台風で水の量が増えたときを見計らって、筏で運んでいたんだそうですが、これはやはり危険を伴う方法なので、事故も多かったそうです。
その後、西川材は陸路で運搬されるようになり、昭和30年頃には材木産業はピークになりました。飯能駅の周辺は、ほとんどが材木関係のお店だったといいます。しかし、木材の輸入自由化で需要はどんどん減り、名栗地区に40軒近くあったお店も、現在では10軒を切っています。
こうした中、西川材の魅力を改めて広める方法はないか…そう考えた町田さん。
晩酌をしている時に、ふと思いついたのがお酒でした。


◆「きこりの夢」
私は現役で製材をやっていますが、杉には杉の匂い、ヒノキにはヒノキの匂い、イチョウにはイチョウの匂いと、それぞれに匂いがあります。その中でも西川材のスギ・ヒノキは製材機で木を引いていると、ぷ〜んと香りがしてきます。それでこの西川材の香りをなにかに入れたらどうかなと思ったんです。
杉の樽に日本酒を入れると匂いがするのは知っていましたが、同じことをするのも嫌だったので、杉じゃなくてヒノキを使おうと思いました。私は焼酎が好きなので、市販の焼酎の中に割り箸のように切った西川材のヒノキを入れてみました。
そして1週間ほど置いておくと、とてもいい香りが出てきました。飲んでみるととてもうまい!そこで商品化できないかという話になり、酒屋さんに相談に行ったら快諾してもらいました。
「西川材 桧の香り酎・きこりの夢」という銘柄で出しているんですが、糖分を入れることによって、まろやかになり女性向きの味になります。ロックだと特に女性向きです。ただ、あまいからといってグイグイ飲むとけっこうききますよ。アルコール度数が高いですからね。



町田木材の町田さんが考案した、西川材の香り付けをした焼酎ベースのお酒、その名も「西川材 桧の香り酎・きこりの夢」。町田さんによれば、ロックがおすすめとのこと。
こちらは現在、飯能市内の酒屋さんでのみ取り扱っています。取り扱い店舗などお問い合せは、飯能商工会議所までお願いします。

今回お伝えした内容はポッドキャストでも詳しくご紹介しています。
こちらもぜひお聞きください!


【今週の番組内でのオンエア曲】
・桜の森 / 星野源
・アオゾラペダル / スガシカオ
«Prev || 1 | 2 | 3 || Next»

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

あなたからのメッセージ・ご意見をお待ちしております

各放送局の放送時間

  • JFNヒューマンコンシャス募金は鎮守の森のプロジェクトを応援しています。

ポッドキャスト

  • ポッドキャスト RSS
  • ※iTunesなどのPodcastingアプリケーションにドラッグ&ドロップしてください。
  • 鎮守の森のプロジェクト
  • EARTH & HUMAN CONSCIOUS
  • LOVE&HOPE〜ヒューマン・ケア・プロジェクト〜
  • AIU保険会社

PAGE TOP