今週は、世界と日本の「巡礼の道」と「森」のお話をお届けします。
お話を伺ったのは、作家・福元ひろこさん。この方は、実際に歩いて旅した各地の巡礼の道のことを「歩く旅の本 伊勢から熊野まで」という本に綴っています。

◆サンティアゴ巡礼路、熊野古道 歩く旅
高橋:歩く旅を何度も重ねているということなんですが、なぜ歩こうと思われたんですか?
福元:30歳くらいころ、仕事もそれなりに一段落して、周りからそろそろ結婚しないのかとか、孫の顔が見たいみたいなプレッシャーを感じるようになりました。それで、自分が本当に何を求めているのかを考えたいなと思ったときに、やはり日常の中にいると周りからの声が気になってしまって、本心がわかりにくくなってしまうんですね。それでちょっと日常から離れたところにしばらく行ってみたいなと思ったんです。それで歩こうと思いました。
高橋:元々歩くのはお好きだったんですか?
福元:いや、全然そんなことはないですし、歩く以外でも社会人になってからほとんど運動をしていないですね。
高橋:いちばん最初の歩く旅はどこだったんですか?
福元:フランスから入って、スペインを通るサンティアゴ巡礼路というヨーロッパの道があるんですが、そこを最初に歩きました。日本でいうところのお遍路さんみたいなものですね。みなさんは、お遍路さんって傘をかぶって、白装束でっていうイメージがありますよね。ああいう感じでヨーロッパではサンティアゴ巡礼路のこととか、巡礼路をあるく巡礼者のことがよく知られて、巡礼者のシンボルがホタテ貝なんですけれども、ホタテ貝を持って大きなリュックサックを背負っていたら、この人は巡礼者だなというふうにわかってくれるんですね。なので、ウロウロ困っていたら、道に迷っているか、宿に困っているんだろうなって向こうの人は思ってくれるので、比較的やりやすいというのはありますね。
高橋:サンティアゴ巡礼路を歩くのに、どのくらいかかったんですか?
福元:私は変形ルートだったので、だいたい1000kmくらいを二ヶ月かけて歩きました。
高橋:1000km、2ヶ月!?それはどんな準備していくんですか?
福元:荷物はだいたい2泊分くらいの衣類と寝袋、まあそれだけですかね。というのは、あまり重たくし過ぎると歩けないんですよ。これがまさに歩くたびの面白さでもあるんですが、荷物が重ければ重くなるほど辛くなるわけですよ。そうすると、最近「断捨離」が流行っていますが、そんなレベルではない、かつてないほどの真剣さで本当に必要なものと必要ないものを考えだすわけです。そこに自分が見えてくるというか、例えばシャンプーと洗顔フォームと石鹸は必要なのかみたいな(笑)化粧水と乳液は本当にふたついるのかとか。私が印象的だったのは、フランス人の女性なんですけど、彼女はいつもドライヤーで髪を乾かしてるんですよ。それで、いつも荷物が重い、重いって言っているんですね。だったらドライヤーを置いていけばいいじゃんって言ったら、彼女は「いや、自分にとってはドライヤーで髪の毛を乾かしている瞬間が、自分が女性だって感じる時間なので、これは絶対に自分の人生に必要な時間だから、ドライヤーは絶対に手放せない」って彼女は言ったんですよ。そういう感じで、自分にとって大切なものがわかってくるんですね。本当に人によって残すものが違うんです。
高橋:ただ歩く旅と聞くと、なんか大変そうだなと思いますけど、そういう感情は味わいたいなと思いますね。
福元:そうですね。究極の時にしか出会えない自分を見つけられるというのはすごく魅力のひとつですよね。
高橋:サンティアゴ巡礼路が終わってから、伊勢神宮から熊野古道まで歩こうと思われたんですか?
福元:サンティアゴ巡礼路はすごくいい体験だったので、日本の中にもこういう体験が出来る道があったらいいのになと思ったんです。それにヨーロッパを歩いていると、色んな人に日本のことを聞かれるわけですよ。日本代表みたいな感じで。だけど、全然日本のことを知らない自分がいて、やはり日本のことを知りたいなと思って、それで日本のなかでどこかいい道がないかなと探していたんです。
高橋:伊勢神宮から熊野古道までというと、距離にするとどのくらいあるんですか?
福元:伊勢神宮からですと220kmくらいですね。
高橋:そう聞くと、サンティアゴよりはだいぶ短いなと思いますが、どうでしたか?
福元:距離的には短いんですが、肉体的な大変さは伊勢路のほうが上でした。というのは、サンティアゴの道って、フランス国内は結構アップダウンがあるんですが、スペインに入ってしまうと本当に平らなんですよ。で、熊野古道のなかでも、伊勢路といわれる道はもっとも峠が多い道といわれていて、多い日ですと一日に3つとか4つの峠を超えるんですよ。軽い登山を3つくらいするみたいなものなんです。
高橋:しかも荷物をしょってですよね。
福元:結局10kgぐらいですかね、伊勢路で背負っていたのは。
高橋:福元さんが歩いた熊野古道って、ルートがたくさんあるって聞いたんですが、どのルートになるんですか?
福元:伊勢神宮から熊野本宮大社まで続く伊勢路という道になりますね。熊野古道は現在歩ける道は5本あるんですね。ひとつは和歌山県の紀伊田辺という街から通じている中辺路という道。それから紀伊半島をずっと南下して海岸を沿うようにして歩く大辺路という道。高野山から続いている小辺路という道。また、昔の平安時代の貴族たちが旅した道で、京都から船で大阪に行って、大阪から紀伊田辺までいくのが紀伊路といわれていて、そこからは大辺路にいくか中辺路にいくかにわかれます。あとは伊勢神宮からの伊勢路という5本の道があるんですが、わたしはそのなかの伊勢路を歩いたんです。
高橋:なぜ伊勢路にしようと思われたんですか?
福元:わたしはスタート地点も大事だと考えているので、伊勢神宮からスタートしたかったということがあります。それに、わたしは関東の人間なので、伊勢から熊野まで歩けるということを知らなかったんですね。そこに道があるということも。なので、そんな道があったなら是非歩いてみたいということもありました。また、日本を知りたいという動機があったので、伊勢神宮と熊野って、日本の聖地ですから、そのふたつを繋ぐ道を歩いたら、より深く日本を知れるのではないかと思ってその道にしたんです。



福元さんのお話いかがだったでしょうか。サンティアゴ巡礼路の1000kmを2ヶ月で踏破したなんて、すごいですね。
それに「断捨離」のお話も印象的でしたね。本当に何が必要かなんて、なかなか考える機会もありませんし、究極の状態でしか出会えない自分とういものがそこにあるんでしょうね。


今回の福元さんのお話はポッドキャストでも詳しくご紹介しています。
こちらもぜひお聞きください!


【今週の番組内でのオンエア曲】
・TREK KING SONG / キリンジ
・RPG / SEKAI NO OWARI
今週も引き続きツリーハウスクリエイター、小林崇さんのインタビューです。
小林さんは現在、ジャパンツリーハウスネットワークというNPO法人や、ツリーハウスクリエーションという会社を通じて、ツリーハウスの情報発信や、クリエイターの養成講座なども行っています。
20年前にツリーハウスの魅力に魅せられ、こうした活動を続けてきた小林さん。
最近は、こんなことを考えているそうです。

◆自分らしく生きていく
実はちょっと前まで首を痛めて入院していたんです。20年間休んだことがなかったんですが、3週間入院しました。全身麻酔6時間というハードな手術を受けたんですが、全身麻酔を受けると呼吸も一時的に止まる。それはつまり一度死んじゃうってことじゃないですか。
そして、手術を受けた後、ああこれは、あとはおまけの人生だと考えました。だから、楽しいことにストレートに向かっていって、それ以外の余分なものは会社であれなんであれやめていこう、そんなものはなくても自分の生き方はできると考え、キャンピングカーを買って旅にでようと思いました。そこで生活しながら、日本中に100くらいある、作ったツリーハウスを写真に収めるんです。できるだけ同じ場所にいず、どこにいるか良く分からない状態にしようと思っているんです。
別に会社がやりたいわけじゃないんです。NPO法人が好きなわけでもないんです。自分の表現の形が日本だと限られるから作ったんですが、そんなものなくてもいいなと思ってます。どれだけ自分らしく生きて行けるかが大事です。



小林さんがいまやりたいことは旅なんだそうです。これまで手がけてきたツリーハウスを、壊れたものも含めて写真に収めるそうで、その写真は写真集としてまとめる予定だそうです。ぜひ見てみたいですね。
そして、小林さんはもうひとつやりたいことがあるそうです。

◆ツリーハウスでの過ごし方
いままで100ものツリーハウスを作っていますが、自分のツリーハウスがないんです。ですので、自分のツリーハウスが欲しいですね。サーフィンをやるので、遠くに海が見えるところがいいですね。あまり海のそばではなく、滝があって川があって海が見える高台の木の上。周りに畑があって、川で釣りができて、海に潜ってもなにか捕れる、そんなツリーハウスが理想です。五年以内くらいに実行しようと思っています。日本に限らず、海外でもいいですね。同じ地球の上なんだから、それほど変わりはありませんから。
ツリーハウスに人といると、会議室やカフェでは、普段話さないような話になります。ツリーハウスはそんな場所なのかなと思います。海は人を開放させますが、森のなかは自分の中の世界に入っていくような感覚があります。日本は木がそんなに大きくないので、小さいツリーハウスになるんですが、小さなツリーハウスの中に入ると物思いにふけるようになりますね。養成講座の生徒は今まで100人くらいいるんですが、仕事を辞めてしまう人が多いんです。結構、考えちゃうみたいですね。
ツリーハウスのなかでひとりで過ごすのならば、気に入った本を一冊もっていきますね。森のなかは静かなので、耳を澄ましていくと、川の音だったり、虫の音だったり、葉の音が聞こえるようになります。つまりそれはなにもないから。なにもなければ一つのことに集中できますから、本を読んだり書いたりするのがいいですね。好きな人と一緒にいるのもいいかもしれない。


スナフキンのように自由に生きている小林さん。最後は、ツリーハウスを通じて、いまの子どもたちと、そしてその親に伝えたいことを伺いました。

◆経験から学ぶ
子どもたちがやるデタラメさを大人たちが許すかどうかだと思うんです。登った木から落ちてしまうかもしれないし、指に釘を差してしまうかもしれませんが、それをo.k.という意識が必要です。この木は危ないとか、この木はよくないとかということは、自分は経験値としてありますが、はじめのひとつはどんな場所につくってもいいんじゃないでしょうか。学校の木につくっても、公園の木につくっても、怒られるかもしれないけれども、ツリーハウスは元々はそういう遊びだと思うんです。ツリーハウスって秘密基地じゃないですか。大人にバレたら怒られるよね、というような場所に内緒で作るものだから、周りを気にしなくていい。次の日には壊れてしまうようなものでもよくて、そういうことの積み重ねで覚えられることがたくさんあるだろうと思うんです。


4回にわたってツリーハウスクリエイター小林崇さんのお話をお届けしましたがいかがでしょうか。
ポットキャストの方でも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!


【今週の番組内でのオンエア曲】
・Fallin' For You / Colbie Caillat
・Day Off / Def Tech
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