プロジェクト概要

太古の昔より、森は動物や植物などたくさんの命を育み、田畑や海、川にたくさんのミネラルをもたらし、地域と暮らしを守ってきました。 東日本震災では津波でコンクリート堤防や松林がことごとく破壊される中、その森や、昔からその地方に根差す、深く地面深くに根を張った潜在自然植生の木々たちは、津波の勢いを和らげました。 関東大震災や阪神大震災では、大火により建物が燃える被害を食い止め、防災林として大きな役割を果たしました。 この「鎮守の森」をモデルとした森をできるだけ多くつくることは、災害の多いこの国に生きていく私たちが、後世に伝え残さなくてはならない貴重な知恵であり、自然と共生していく教訓でもあります。 番組「いのちの森〜voice of forest~」では、「鎮守の森のプロジェクト」が行う活動をはじめ、日本のみならず世界各地の森を守る活動を行う人や団体にスポットをあて、森の大切さについて考えていきます。

今週は、スタジオに自然音録音家 ジョー奥田さんをお招きして、お話伺います。
自然音録音家、ネイチャーサウンドアーティスト。世界各地の、森をはじめとした自然の中の音を録音して、その音源を発表し続ける、ジョー奥田さん。
2013年に、明治神宮の森の音のお話をしていただきましたが、今回はどんな 「森の音」のお話をしてくれるんでしょうか。


〜およそ5年ぶりの登場となります。ジョー奥田さんですよろしくお願いします。前回はフィールドワークにしている明治神宮の森を歩きながらインタビューをさせていただきました。ジョー奥田さんは、世界各地の森を始めとした自然の中の音を録音して、その音源を発表し付けていらっしゃいます。録音用のマイクがすごく特徴的とお聞きしたんですが。
 バイノーラルマイクと呼ばれるものなんですけれども、人間の頭の形をしたマイクで、人間の耳の形をしたゴムの耳がついていて、鼓膜の位置に高感度マイクがセッティングされています。これで録音すると人間が普段聴いている聴覚を正確にシミュレートできるんです。これで自然音を録音すると、音が前から聞こえてくるだけではなく、360度に広がるすごい立体的な音が録れるんです。
普段僕らが聴いている状態は、音が直接鼓膜に到達するものもありますけれども、例えば顔に当たって音が反射して周りこんで耳に入ってきたり、いろんな乱反射があるんです。それを正確にシミュレートするために人間の頭の形になっているんです。


〜じゃあ私たちがその音を聴くと、実際にその時、そこにいるように聴こえるという事なんですね。ジョー奥田さんがこれまでに発表されたCD、DVDのテーマは高知県四万十川、鹿児島県屋久島、奄美大島、東京明治神宮の森などですが、例えば「AMAMI」のCDは夜明け前から始まって、雨が降って小さな川を作って海へと流れ込む、まさに奄美大島の自然全体を再現していますね。
 僕がいちばん録りたい時間帯は夜の時間と朝の時間が交差する時間帯ですね。これから夜が開けていく、その時間帯がいちばん好きですね。大体4時だったり5時だったりするんですけれども、森に入るのは2時位じゃないですかね。僕は奄美大島の森を録音するまでは夜の森は行ったことがなかったんです。というか、行かないようにしていたんです。だけど奄美大島に行ったときに夜の森の入り方を教えてくださった方がいてそれから、だんだん夜の森に入っていくようになるんですけれども、これがとっても面白くて、夜の森に通うようになりました。ただ今でも怖いですね。
 やっぱり奄美大島も沖縄も、島の方々は皆さん共通して、山には山の神様がいて海には海の神様がいる。その真ん中の平地のところに人間が住まわせてもらっているという意識が強いんですね。山の神様に対する敬意の念があるんです。ですから、入るときにまず山の神様に手を合わせてご挨拶をします。「これから森に入りますけれどもものを取りにきたんではありません。自然の音をいただきに来ました」ということをお伝えして、森に入っていくんですよね。それで帰るときにはちゃんとご挨拶をして帰る。ときには、今日は入ってはいけないかもという何かを感じる時があるんですよ。そういう時は迷うことなくすぐに帰ります。これができないと、非常に危険な思いをしたりすることがあるんですね。ですから録音に出かけたときは、その場所に到着して最初の1週間くらいはほとんど録音しないです。いろんな場所を回って、どこで録音しようかというのを見て回って、その下調べに1週間ぐらいかけるんです。その間にだんだん自分の感覚といいますか、スイッチを切り替えていくんですね。自然からもらういろんな情報に対して敏感に受け取れるような準備を整えて、それから森に入るんですね。


〜神様に「録音をさせてください」と夜の森に入った時の雰囲気はどんなものですか。
 森は全体で1つの生き物なんです。ですから僕が森の中に入った瞬間に、森の中の全員が、鳥だったり獣だったり、みんなが僕が入ってきたことを知っているんですよ。そして録りたい場所にいって録音し始めるんですけれども、周りが緊張しているというのがわかるんですよね。見られているという感覚です。みんなが息を潜めて僕を見ている。そういう時間がしばらく続くんですよ。その間、録音をしながら、気配を消してじっと立っているんです。息もゆっくり吸ってゆっくり吐いて。そういう形で自分の気配を消すんですね。そして時間がある程度たつと、森の動物たち、鳥たちの緊張が解ける瞬間があるんです。受け入れてくれるというか許してくれるわけですよね。そこからが本当の面白い音が録れるんです。みんなが普段と同じ振る舞いを始めるんですね。鳥が飛び立ったて鳴き始めたり、猪がその辺の穴掘りを始めたり、いろんな音が聞こえてくるようになるんです。そうすると「ああ大丈夫受け入れられた」というかね、そんな感じがする瞬間があるんです。

〜それはどの森に行っても同じなんですか。
 夜の森の雰囲気は場所場所によってずいぶん違っているんです。例えば、奄美大島の夜の森と、屋久島の夜の森を比べると、奄美大島の夜の森の神様はとても怖いし厳しい。何か粗相があったりすると許しませんという位の厳しさがあるんですよ。だけど屋久島の夜の森の神様はなんだか優しい。ふんわりと暖かくて、それほど強さがないんですよね。ですからそれぞれの森によって、いろんなキャラクターがあるような気がしますね。

ジョー奥田さんのお話、いかがだったでしょうか。来週も引き続きインタビューの続きをお届けします。


「AMAMI」


「YAKUSHIMA」


「Kilauea Forest 24Hours」


「Tokyo Forest 24Hours」

【番組内でのオンエア曲】
・Scar Tissue / Red Hot Chili Peppers
・Moving On and Getting Over / John Mayer


今週も、4月に東京・明治神宮で行われたアースデイいのちの森のレポートです。
実行委員長の野中ともよさんにお話を伺いました。

実行委員長をつとめている野中ともよです。今年で10回目を迎えたいのちの森なんです。あと2年で2020年を迎えます。この2020年というのは、東京都民の皆さんはみんなオリンピックと思っていると思いますが、それと同時にこの明治神宮の鎮座100年祭でもあるんですね。この森は、元々は何もない武蔵野の大地でした。そこに苗木が植えられたのが100年前。その100歳のお誕生日があと2年できます。来年、再来年のいのちの森はもっとみんなに参加していただけて、私達の苗木もおおいに広げていきたいと思っています。ラジオをお聞きの皆さんも100年先の森作りに参加することが出来るプロジェクトがスタートしています。ぜひご参加をいただけたらと思っています。

「アースデイいのちの森」は明治神宮の森で、生命の多様性、つながりを感じ、地球と、つながるいのちへの感謝の気持ちを捧げるこのお祭。本当に伝えきれないほど色んなワークショップ、アクティビティがあるんです。
今回はその中から、この番組とも関わりの深い「鎮守の森のプロジェクト」による神宮の森のガイドウォークの後半の模様をお届けします。案内してくれたのは、東京農業大学の研究者西野文貴さん。明治神宮鎮座100年を前に行われた、大調査隊のメンバーの一人で、明治神宮の森の植物に大変詳しい方です。


 僕も実際に調査をしたんですが、東日本大震災のあと、いろいろなものが破壊され、津波によって流されてしまったなか、いわゆる”鎮守の森”は残っていたんです。そして、そこにあった木々は、いわゆる”ふるさとの木”だったんですね。ふるさとの木というのは、その土地に何百年、何千年続いて生きてきた植物たちです。何百年、何千年の間には、津波や地震のような天災が何回も来ていますが、それを全部耐え抜いて生き残った、本物の木です。僕が調査に回ったときは、この写真のような風景がよく見られました。杉は経済林としては当然大事な木なのですが、塩害には弱いし、津波のようなインパクにも弱いんです。なので、この樹木、杉は、津波の浸水にあったところが徐々にこ茶色くなって、2〜3ヶ月で枯れたというようなことがあったりします。
 実は東北の沿岸部のふるさとの木はスダジイではなくタブノキになります。これは南三陸町で撮った写真なんですが、わかりますか?根が強靭で、津波の影響をダイレクトに受けながらも残っています。ここで大事なのは、神社が残ったということだけではないんですよね。その後ろの家なども守られています。この知恵とか、知識を次の世代に活かして、次に来る天災にそなえようといのが鎮守の森のプロジェクトの内容になっています。
そして、この明治神宮のコンセプトである”永遠の森”といわれるものも、何百年、何千年続く森ですよね。ここにある木々はみんなふるさとの木が最後には残ります。
 みなさん上を見ると、大きい木だとか、中くらいの木とか、低い木とか、草もあったりしますよね。そういうふうに四層構造というのですが、高木、亜高木、低木、草本層。この4つの層がある森といのは、生物多様性的にも豊かで、防災的にも強いです。たとえば木によっては、津波に強い植物もあったり、風に強い植物とか、いろんなタイプの植物があります。そして、目には見えないですが、地下ですね。地面の中の根っこも大きい木は深く入りますし、低木は横にひろく入ったりします。そういうふうにいろんな根が絡むことで、防災的にすごく強い森ができるんですよね。じゃあそういうことも踏まえながらもう少し歩いていきますね。

 地味なんだけど、大事な植物にスポットを当てようと思います。ここにある植物、ちょっとジュラシックパークみたいな、昔を想像させるような植物ですね。これはシダ植物です。シダ植物は地球が誕生してから、最初の方に出てきた植物なんですね。苔、蘚苔類に始まり、水を吸い上げる能力が出てきた植物の最初がシダ植物になります。じつはものすごく馴染み深い植物なんですね。もう春はちょっと過ぎつつありますが、ゼンマイだとかワラビ、ツクシもシダ植物なんですね。じつはスギナと呼ばれる植物とツクシは地下でつながっていて、一緒の植物なんです。スギナの緑の葉は光合成をするための役割を担っています。そして、ツクシは自分の子孫を増やすため、胞子を飛ばす役割を担っています。 明治神宮は日本各地からの献木によって作られた森なのですが、これらのシダ植物は、そのリストのどこにも入っていないんですん。なので、自然に飛んできて入ってきた植物なんですよね。まさに自然が作り上げていくところのひとつの植物になります。そういうところでも、この明治神宮の森がすごいということがわかってくると思います。じゃあもうちょっと進んでいきましょう。
 大きくなった森にはいろんな生き物たちがきます。鳥であったり、昆虫であったり、ミミズであったり、ダンゴムシであったり、いろんな生き物が来ますが、そのなかで大きな動物も来たりします。さあこの写真はなんでしょう。そう、フクロウです。フクロウがちょうどネズミか何かを捕らえたところです。いわゆる大人の森、ふるさとの木による森ができると、いろんな生き物たちの命も育まれているんですね。これで今日の一連のお話は終わりになるんですが、東日本大震災で残った鎮守の森、そしてふるさとの木はいままでの自然災害を何度も耐え抜いてきた本物の木です。その本物の木で作られた森がこの大都会に、奇跡の森として、明治神宮の森があるということ。今日はそれを考えながら歩いたことによって、おそらく次にこの明治神宮の森を歩くときは、全然視点が変わっているんじゃないかと思います。今日はどうもありがとうございました。


西野文貴さんによるガイドウォーク、いかがだったでしょうか。機会があったらぜひ明治神宮の森を訪れてみてくださいね。

アースデイいのちの森ウェブサイト→http://inochinomori.net/
鎮守の森のプロジェクト→http://morinoproject.com/

【今週の番組内でのオンエア曲】
・うららかSUN / ハナレグミ
・Payphone feat. Wiz Khalifa / Maroon5
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パーソナリティ

高橋万里恵
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