プロジェクト概要

太古の昔より、森は動物や植物などたくさんの命を育み、田畑や海、川にたくさんのミネラルをもたらし、地域と暮らしを守ってきました。 東日本震災では津波でコンクリート堤防や松林がことごとく破壊される中、その森や、昔からその地方に根差す、深く地面深くに根を張った潜在自然植生の木々たちは、津波の勢いを和らげました。 関東大震災や阪神大震災では、大火により建物が燃える被害を食い止め、防災林として大きな役割を果たしました。 この「鎮守の森」をモデルとした森をできるだけ多くつくることは、災害の多いこの国に生きていく私たちが、後世に伝え残さなくてはならない貴重な知恵であり、自然と共生していく教訓でもあります。 番組「いのちの森〜voice of forest~」では、「鎮守の森のプロジェクト」が行う活動をはじめ、日本のみならず世界各地の森を守る活動を行う人や団体にスポットをあて、森の大切さについて考えていきます。

引き続き、北海道の自然体験レポートをお届けしています。
雄大な知床連山を望む原生林、知床の森。
その中に、ひっそりと水をたたえるのが、「知床五湖」という5つの湖です。
およそ4000年前の火山活動によって、凸凹の地形が形作られ、そのくぼみ部分に地下水が貯まったのがこの知床五湖という湖。
ガイドウォークでは、この湖を取り囲む森の中を2時間半かけて散策しました。

冬になるとこの辺にも積雪が2メートルを超えますが、そうすると、地面のものに手が出せなくなるので、木の皮を食べて飢えをしのぎます。木は皮に近いところで水分や栄養分のやり取りをする管のようなものがあります。数ミリの厚さの皮ですが、ぐるりと剥がされてしまうと立ち枯れて死んでしまいます。一時期、鹿の数が知床半島でもかなり増えて、食害が心配されるようになって、今は鹿を捕獲して頭数調整をしています。ただもともとは狼がいて、狼が鹿を食べることでバランスが保たれていたのですが、100年位前に駆除をしてしまってからは、天敵のような動物は北海道にはいないですね。100年経って予期せぬ影響が長い時間をかけて出てくると言う怖さが、世界遺産の森でも見られるわけですね。
この鳥の鳴き声はアカハラという鳥のものです。サイズはつぐみとかそれぐらいのサイズで、オレンジ色のお腹の鳥です。それでは湖の湖畔に進みます。風がないので、きれいに森が映り込んでいます。森越しに見えているのは知床連山の1500メートル位の山並で、雪が残って山肌には雪が残っていてますね。標高は 240メートル前後なんですが、流れ出して海に注ぐ川がない湖なんですが、地下の水が、くぼんだところにたまって出来上がったんですね。もともとは魚も暮らしていなかった湖です。今いる五湖以外にはフナが住んでいます。開拓で入植した人たちが持ち込んだ魚の1つと言われています。



ガイドをしてくれたのは、知床ナチュラリスト協会「SHINRA」の畑谷雅樹さん。
夏真っ盛りということで、様々ないきものがいました。色んな鳥の声のほか、湖の水面スレスレを飛び、急上昇してまたスレスレを飛ぶブーメランのような形のアマツバメ、鹿の親子・・・
もちろん、周りを覆い尽くす森の植物たちも、多様性にあふれていました。

この森はミズナラのような落葉する広葉樹と、トドマツのような針葉樹が混在している針広混合林なんです。広葉樹の中にはイタヤカエデがあったり、ダケカンバと言う白樺のような木があったりします。秋になって色づくと、ほとんどは黄色くなるものが中心で、ナナカマドという、北海道では街路樹に使ったりする、紅葉する木があります。10月にはそういう赤が入って、モザイク的なパッチワークの色つきになります。北緯44度と高緯度の地域なので、山のほうも9月下旬になると最初の雪が降ります。ですから植物も動物も短い夏の間に子孫を残すそうと躍動するといいますか、活発になります。
こちらが次の四湖です。向こう側に倒木がありますね。昨日までは黄色いキノコがかなりはえていたんですね。このキノコは非常に美味しくて、熊の大好きなきのこです。今日はもうごっそりなくなっているので、昨日から今朝にかけて熊がやってきて食べたのでしょう。昨日はガイドツアーがヒグマと遭遇して中止になっているんですが、もしかするとそのクマがそのままこちらに進んできて、キノコに気づいた食べた可能性もありますね。
地面を見るとムネアカオオアリ、1センチを超える大きなアリがたくさん歩いています。このアリは、土の中にはほとんど巣を作らずに、木の中に巣を作ります。そうすると、木の幹にスカスカの空洞を作ってしまうので倒れやすくなります。そんなアリを主食にしているクマゲラという生き物がいて、体調が45センチを超える天然記念物のキツツキです。オスは赤いベレー帽かぶったような鳥なんです。このトドマツを見ると大きな穴が空いてますが、これはアリを食べるためにクマゲラが空けた穴です。

30センチ〜40センチくらいの縦長の穴が開いています。これは闇雲に空けているわけではなく、クチバシでコンコンと叩いて中に虫が入るかどうかを反響で確認して、いるとなると作業に取り掛かるんです。足だけでなく、尾羽でも支える構造になっていますので、3点で支持して、ノミのようなくちばしを打ち付けて穴を掘ります。最終的にアリのいるところまで到達すると、長い舌先がギザギザ釣り針のかえしのようになっていて、アリクイのように、唾液の接着剤でねばねばしてアリをとってしまうんです。普段はこの長い舌は頭蓋骨の周りを取り囲むように収納されています。これは衝撃吸収剤の役割をしているので、脳震盪をせずに木を叩けるんですね。


今回のお話いかがだったでしょうか。来週も続きをお届けします。来週はついにクマに遭遇?するかもしれません!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Jamaica Song / Booker T Jones
・It Ain't Over 'til It's Over / Lenny Kravitz



今週も引き続き、北海道の自然体験レポート、お届けします。
今回は、「知床五湖ガイドウォーク」のレポートです。
世界自然遺産・知床。冬の流氷が運ぶ栄養が、海と山を豊かにして、「命の輪」を結ぶ土地。
エゾシカ、トド、シマフクロウなど希少な生き物たちによる多様性が評価され、世界自然遺産に登録されています。そして何より知床の森は世界的にもヒグマの生息密度がトップクラスという、ヒグマの住処でもあります。
今回のガイドツアーは、そんな知床の原生林に囲まれた大小5つの湖、「知床五湖」をめぐるツアーだったのですが、ツアーの冒頭も、まずヒグマに関するレクチャーから始まりました。じつは私たちが参加した前日も、2匹のクマが現れてツアーが中止になったのだそうなんです!
ということで、ちょっとドキドキしながら、ツアーはスタート。私たちは、 知床ナチュラリスト協会「SHINRA」の畑谷雅樹さんのガイドで森へと入りました。

 今日は良い天気で暑い位ですね。。これからフィールドハウスと言う建物で立ち入り許可を受けるためのレクチャーを受けて、約3キロの遊歩道を、原生林や5つの湖など自然で解説をしながら散策していきます。今の時期は非常にヒグマが多いので安全対策のためにガイドツアーの限定利用になっています。それではこれから2時間40分くらいになりますが、よろしくお願いします。


 左の笹の中に大きな緑の葉っぱが見られます。これは熊の食べ物の一つ、ミズバショウです。これは里芋の仲間で、根本を掘り起こすと芋があります。この芋の部分が熊の食べ物です。ミズバショウが生息しているのは湿地帯なのですが、意外と知床半島は湿地帯が少なく、ここの5つの湖が点在している周囲に、特に雪解け後に多く見られます。まだ今年はあまり手をつけていませんが、前日までは全く手がつけられていないものが、翌朝きたらあらかたほじくり返しされているということもあります。


 1番近くで熊に遭遇したのは、3、4メートルくらいですね。若い熊でした。小高い丘を超えるような形で出てきて、間に立木もあったりしましたが、存在に気づいて、踵を返すように熊が別の方向に行ってしまいました。
 ここの遊歩道は食べ物持ち込まないことになっていますが、匂いで誘引しないということももちろんありますが、万が一食べ物を落としてしまって、それを熊が食べてしまって、人間の食べ物の味をしめてしまったときに、次に利用する人に危害を加える可能性があります。そういったことで、持ち込まないよう徹底しています。そういう取り組み、ルールは大事になってきますね。。本来彼らは、9割位は植物質の食べ物を食べていて、7割は草本類。意外とヘルシーな食生活なんです。例えば、これはヤマブドウのつるです。秋になると実がなり、美味しいしくて、人間も生でも食べられます。これは熊も大好きですね。このヤマブドウが絡まっているトドマツの木の幹よく見てもらうと、爪の跡があります。これは実を食べるために木に登っていったときの爪痕です。腕力もあるので、こういった垂直な木でも前足で抱え込むように爪を引っ掛けて、後ろ足の爪も使いながら上手に木登りをします。降りる時はちょっと不格好にお尻からズルズルっと下がってくるので、長い線の爪痕は降りているときのものですが、斜めに入っている爪痕は上っている時のものです。


 秋はヤマブドウやミズナラのどんぐりを食べます。熊は冬眠をする動物なので、冬眠から目覚めてすぐはまだ雪があるので、雪を掘り起こして前年の秋のどんぐりを食べて食いつないだりしながら、雪が溶けて山菜類のセリやふきなどが出てくると、そういった山菜類を食べます。夏は昆虫類、蝉の幼虫なんかもよく食べます。ハチやアリなんかも食べて、8月の後半お盆過ぎ位からは、川にサケマスの仲間が遡上してくるので、サケやマスを食べます。北海道のお土産というと、木彫りのサケを咥えた熊が有名なので、サケを沢山食べている印象がありますが、全体のメニューの中では少なく、0.4%ぐらいという熊もいます。期間が限定されているからということもありますね。たくさん食べられる時期は、メスのお腹の卵のところだけきれいにかじりとるような、贅沢な食べ方をしています。そのうち秋になると、木の実を食べます。グルメな動物というか、季節の旬のおいしいものよく知っているんです。


今回のお話いかがだったでしょうか。来週も続きをお届けします!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・打上花火 / DAOKO×米津玄師
・Fire Escape / Andrew McMahon In The Wilderness
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