今週 ご紹介するのは長野県で行われている、森を守る2つの取り組みにスポットを当ててお届けします。
場所は長野県伊那市と、東御市。
この2つの地域の里山で活動をしている、NPO法人 森のライフスタイル研究所 所長の竹垣英信さんにお話しを伺いました。


高橋:森のライフスタイル研究所というのはどういう団体なんですか?
竹垣:森づくりと人を仲良くしていく団体です。いまは、人が森に対して非常に無関心なところがあるんじゃないかなということを感じます。ですので、なるべく人が森づくりに関心が持てる社会を作ろうと思って活動しています。
高橋:森のライフスタイル研究所が行なっている、森林を守り、育てる活動のひとつがコスモ石油の支援を受けて展開する長野県のプロジェクトということなのですが、これはどういうものなのでしょうか?」
竹垣:ひとつは長野県の東御市というところでやっている「どんぐりの森 里山再生プロジェクト」です。山火事になって木がほとんどなくなってしまった森に、コナラや桜やケヤキなど、広葉樹の苗を4ヘクタール約1万3000本ほど植えています。去年全て植え終わったので、今は下草刈りを続けています。
もうひとつは長野県伊那市でやっている「アカマツの森 里山再生プロジェクト」というものです。1960年代くらいまでは、焚き木に使うのにアカマツの落ち葉を使っていたんですけど、石油が日本に多く入ってくるようになって落ち葉かきをしなくなってしまったんですね。そうすると、蓄積されたものがずっと山の中に残っていってしまうので、それを熊手でかいて、元の落ち葉のないような状態の森に戻しています。
高橋:「どんぐりの森 里山再生プロジェクト」ではもうずいぶん木は大きくなったんですか?
竹垣:僕の胸くらいまでには育っていってくれています。ただ、雑草が生えるんですよ。ツル状のものが植えた苗木にクルクルまとわりついてくるので、そのツルを切ったり、周りの雑草を刈ったりしています。
高橋:子供たちも活動に参加してるんですか?
竹垣:近くの公園や森からどんぐりを拾ってきて、それを幼稚園、保育園の園庭で育ててもらっています。それを山火事跡のところに植えていこうという、どんぐりプロジェクトという活動をやっています。
高橋:どんぐりというと、この番組でも東北の方に取材で行って、どんぐりを拾って、自宅に持って帰って苗木まで育てようとしたんですけれど、2年連続失敗をしていてるんです。どうしても芽が出てこなかったんですけれど、子供たちはうまくやれているんですか?
竹垣:そうですね。そんなに失敗してはいませんね。。。
高橋:本当ですか。。。
竹垣:緊張しちゃうんじゃないですかね、どんぐりも(笑)育て、育てと思うと、「いやいやちょっともうちょっと温かい目で見て欲しいな」っていう(笑)真剣にやりすぎると緊張しますよね、どんぐりも。だから僕らの発案も正しいことを楽しくというのがテーマなんです。森を育てるとなると、50年60年、それこそ100年掛かっていくものなので、100年間って、人間ってそこまで集中力持たないじゃないですか。だから、楽しいことも織り交ぜながら、なるべく継続して参加してもらおうということでやっているので、地域のワイナリーに行って見学をしたり、そんなこともしながら森と地域とを繋ぐ活動をしているんですね。
高橋:なるほど。今活動されているなかで、将来は里山をどんなふうにしたいというのはありますか?」
竹垣:地元の方が、そこを将来的には地域の人たちが集まれる公園のようにしたいという思いが非常に強かったので、花見の時にはみんなで桜を見れるように桜も街道沿いに多く植えています。あとは生物ですね。森を整備することで虫もたくさん増えてきているので、その虫たちにとっても暮らしやすい環境にしたいですね。今年の8月に下草刈りに行ったときに、蛙がたくさんいたんですよ。トンボや蝶もたくさんいたんですね。自分たちが森を作っていく上で、そういう生物、昆虫といったものがたくさん増えていくと、なんか嬉しいなと思いますよね。そこに僕たち人間も仲間に入れてもらえているような気がして、なんかすごい嬉しかったですね。
高橋:活動を続けてきたなかで、見えてきた課題はありますか?
竹垣:ちょっと目を離すと、雑草やツルがどんどん伸びるんですね。だからこれをどうやって共生していくっていうことですね。共生するとなると、何もしないこともひとつなのかもしれないんですけれども、植えた苗木っていうのは最後まで人間が面倒見ないといけないのかなと思うところもあるので、そこは継続的に手を入れ続けることが必要かなと思います。あとはやっぱり、森で暮らす虫たちにとっても暮らしやすい環境というものがあると思うので、そこを大学の先生たちに相談しながら、人も虫も元気になれる環境を作っていく、それを継続的に長続きさせていくことが必要かなと思います。
高橋:竹垣さんご自身が森のすごさを感じることって何かありますか?
竹垣:問答無用にリラックスできることですね。森の中に入ると、時間を忘れてずっと居ることができます。草刈りって非常に大変な仕事なような気がするじゃないですか。植林するにしても、5000本植えるわけですから、すごい作業という感じがあるんですけど、いざ苗木を目の前にする、草を雑草を目の前にすると、一心不乱にできるんですね。それってなんかこう自然の持つ、森の持つオーラ、力というものが人間にポジティブな影響を与えてくれるような気がします。
高橋:今後の活動予定を教えてください。
竹垣:10月4日、5日に長野県の伊那市でアカマツ林の中に入って、菌根菌調査というのをします。要は松茸狩りに行こうかなと。
高橋:へえ〜すごい!
竹垣:アカマツ林というのは土壌に栄養が少ない方がいいんですが、落ち葉かきをしてそういう形にしているわけです。そうすると元々アカマツ林にあったきのこ類がどう出てくれるのかなというのがあるので、そこを調査していきたいと思います。先月に、松茸出たよ、菌根菌発生したよ!という情報が得られたので、ちょっとこれは期待できるかなと思います。
高橋:その菌根菌調査は一般の方も参加できるんですか?
竹垣:はい参加可能ですので、ぜひ「森のライフスタイル研究所」のホームページをご覧ください。
高橋:今日は本当に貴重なお話ありがとうございました。



本日のお話はポッドキャストでも詳しくご紹介しています。
こちらもぜひお聞きください!


【今週の番組内でのオンエア曲】
・Night Like This / LP
・Mine / Taylor Swift
今週お届けするのは、南の島の「森」のお話をお届けします。
場所は、オセアニアにある島国、パプアニューギニアです。
この島では今、日本の企業の取り組みとして、日本人の手によって、熱帯雨林の保全が続けられているんです。
今日は、この活動を担う公財団法人オイスカ国際事業部長 長宏行さんにお話を伺います。


高橋:これはコスモ石油の森林保全のプロジェクトの一環ということなんですが、なぜパプアニューギニアで活動することになったのですか?
長:コスモ石油さんの支援を受けて本格的に熱帯雨林保全プロジェクトとなったのが2002年ですから、13年位前です。パプアニューギニアは元々は9割以上が熱帯雨林でした。特筆すべきは700くらいある部族のほとんどが森の恩恵を受けて、森とともに暮らしている人たちなんです。
高橋:その森が破壊されてしまったということなんですかね。
長:はい。そうですね。俗にいう戦後ですかね、海外からいろいろな物が入り、人が入り、医療が改善され、人口がどんどん増えていきました。それにつれてかつて9割あった森が6割くらいに減ってしまいました。
その森林破壊の原因なんですが、まずふたつあります。ひとつは海外からの木材を求める業者による伐採です。これが原因の48パーセントくらいを占めます。残り45パーセントくらいが焼畑農業による森林の破壊なんです。国民の8割くらいが農業に従事していますが、その農業というのが焼畑農業なんです。焼畑農業というのは元々持続可能な、自分たちの欲しい作物をつくる分だけ森を焼いて、生産性が悪くなったら、次の森を焼いてという形で回っていくものだったんですね。ところが人口が3倍以上に増えているので、森も3倍以上破壊される。それだけではなく、かつては自分たちの欲しいものだけでよかったのが、いまは換金作物、街で売るものまで焼畑農業でつくるようになっています。焼畑農業が持続可能ではない農業になってしまっているという現状があります。
高橋:そのふたつの理由で森林が破壊される、そこにどんなことで働きかけていったんですか?
長:プロジェクトでは有機農業を教えています。焼畑農業というのは焼いた森の灰を肥料にして作物を育てるのですが、養分がすぐになくなってしまいますので、1年位で駄目になってしまうんですね。しかし有機農業は自分たちで肥料も作りますので、非常に集約的で、狭い面積でできます。また、肥料を街から買ってくるといのは、アクセスの点で森に住む方にとっては難しい。歩いて何日もかかる場所に住んでいる人もたくさんいます。自分たちで肥料が作れれば、森を焼かなくても養分を補充できますので、同じ場所でまた作物ができるんですね。といったところから焼畑農業に替わる農業として有機農法の普及に取り組んでいます。
高橋:じっさいにそうやって有機農法を地元の方に教えるということで現状は変わったのでしょうか。
長:残念ながら、我々は当初はそれでうまくいくと思っていたんですが、やはり、住民の方は豊かになるためにはもっといろんなものが欲しい。そういったニーズにも真摯に耳を傾けて、こちらで色んな物を提供していかなければいけないなと取り組みが変わってきました。たとえば、籐ですね。ラタンという籐の椅子とか、そういったつる性の植物があります。これ現地にはたくさんあります。ジャングルがありますから。ただ、編み方があまりよくわからなかったんです。そこで、その編み方をきちんと教えれば椅子とか色んなものが作れるんですね。こういうことを習得すれば、あえて森を伐採しなくても、彼らは収入を得られる。そういった農業だけではない、多角的に森とともに暮らせるような、持続可能な産業を色々教えています。
高橋:その結果、プロジェクトがはじまって13年ということで、パプアニューギニアの森はどうなりましたか?
長:当初は、森がなくなるということは、言葉としては聞いていたのですが、我々の拠点の周りではジャングルだらけで、正直、住民の方々も実感はあまりなかったんです。ただしかし、ここ5〜6年、外資系の伐採業者の方々がどんどん入ってきています。彼らはたくさんのお金を目の前に積んで、ほとんど現金収入のない村の方々に、この土地を売ってくれ、材木を切らせてくれという。現地の人達のリアリティといのは、豊かになりたいんですね。テレビも観たいし、携帯電話も欲しい。そんななかで、現金が欲しいというのは彼らの願いなんですね。
ただ最近、有機農業を教えたり、籐の編み方などいろいろな研修をしていた山奥の三つの村が宣言をしたんです。我々はオイスカさんとコスモ石油さんの事業とともに生きていく。教わったものを活かして、森を切らない、伐採業者には売らないという宣言をしてもらいまして、それで伐採業者が手を引きました。これはとても嬉しいことでした。
高橋:私たち第三者は、森を切らずに保全してと言うのはすごく簡単な事ですが、地元で暮らしている方にとっては、それがお金に変わるのであれば、生活を楽にしたいって思ってしまうのもあたりまえなんですね。森を持ちながらも豊かになろうという意識を変えるのはすごく大変だったんじゃないですか?
長:そうですね。豊かになりたいという人も確かにいるんですが、一方で森の大切さを十分にわかっていて、保全したいという方もいるんですね。そういった思いの人をどれだけ広げて、なおかつ森と生きていく術をどれだけ提供できるか、その運動をどれだけ広げていくかということは、結局は人が変わっていかなければいけない、人づくりなんですね。それを普及させていく人たち、指導員とかインストラクター、こういった方々を育てるのは一朝一夕ではできないというなかで、有機農業の研修事業をやっております。おかげで今では国の中で、職業訓練校という指定を受けまして、州政府からも補助金を受けて、半公的な機関としてやっています。この国唯一の稲作をはじめとした有機農業の研修機関として指定をされて現在に至っております。
高橋:なるほど。世界各国の森に行かれている長さんが考える豊かな森とはどういうものなんですか?
長:そうですね、この間パプアニューギニアの森に現地の方々と行ったんですね。そうしたら、現地の女の子が30分もしないうちに、手にいろいろな草を抱えているんです。それはみんな食べられたり、飾れるもので、生活に必要な物なんですん。なんてこの子たちは豊かなんだろうと、僕はなにもわかっていないのに、と思いました。これが豊かな森だと思います。
ただその豊かな森を守るために、もうひとつ民家の周りには里山ですとか、鎮守の森ですとか、自分たちにとって使えるような木々を植えておくと、原生林のような森をあえて過度に切る必要はなくなる。そういった二層の森をつくることが、我々人間にとっては、結果的に豊かな森になるのかなと思います。
高橋:森の捉え方自体、私たちは考えなおさなければいけないかもしれませんね。そう考えなおせたらすごく豊かになる、いいことがたくさんある感じがします。
長:そうですね。彼らはたくさんの知識があります。そういう意味では、人間そのものを考えてもどちらが豊かなのかなと考えさせられるようなところがあります。そういう財産を持っている人々こそが豊かだと思いますし、そういう財産である森なんだなと思っています。
高橋:今日は本当に貴重な話をありがとうございました。



公益財団法人オイスカ国際事業部長の長宏行さんのお話いかがだったでしょうか。
このインタビューはポッドキャストでも詳しくご紹介しています。
こちらもぜひお聞きください!


【今週の番組内でのオンエア曲】
・It's A Beautiful Day / Michael Buble
・Need You Now / Lady Antebellum
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