プロジェクト概要

太古の昔より、森は動物や植物などたくさんの命を育み、田畑や海、川にたくさんのミネラルをもたらし、地域と暮らしを守ってきました。 東日本震災では津波でコンクリート堤防や松林がことごとく破壊される中、その森や、昔からその地方に根差す、深く地面深くに根を張った潜在自然植生の木々たちは、津波の勢いを和らげました。 関東大震災や阪神大震災では、大火により建物が燃える被害を食い止め、防災林として大きな役割を果たしました。 この「鎮守の森」をモデルとした森をできるだけ多くつくることは、災害の多いこの国に生きていく私たちが、後世に伝え残さなくてはならない貴重な知恵であり、自然と共生していく教訓でもあります。 番組「いのちの森〜voice of forest~」では、「鎮守の森のプロジェクト」が行う活動をはじめ、日本のみならず世界各地の森を守る活動を行う人や団体にスポットをあて、森の大切さについて考えていきます。

今週は、連休はもちろんこれからの季節最高に気持ちの良い場所からのレポート。熊本の観光名所、「阿蘇 草千里乗馬クラブ」です。

阿蘇山のカルデラの中。高原に広がる直径1キロ四方という広大な草原。草千里が浜。
地元九州はもちろん、海外の観光客にも有名な 阿蘇を代表する観光名所です。
そしてこの場所で昔から観光アクティビティとして人気なのが、広い広い草原を、馬に乗ってめぐることのできる、阿蘇草千里乗馬クラブです。
というわけで今回、この乗馬クラブの代表、末藤吉一さんに現地でお話を伺ってきました。

◆自然のの荒々しさと柔らかさが一度に見られる場所
今日は曇っていますが、本来ここは真ん前に烏帽子岳、ここは盆地みたいに緑が広がった、とてもきれいな場所なんです。いま、丸一年営業してなかったので、体験コースみたいなのをやっていますが、本来でしたら、真ん中の丘を一周するとか、湖の周りを一周するとか、そういったコースもあるんです。馬も仕事に慣れてないというか、馬の調教ができてから、徐々に始めていこうと思ってます。
ゴールデンウィークの頃は、この辺は緑の絨毯になってると思いますよ。こういったロケーションは他のところでは味わえないと思います。よく、お客さんに日本じゃないみたいって言われます。草千里は緑で柔らかい感じですが、ちょっと目線を左に持っていくと、阿蘇山の第一火口が真ん前に見えます。自然の荒々しいところと柔らかいところと、そういうコントラストが一度に見られるところはめったにないと思います。
乗馬は、大人と一緒であれば、0歳児からでも、抱っこして乗ってもらえます。ここの馬はおとなしいですから。子どもさんがこういうことを覚えていて、大きくなってから自分の子供を連れてきたりとか、そういうリピーター客が多いんですよ。



実はこちらの乗馬クラブ、去年の熊本地震、阿蘇山の噴火を受けて営業できない状況が続いていたのですが、ようやくこの春から、一部コースのみ、営業を再開したばかり。震災の影響について伺いました。

◆復興が進んでいる草千里
震災後は、ここは立入禁止で、道が通れなかったので、営業は難しい状態だったんですが、今年になって、3月から仮営業みたいな形でやっています。お客さんは例年の2割くらい。まだお客さんは戻ってきてないですね。春休みですから、例年であれば賑わうんですが、まだ復興途中で、道も完全にはできていないし、レストラン関係もいまから工事に入るので、ここはちょっと遅れているんですね。
今月の終わりには道も完成する予定にはなっていますし、ある程度復興しているというPRができれば、また帰ってきてくれるんじゃないかと思っています。風景は昔と変わらずきれいですから。人間よりも馬のほうが元気ですしね。


ということで、まだまだ道路事情など、頭を悩ませる部分はあるそうですが、末藤さんはいつお客さんがきても良いように、日々のお仕事をされています。

そして、この草千里という土地では草原を美しく保つための、昔ながらの方法を復活させています。
それが「野焼き」。草原を人の手で、いったん燃やしてクリアにすることで、美しい草原を持続させるという方法なんですが、これについて伺いました。

◆草千里の野焼き
草千里では昔から野焼きをやっています。以前は牛とか馬をたくさん放牧していて、いつもきれいな状態を、牛とか馬とかが食べたりして維持していたんです。ところが、口蹄疫の関係で牛がいなくなり、荒れ放題に草が伸びて、維持できなくなったんです。で、元の状態に戻すのは野焼きがいちばんだということで、40年ぶりに野焼きしたんです。
そのままにしておくと、原野化してしまうんですよ。いろんな雑草がものすごく生えて、人間も入れない状態になってくるんです。だから、維持するには野焼きが大昔からの方法で、野焼きをやらないと、どんなに新しい芽が下から出ても、負けるんですよ。今年は2月の終わりにやりました。風向きを考えて、風下の方から火をつけて、内側の方に燃やしていくんです。野焼きする前に輪地切りといって、草を刈って短くして、それ以上火がいかないようにします。
野焼きをした後は、その年の気候によりますが、通常は5月の連休前にはきれいに緑になりますよ。


今回のお話いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Our Day Will Come / Amy Winehouse
・そら / THE CHARM PARK
今週も先週に引き続き九州・大分県、宇佐神宮で行われた「鎮守の森の教室」のレポートです。
1000年以上の歴史を持つ宇佐神宮と、その鎮守の杜。
本当に、神聖な空間という感じがして素晴らしかったのですが、きょうは、宇佐神宮の鎮守の杜が、なぜ神々しいのか。その理由についても専門家の方に伺いました。

◆湿度が森の荘厳さをつくる
これもイチイガシですね。こんなにイチイガシが見られるところは他にはあまりないです。宇佐あたりは海が近いので、霧が出やすいと思うんですよ。で、林内に霧が入ってくると、林内の湿度が高くなりますよね。そうすると、コケが生えたり、着生植物が生えてきたりして、ますます森の荘厳さが増すんですね。
この丸いのはマメヅタというシダです。着生植物ですね。これも非常に多いですが、これもまた湿度が高いことを物語っています。今日は霧ですが、こういのが木につくわけです。で、結露するわけです。そうすると、地面だけでなくて、幹にもたくさんの植物がつくんです。


東日本大震災をきっかけに、災害から命を守る「森の防潮堤」づくりを続ける 「鎮守の森のプロジェクト」。この団体は全国の神社にある「鎮守の森」を森づくりのお手本にしています。
ということでこの団体の企画で、一年ぶりに行われた「鎮守の森の教室」。参加者一行は、宇佐神宮の境内から本殿へ向かう階段を上り、1000年前からそこにあるという森の存在感に圧倒されながら先へと進みました。
そして本殿に到着し参拝を済ませ、神社の神職の方から、このお社の歴史を教えて頂きました。

◆宇佐神宮の歴史
じゃあ、みなさんお集まりください。ご一緒にお参りしたいと思います。二拝、それから宇佐神宮では四つの拍手をします。手を合わせて、右手を少し下げて、四回叩いていただきます。で、戻していただくと、とてもプロっぽく見えます(笑)。そういうふうにしていただけると、あの人違うなってお宮の人に思われますので、今後してみてください(笑)。で、最後に一拝をします。
文化庁の調べによりますと、お社は全国に約12万社あるといわれています。そのうちの3分の1の約4万社が八幡系の神社といわれています。その総本宮が、この宇佐神宮ということでございます。ご覧いただきましたらわかりますように、御殿が3つあります。一之御殿が八幡大神様、応神天皇様をお祀りしています。そして二之御殿が比売大神 。こちらは元々この地にいらっしゃった神様を二之御殿としてお祀りをしております。そして三之御殿が神功皇后様、応神天皇様のお母様をお祀りしています。
八幡大神様がこちらのほうに現れましたのは、飛鳥時代でございまして、571年ですが、現在の社務所の前にある、池のほとりの笹の葉の上に、三歳の童の姿をして、ご出現されたという記録がございます。それからこちらの方にお祀りをしているということでございます。
この宇佐神宮は、伊勢神宮に続く第二の宗廟といわれています。また、伊勢神宮では約20年に一度遷宮が執り行われると思いますけれども、この宇佐神宮では、室町期に廃絶しましたが、33年に一度、遷宮をしていたという記録がございます。そして、この御殿ですが、安政年間の建物で、三殿とも国宝に指定されています。


あいにく雨がぱらつく天気でしたが、しっとりとした森、霧ふかい雰囲気。より神聖さが増した雰囲気で、結構、こういうお天気も鎮守の森を散策するにはおススメです。
ということで、およそ2時間半の散策を終え、森の教室を受講した証として、「修了証書」をいただいて教室は終了となりました。
最後に、この教室のガイドを務めた若手研究者、東京農業大学 特別研究員で 鎮守の森のプロジェクトの、西野文貴さんのお話です。

◆人間の手ではつくれない神々しさの森
この場所は、文化的に見ても、また、自然の植生から見ても、とても重要な場所です。元々あった森をできる限り手をつけず、ずっと自然のまま残しましょうというやり方なので、歩いてみると、参道の横から見ただけでもジャングルっぽいと感じると思います。高木、亜高木、低木、草本の四層構造がきちっと揃ってる、生態系が豊かな森だと思います。
ここにはイチイガシがたくさんありますが、土地がすごくいい場所に生えやすいのがイチイガシです。大きいものですと20〜30mくらいありますね。大きくなればなるほど、まるで波紋のような形が出てきたりだとか、大きな樹皮がベラっと剥がれるような、そしてそれに相まって神々しさが出てくるような感じがしますね。
明治神宮の森をつくった本多静六さんが考えたコンセプトの一つ、”永久に続く森”というのは、やはり鎮守の森のことであって、そのような自然があるところはやはり、僕らは神々しさを感じるようになるのかなとも思っています。それとともに、日本の自然が、時間をかけてゆっくり創りあげた、人の手では簡単にはつくれない神々しさです。
大事なのは木だけではないし、昆虫だけでもないし、鳥だけでもない。やっぱり生態系がきちっと循環した森というのを、いま人間は欲しているし、目指しているんじゃないかと思います。


今回のお話、いかがだったでしょうか。今回の「鎮守の森の教室」の様子は、ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Bull Rider / Norah Jones
・Joanne / Lady Gaga
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