先週に引き続き、 東北・宮城県沿岸部、女川町で生まれたばかり、 「女川ギター」のお話です。
地元の木材や国産材を使い、女川のギター工房で作ったオリジナルのギターで、 女川という町の新しい文化を作ろう!という若き代表の挑戦。 そこにはまだまだ、これまでにない面白いアイデアが盛り込まれているんです!
お話を伺ったのは、 女川のショッピング施設「シーパルピア女川」の一角に完成した ギター工房「GLIDE」の代表、 梶谷陽介さん。ギターの知識が本当に豊富で、さらに、南三陸のスギの木はイイ!とか、女川のミズナラを使いたい!など、 東北の木材も研究しており、びっくりするほど木材にも詳しいんです。
そんな梶谷さん、ギター作りには、女川など東北の木材を使うだけでなく、 この地域に古くから伝わる、優れた技術も盛り込めないかと考えているんです!

斬新で且つクオリティが高いギターを作りたいと思ってます。そこでクオリティを高めるっていうところで、宮大工さんの技術を活かせないかなっていうのは元々販売をやってたときからあったアイディアではあるんです。ギターは大半が木なので、木を扱うってことにかけては宮大工さんはやっぱりものすごい高いレベルで木を扱ってる方々なので、そういうレベルの木を扱う技術っていうのは、ギターに活かすと絶対ギターを良くできるんじゃないかっていうのは前々から思ってました。
東北には気仙大という、陸前高田にある宮大工の集団があると聞きまして、それで是非お願いしたいと思って会いに行きました。ギターの試作品とかパーツを持って行って説明をさせてもらったんですが、3分くらい沈黙が続いてですね、ギターを挟んで二人で沈黙して、そしたら「やりましょう。」っていうことで(笑)。技能グランプリで全国で優勝したことのある方で非常に繊細なお仕事をされる方です。
組み木もそうですし、やっぱりすごいなって、話をすればするほど思いますね。カットした木を見て、これはどれくらい曲がるなっていうがすぐパッとわかるんですよね。木には表と裏があるんですけど、これは表を外側にした方がいいとか。年輪中心側が裏ですね。中心に向いてる方が裏で、外側の向かってる面が表ですね。裏に向って木は沿っていくんですよ。そこで用途に合わせて裏表をどう使うかっていうのを考えるんですよね。
ギターで言えば、例えばネックにするときは、ギターの弦の張力がは5、60キロぐらいかかりますので、張力と逆方向に木裏を持ってくるとちょうど張力と反りが反発し合ってネックの剛性を高めるんじゃないかと思いますね。
今回試作を行う上で、設計図は全くなしでガンガン木を削っていくんですけど、もう頭の中でイメージして木をどうカットして繋げるかっていうのをやっぱりすぐわかるんですね宮大工さんって。すごいなと思いますね。


この番組でも何度か紹介している、 おとなり岩手県・陸前高田市を発祥とする、気仙大工。 江戸時代に生まれたという、高度な技術を持つ大工集団です。 民家だけでなく、神社仏閣を建てる技術を持ち、 かつては、全国的にもその名が知られていたそうなんです。
「適材適所」という言葉のとおり、木の特徴を知り尽くした気仙大工の技。その技を取り入れると、ギターはどんな風になるんでしょうか。

ギターはネックとボディの二つ、大きく二つのパーツに分かれるんですけど、その二つが一つになって、より物としての一体感が強ければ、振動性には均一性とか持続性が生まれるので、そのためにギターとしての一体感を出すっていうところに宮大工の組み木の技術を活用しながら開発しています。やっぱりクリア感の強い音が出ますね。

そしてこの、気仙大工の技術を活用するというアイデアは、いま、後継者不足という課題を抱える、大工さんたちにも大きな意味があるそう。 梶谷さんは、「ギターを入り口に、若い人たちが気仙大工・宮大工の技術を学ぶようなことがしたい」と考えています。 ギターを通じて、その技術を繋いでいく・・・すごいアイデアですね!!
東北がもつ、優れたモノ・技を結集して作る女川ギター。その音色は、どんな未来へむけて奏でられるのでしょうか。

事業を行う目的としては、やっぱりその地域の活性、女川の活性化ですね。雇用をつくるとか、地域の文化レベルを上げるとか、あと観光で人を呼ぶとか町の活性化のためという目的もあるんですが、ただ商品に関しては単純にいい商品として買ってもらえないと後に続いていく商品ではないと思います。やっぱり「復興のために作ったギターです」というイメージで売っていくものですと、一時的な復興への応援する気持ちとか同情する気持ちでしか買ってもらえないものになるので、どんどん事業を拡大していかないと結局雇用も増やすことできないですし、町の発展に貢献していくことできないので、やっぱりその事業を大きくするためには、より売れるギターじゃないといけない。その為には、まずは良いギターでないといけないっていうのを考えてます。ですので製品に関しては一切復興っていうエッセンスは使わずにいきたいと思ってます。
それは木についても一緒で、「女川の木を使ってます」とか、「東北の木を使ってます」っていう風に発信していっても結局それで音が良くないと東北を応援しようっていう気持ちでしか買ってもらえなくなるので、やっぱりいい木取りを行うためとか、クオリティを管理するために国産材とか近隣の木材を選んだっていう風にしっかり発信していかないと本当にいい商品として買ってもらえないだろうなと思ってます。なのでとにかくいいギターを作るために今突き詰めてるっていうところですね。
今後についてはできるだけ遠くで売るっていうところをやっていきたいと考えてます。特に海外を3年後にはメインにしていきたいなって考えてますね。やっぱりその地域の活性化のためには、資源と人とお金が循環してることが非常に大事だと思ってます。近隣の木材とか貝殻とかそういう地元の資源を使ってそれを製品にして外で売るっていう、地元で作ったものを地産地消というよりは、できるだけ遠くで売って外でお金を作って中にまた戻すっていうとで、地元の雇用を増やすことに貢献することも大事ですし、且つ外から人が働きに来れる場所にできるんだと思います。ですのでまずそのためにも製品を早く海外で売れるように、特に今後は東南アジアでのギター市場の伸びが一番高いと予想されていますので、早く東南アジアで売れる基盤を作りたいなというのが今の目標ですね。
イメージしてるのは、タイの田舎の少年が普通に弾いてるっていうことです。それぐらいあの東南アジアではもう普及してるっていうイメージですね。それはアメリカでもいいですし、ドイツでもいいですし、田舎に行っても持ってる人がいるっていうのが嬉しいなと思いますね、そういう風にしていきたいですね。
ライフスタイルをより豊かにするっていうテーマでずっと店もギターの製造もやってきてますので、所有する喜びですとか弾く上での楽しみっていうのをより実感してもらって生活を豊かになるっていうところに繋げていきたいなと思ってますね。


今回のお話いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・カロン / ねごと
・If It Makes You Happy / Sheryl Crow
今週は東北・宮城県沿岸部にある人口6800人ほどの小さな町、女川町で始まった、地元の木材を使ったギターづくりのお話です。
東日本大震災からまる5年が経過しようとする中、女川町では、地元の若い世代が中心となった街作りが進んでいます。去年の年末には、女川駅前から海へと延びるプロムナード、それを囲むように大きなショッピング施設、シーパルピア女川も完成。そんなシーパルピア女川の一角に製造販売を行うギター工房「GLIDE」があります。この工房を構えた梶谷陽介さんにお話をうかがいました。

 ここがギターの生産を行うGLIDEガレージという建物です。本当に素敵な建物ですね。ここが女川の文化を発信していく場所になるっていうのはやっぱり強く感じましたね。ですので、ここで音楽文化を発信していきたいし、町外県外から訪れる人を惹きつけられるような場所にしていきたいなというのは改めて感じましたね。
 震災が起こったとき、私は東京の大手楽器小売店で販売を担当していたのですが、楽器店としてできることはないかなというのを考え、現地に行って回ってる中で、中高生バンドとかダンスに頑張ってる中高生があんまり一流の場で自分が演奏したりとか、もしかすると一流のものに触れるっていう機会が非常に少ないなと思いました。そして、東京の大会に彼らが出れる仕組みを作ることができたんですけど、でもあの彼らがそこで大きくなってもどうせ都会に行ってしまうんだな、と思ったときに、やっぱり彼らが残れる産業が地元にないといけないんだなというのを感じました。それで産業を作って、なおかつ音楽やダンスの文化的な面でも地域の発展に貢献できる事業は何があるんだろうなっていうのを考えまして、それでギターの製造販売をやることにしました。じゃあ実際どこでやれるかなっていうことで場所を探し初めまして、そこで紹介されて来たのが初めてですね女川は。
 この女川得意の官民連携の仕組みが色んな事業がどんどんスピーディーに行われているっていうのは聞いてまして、全く新しい事業だったので受け入れてもらえるか非常に最初心配もあったんですけど、町長が「是非やろう。」と言ってくださっいました。
 女川は人口が今7千人くらいなんですけど、人口に対して音楽に対する熱量がすごい高いなと思いましたね。やっぱり音楽に関心が高い人が多いところの方がギターを作るうえで盛り上げていけるんじゃないかなっていうのを感じましたね。
 町長はメタラーですね。大のメタル好きで、ギターナイトっていう飲み会をたまに開かせてもらって、そこに町長も毎回来てくれて、ギターを弾きまくるっていう。すごい速弾きとか、非常に楽しい会を開いてました。


ということで、2014年3月に女川を訪れた梶谷さん、若い町長の即断即決で、すぐに活動を始めます。
 当時の女川はかさ上げ工事などもあったため、まず、東北・仙台に「国産エレキショップ・グライド」をオープン。女川でギターを作り、仙台で販売できる環境を作りました。実は仙台って、ギターキッズがたくさんいるのだそうです。
 そして今月12日。女川のギター工房では、「女川ギター」の第一弾モデルの発表会も行われ、いよいよ、本格的な生産がスタートすることになります。

 斬新かつ、クオリティが高いギターという、このふたつをしっかり押さえた良いギターを作りたいなと思ってますね。クオリティということには、素材の良さと木工技術の高さっていうそのふたつをギターに入れ込みたいと思いました。材料に関してはできるだけ近場の木を使いたいと考えていまして、東北の木を使っていくんです。元々日本で作るギターの大半は輸入材なんですが、大量に輸入した中から選定するというのではなく、伐採の段階から選定してクオリティ管理された木材を使うっていう発想なんです。それは木を伐採から乾燥、加工までの段階でできるだけコントロールされた材を使いたいというのがありまして、例えば生えてる場所、木をカットする段階でどの部分に使うっていうのを想定したうえで、どういう年輪の入ってる場所を使うとかですね、木の表裏をどう使うとかっていうところを、カットの段階から想定しながら使っていけるので、その場所に適した木材っていうのをギターに使っていけますね。結果それがクオリティを上げると考えています。
 南三陸は杉が有名ですので、ボディトップの装飾などにその杉を使えないかなというのを考えてます。杉は柔らかいので全部丸々には使えませんが、その柔らかさを質感っていうところで部分的に活かせるんじゃないかって考えてまして、例えばボディの表面に杉を薄く貼って木目を活かすとか、そういう部分部分に使っていきたいなと考えていますね。
 あとは今メインで試作をしているのがヒノキ、あとはホウノキ、ハンノキやカエデですね。ミズナラという木が女川に生えていると聞きまして、それが使えるなら使いたいなと思ってますね。ミズナラの木は非常に硬く、万能な木と言われてまして、高級な家具やウイスキー、ワインの樽などに使われるのがミズナラです。
 日本のミズナラは明治時代にはほとんど伐採され尽くしてまして、東北にももうほとんど残ってないんです。明治以前は大量に日本にも生えていた品種なんですけど、ほとんどが家具や樽用として伐採されて今ほとんどない。それがもし使えるなら是非使ってみたいなと思ってますね。
 やっぱりギターは木が本当に重要なので、木のことをしっかり知らないと良いギターは作れないですね。ギターは製造工程のほとんどが木工なんです。木を扱う仕事ですね、ギターを作るっていうのは。
 この事業を始めるにあたって、いろんな国内の有名なクラフトマンに話を聞きに行ったり、木材業者さんにも話を聞きに行ったり、とにかくいろんな人に話を聞いて自分なりに知識を深めていきました。


ご実家が農家で、周りに山がいっぱいある環境に育った梶谷さんは、日本のスギ材が安いことを、ずっと問題だと思っていて、スギにもっと価値をつけられれば、と思っていたそうです。
そして、ギターづくりで試行錯誤を続ける中、国産材でもしっかり良い音と強い強度を持つギターが作れることを確信したと言います。

 ギターに使う木材は、寒くて成長が遅い地域のものが良いとされてまして、アラスカやカナダの木はすごい良いとされていますね。あと南米の木材もギターには良いとされていまして、今まで日本の木がいいっていう話はありませんでした。そんななかで良さをしっかり伝えていくっていうのはなかなかチャレンジなことだと思うんですけど、でも絶対良さはあると思いますね。やっぱり東北、日本の北の部分っていうのは寒くて成長が遅い分だけ密度も濃くなるというメリットはありますね。

今回のお話いかがだったでしょうか。梶谷さんのお話はポッドキャストでも詳しくご紹介しています。こちらもぜひお聞きください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・恋のかけら / 奥田民生
・Thinking Out Loud / Ed Sheeran
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