今週も引き続き珍しい植物を追い求め日本全国、世界全土を旅するプラントハンター、西畠清順さんのインタビューです。

明治元年から続く花宇という植物卸問屋の五代目。先代のお仕事を受け継ぎつつ、海外の珍しい植物を年間200トンも輸入するという、誰もやってこなかったジャンルを開拓した革命児。
きょうは、西畠さんが、ものすごい労力をかけて、海外の珍しい植物や、大きな木を 日本へ持ち込む 目的について語って頂きます。
そして、今まさに手掛けている巨大なプロジェクトについても伺います。

-大きい木を見たり、鎮守の森なんかへ行くと、言葉で表せない感じを受けます。
そういう衝動って人間にとって、正直なことじゃないですか。ぼくは食虫植物と衝撃的な出会いをして、植物のことが好きになったわけですが、ぼくが大きな木をもってきて、それをテレビで見たり、あるいはそら植物園のプロジェクトを見たりして、衝撃をうけて、それをきっかけに植物のことが好きになってくれたらいいなと思っているんです。それを説教臭く、「木を大切にしないといけない」とか言っていたら、子どもたちは振り向いてくれない。大人たちも振り向いてくれないかもしれない。だから極端な例を見せることによって、その世界に開眼するというか、いろんな人に植物に振り向いてほしいから、あの手この手を使ってるという感じですね。

-東京でも大きなプロジェクトを手がけていますね。品川区の緑化の取り組み、あれはどういうことをされているんですか?
大崎のプロジェクトはおそらく都内で一番規模の大きな再開発で、最大級のタワーマンションがあって、オフィス棟があったり、商業施設があったり、公園や広場が7つくらいあったりするんですが、そこの植栽の基本構想、樹種選びなどをさせていただいたんです。

これは20年くらいの巨大なプロジェクトで、ぼくが入ったのは最後の2〜3年です。だから、どこの公園にどんな木を何本植えるというのは、ほぼ全部決まっていたんです。決まっていたのに、ぼくを招いてくださって、それでほとんど一から全部考えなおしました。街全体をガーデンシティにするという構想でやっているにもかかわらず、まったく特徴がなかったんですよ。だから、全部コンセプトを考えました。元々は四季を売りにする街にしたいっていっていたんですが、たとえば”四季”と”ガーデン”ってインターネットで検索すると大量にでてきます。ですから、そうじゃなくて、もっと人が街のなかを巡れるようなとか、もう一歩踏み込んで、強い引っ掛かり、コンテンツをつくった方がいいなと思ったんです。それで広場を7つに分け、それぞれに全部特徴をつけたんです。ここは食べれる森にしようとか、ここは住む場所に近い広場だから見通しがいいようにコミュニティガーデンにしようとか、ここはオフィスの場所だから四季とか、色の移り変わりがわかるようなカラフルなガーデンにしようとか、ここは普段人が通る場所じゃないから、オアシスというテーマにしようとかというのを、いちいち全部コンセプトを考えました。そして、それを象徴するシンボルツリーをそれぞれの広場につけて、そういう色んな所を回れて、もちろん緑にあふれていて、学びになるような感じにしたわけなんです。
たとえば、食べられる森、エディブルパークっていうんですが、世界中の果樹をたくさん集めて植えています。そこのシンボルツリーはオリーブです。ところで、実をつける木の中で一番長生きするものってなにか知っていますか?樹齢1000年、2000年生きる、実がなる木といったらほぼオリーブしかないんですよ。そこで、スペインから巨大なオリーブを持ってきて、植えています。


オリーブも含め、通常の産業植物は古くなると実のつきが悪くなるので、更新されていくわけです。でもオリーブの木は美しいので、古くなっても、庭のオブジェとしては最高だなと思って、そこに目をつけていち早く輸入し始めたんです。


-じゃあ大崎に行けば、見事なオリーブの木を見ることができるんですね。
会えますよ。たとえばコミュニティガーデンだったら、見通しのいい木にするために、イトスギがシンボルツリーになっていたりとか、カラフルガーデンだったら、日本の四季を代表するようなモミジがシンボルツリーになってたり、オアシスでは砂漠の植物がシンボルツリーになっているんです。いろいろあるなかで、オリーブというのは、エディブルパークという一部のシンボルツリーのみならず、街全体のシンボルツリーにも選ばれたんですよ。あるときこの街にシンボルツリーがいるなと思った時に、大崎という街をブランディングするというのがひとつの大きなテーマだったんで、「大崎に住むことをブランディングするか…」と思って、大崎に住むを英語で書くとOに住むだから、OにLIVEか…あ、オリーブだ!と(笑)

それだけが理由じゃないんですが、オリーブというのは平和と繁栄の象徴であり、人が集う場所の象徴でもあるわけです。ノアの箱舟でも、洪水が起きて、ノアが鳩を放ち、オリーブの葉をくわえてきたから、そこに大陸があるって気づくわけですが、つまり帰る場所の象徴でもあるわけですよね。だから、それがいいんじゃないかなということで、オリーブを街の中心の交差点だったりとか、入り口とかに植えているんです。


今回のお話いかがだったでしょうか。
西畠さんのお話はポッドキャストでも詳しくご紹介しています。こちらもぜひお聞きください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・People Everyday / Arrested Development
・転がる岩、君に朝が降る / ASIAN KUNG-FU GENERATION
先週に引き続き珍しい植物を追い求め日本全国、世界全土を旅するプラントハンター、西畠清順さんのインタビューをお届けします。
京都の植物卸問屋の五代目にして、いままで誰もやらなかった、海外の珍しい植物の輸入に乗り出した若き革命児。
前回は海外の珍しい「ヤシの木」の輸入を、「誰もやってないなら俺がやるわ」と 挑戦したというお話の途中でした。
これまで不可能とされてきた、ヤシの木をどうやって日本で根付かせたのか。今回はその「企業秘密」の部分に迫ります。


-そのヤシをいままで園芸業界の方ができなかったのに、西畠さんができたのはなぜですか?
まず自分が海外で育てればいいと思ったんですね。ある程度育ったものを海外で輸出用の土ではないものに植え替えて、2〜3年かけて養生してもらうんです。それを輸入するんです。だから思い立ってから輸入するまで4年くらいかかったんです。現地の業者にも協力してもらわなければいけませんし、ヤシの種類によって、小さいうちに植え替えたほうがいいものと、大きくなってから植え替えたほうがいいものとか、いろいろあるんです。それは植物の生理的なことを知っていると、成功の確率が上がります。100本仕入れたら100本とも枯れてしまったということもありますね。

-それまで日本には3種類しかなかったそうですが、どれくらいの種類のヤシをもってきたんですか?
10種類近くあります。代々木VILLAGEにあるそら植物園の事務所に世界中のヤシの標本展示がしてあります。代々木VILLAGEは各国を代表する植物が一箇所に集まり、共存をテーマに、国境も人種も関係なく仲良く暮らしているという世界をメッセージとして、庭を通じて出しているんですが、二階は木をたくさん植えられないので、植木鉢に世界中のヤシの標本展示をしているんです。


-海外から来たヤシはちゃんと日本の土に根付くんですか?
植物は100種類あったら、100通りの育て方があるというわけでもなく、系統立てて分類すると、おおまかに10種類くらいの育て方に分けられるんです。極端なことを言うと3種類くらいに分けることもできるんです。ですから、100の植物を持ってこようという時に、それぞれに土や環境を合わせなくてもいいんです。

-それは西畠さんだからわかることなんでしょうね。
ぼくはこの仕事は13〜4年くらいの経験年数ですが、自分のやっていることに関しては人より30倍は覚えるのが早かったし、仕事だけは一生懸命やってきたので、ぼくだからわかるということにしておこうかな(笑)やっぱり好きだからということもありますね。

-根付くのは植物の力ですか。
もちろんそうです。だからそれをできるだけスムーズに発揮させてあげるようにします。うちの会社は20数人の会社ですが、3000種類以上の植物を生産管理していて、どこの企業よりもたくさんの植物を育てた経験があります。けれども、それぞれの植物のことを全部知っておくというのはとても難しいし、自分は植物を育てるのがうまい方ではないと思ってるんです。でもその植物の性質をうまく分類して、それに適した環境にセットすれば、あとは植物はストイックに生きていくので、それを邪魔しないようにしてあげるんです。

-西畠さんはどれくらいの大きさのものまで持ってくるんですか?
一本の木が13トンくらいのものを持ってきたことがあります。やっぱりでかいものは好きですね。巨木好きなんですよ。とくにぼくの好きな巨木は、自分が手に入れられるものです。
ぼくは小さい頃からヒーローが好きで、ウルトラマンみたいな強くて大きなものに憧れたんですよ。もちろん小さい花も好きなんですが、やっぱりでかいものは男子にとっては憧れですよね。巨木はぼくにとってはウルトラマンであり、憧れているものですね。たとえばアイドルはテレビの向こうの人ですが、もしそのアイドルが自分の目の前に現れて、会話できたりしたら、ひょっとしたら自分のものにできるかもしれないと思いますよね。そうするともっとそのアイドルにのめり込むと思うんです。巨木も一緒で、初めてマダガスカルでバオバブを見たとき、涙が出たんです。これは自分が扱える世界の外にあると思ったんですが、あるときマダガスカルの大使にあって、売りに出されているバオバブがあると言われて、手に入るかもしれないと思ったら、余計にバオバブのことが好きになるんです。手に入るかもしれないと思ったら、必死になりますよね。恋愛も一緒ですよね、どうにかなるかもしれないと思ったら頑張るし、手に入って、一緒になれたら嬉しい。そんなことを繰り返しているんです。

巨木を輸入するには何千万円もかかって、結局枯れてしまうこともあるわけです。つまりリスクが大きい。だから、何も考えずに突き進んでいるように見えて、じつはいろいろ考えてやっているんです。巨木を運ぶということはビジネスというだけではなく、自分の想いとメッセージを運ぶということも大切なことなんじゃないかなと思っているんです。


西畠さんのお話いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Talk About You / MIKA
・AFRICA / TOTO
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