プロジェクト概要

太古の昔より、森は動物や植物などたくさんの命を育み、田畑や海、川にたくさんのミネラルをもたらし、地域と暮らしを守ってきました。 東日本震災では津波でコンクリート堤防や松林がことごとく破壊される中、その森や、昔からその地方に根差す、深く地面深くに根を張った潜在自然植生の木々たちは、津波の勢いを和らげました。 関東大震災や阪神大震災では、大火により建物が燃える被害を食い止め、防災林として大きな役割を果たしました。 この「鎮守の森」をモデルとした森をできるだけ多くつくることは、災害の多いこの国に生きていく私たちが、後世に伝え残さなくてはならない貴重な知恵であり、自然と共生していく教訓でもあります。 番組「いのちの森〜voice of forest~」では、「鎮守の森のプロジェクト」が行う活動をはじめ、日本のみならず世界各地の森を守る活動を行う人や団体にスポットをあて、森の大切さについて考えていきます。

地球全体をフィールドに撮影を続ける自然写真家・高砂淳二さんのインタビューを数回に分けてお聴きいただいてきました。
進化の理屈ではとても説明できないような不思議な生き物の話。コスタリカの森の多様性、ハワイの森にいるという精霊の話。カナダで出会ったカメラ目線のグリズリーのお話・・・など、本当に面白いお話、たくさん聞かせてもらいましたが、最後は、40年ちかく世界の自然を見つめてきた高砂さんが思う「日本の自然」の魅力です。


国内で好きで撮影に行くのは小笠原とか沖縄とか行きますけども、小笠原は秋とかいいんですよ。9〜10月はマッコウクジラが見やすくなる季節なんです。マッコウクジラを見られるところというのは、世界的にもすごく限られていて、マッコウクジラは500〜1000mの深さまで潜って、ダイオウイカを食べるんですよ。小笠原のあたりは一気に1000mくらい落ちているドロップオフがあるんですね。ですからちょうど、マッコウクジラたちには絶好のポイントなんです。それで、9月〜10月くらいになると台風も収まって、マッコウクジラを見やすい時期に入るんです。
マッコウクジラっておもしろくって、クジラやイルカの仲間は超音波を出して、それで透明度の低い海の中でも、超音波の跳ね返ってくるものを聴いて周るの状況を把握するんですが、マッコウクジラは深海に潜るということもあって、その超音波がすごく鋭いんです。クリック音というのですが、「クリッ、クリッ」って音波を出します。それで、全然姿が見えないような向こうから、クリック音を僕に浴びせかけてくるんですよね。で、だんだん近づいてきて、やっと姿が見えるくらいになると、その「クリッ、クリッ」っていう音が体の中に響くような、刺さるような感じになって、「俺のことをスキャンしてる!」みたいな気になります。それはもう、動物の能力ってすごいなって思いますよね。
マッコウクジラは、こちらに興味があっても警戒心が強いので、こちらから向こうに泳いでいくと、すぐに進路を変えたり、潜っていってしまいます。だから、ひたすら水に溶け込むようにして、じっと待っているんです。その間、僕に超音波を浴びせかけて、スキャンしながら見ているんですよね。
マッコウクジラは四角いユニークなおでこの顔なんですが、その頭がズーンと近づいてきて、まるで魚雷みたいです。それで、ある程度まで来て、こちらがどういうものかわかると、すっと潜っていったり、進行方向を変えたりします。好奇心が満たされて警戒心が出てくるんですね。でも向こうが落ち着いているときだと、ふわっと浮かんでいてくれたりしますね。マッコウクジラの体は深く潜れるようになっていて、胸ビレなんかもピタッとくっつけることができて、本当に魚雷型になれるんですよ。


〜怖くはないんですか?
怖くはないですね。でも向こうが怒っていたら何するかはわからないですよね。ハクジラという種類はそういうことをする可能性もあるんです。でもこちらが、何もしなければ、危害を加えられることはないと思っていますけどね。でもすごく興奮しているんですよ。心臓もドキドキしているし、もっと近くまで来てくれって。

〜なんだかその気持もクリック音で見透かされてしまいそうですね。
本当ですね。イルカなんかも超音波でお腹の中に赤ちゃんがいることがわかって、優しく来たりもすると言われていますね。面白いですよね。

〜高砂さんのご出身の石巻のお話も伺いたいのですが、石巻は秋から冬にかけてはどんな景色になりますか?
どちらかというと、石巻の海は”見る”海、写真を撮る海というよりは、”食べる”海なんですよね。やっぱり秋はおいしい魚がいっぱい上がってきて、カツオなんかも戻っていく途中に近くを通りますし、わざわざここを通ってくれてありがとう(笑)という感じですよね。牡蠣もいっぱい獲れます。
でも景観としては、津波の後、大きな堤防ができてかなり変わってしまって、ちょっとがっかりですよね。小さい頃は、遊ぶところはいつも海だったし、食べるものも朝昼晩、いつも海のものばかりでした。しかもその季節のものが食卓にのってくるから、海に生かされているという感じでした。うちの周りも水産加工場がありましたし、家の前が水産高校でしたし、その周りは牡蠣の養殖をやっている人たちばかりでしたし、本当に海で生きているような街でしたね。


〜この先に撮ってみたい動物っていますか?
僕がよく思うのは、クジラにしても、イワシにしても、”海洋資源”っていうじゃないですか。僕に言わせれば、同じ命を持った生き物だから、食べるときはひとつの命を食べているという意識を持った方がいいし、海洋生物はそもそも人間のための資源じゃないと思う。それを他の人にも伝えたいですし、そういう気持ちを持てるような、命を感じる写真をもっと撮りたいと思いますね。

高砂淳二さんのお話、いかがだったでしょうか。高砂さんの新しい写真集『LIGHT on LIFE』は小学館から出ています。詳しくは高砂さんのホームページ、facebookなどをごらんください。


「LIGHT on LIFE」(小学館)

高砂淳二さんウェブサイト→http://junjitakasago.com/
高砂淳二さんfacebookページ→https://www.facebook.com/JunjiTakasago

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Little of Your Love / Haim
・Fallin' / Suchmos
今週も引き続き、地球全体をフィールドに撮影を続ける自然写真家・高砂淳二さんのインタビューです。
最新の写真集「LIGHT on LIFE」。この写真集では世界30国以上を旅して撮影した自然の姿が納められています。
80年代からずっと、世界各国の自然の中に身を置いてきた高砂さん。この番組の大きなテーマである「森」についても、様々な体験を語ってくれました。


ハワイ島にボルケーノ(火山)がありまして、その近くに雨林があるんですよね。そこもすごくいいですね。ヘゴっていう、大きなシダの一種がいっぱい生えていて、太古の昔に来たような、そういう景色が広がっているんです。それが溶岩の上に生えているんです。いまは結構観光客も行くようになったので有名になってきましたが、そこに溶岩チューブという、溶岩が流れたトンネルがあります。そのトンネルは出口も入り口も森のなかにあるんですが、トンネルから出たときの印象が「うわ、どこに来たんだろう!」みたいな感じです。すごく雨が多くて、霧で覆われているときも多いんですが、そうすると、どこからともなくついた水滴が、シダの一枚一枚の葉のさらに先の一本一本の先に垂れそうになっていたりして、ものすごい生命力を感じるんですね。
そんなのがあるかと思うと、たとえばヘゴの先から出てくる、葉の赤ちゃんみたいなものがあるんですが、その先を見ると、なんか人のお腹の中の、最初にできた赤ちゃんみたいな形をしていますよね。こういうのがあっちこっちのヘゴの先についていて、ここからどんどん伸びて葉が出ていく。みんな生命の始まりは同じような感じだな、ということも感じるし、それがまた周りが霧で覆われていて、なんだか生命の濃厚なスープみたいなところに入り込んでしまったという感じ、すごくいいですよね。


〜この番組で、以前に奄美大下の森の中にいるという、ケンムンとうい妖怪について取り上げたことがあります。多分、自然に対しての畏怖を込めてということがあると思うんですが、なんかそういう不思議な体験とかってありますか?
ハワイでもメネフネっていう小人の伝説があります。メネフネが夜中にみんなで集まって、堀がずっと続いた用水路みたいなものを一晩でつくったとか、いろんな伝説があるんですよね。
僕はハワイにずっと通ってますけど、いろんな夜の森も歩きました。最初は、夜に一人で歩くっていうのは、結構怖かったですよね。いちど、滝があって、カウアイ島の滝に行ったとき、そこに現地の子どもたちとかが下りていくような獣道があるという話を聞いて、現地の人に下り方を教えてもらって、実際に昼間に下りてみたんですよね。崖をロープで下りたり、うっそうとしたところを通って、やっと滝壺まで下りられる道です。それで、夜の風景を見てみたいと思って、昼間のうちに白いテープで下りるルートをつけておいて、夜にそこにひとりでいったんですよね。ロープをおりたり、鬱蒼としたところを通ったりして、やっとの思いで滝壺にたどり着いたわけです。やっぱりこんなしんどい思い、怖い思いをするんだったら来なきゃよかったなんて思いながら。それでやっと滝壺にたどり着いて、滝壺を見たら、滝のしぶきに月の光が当たって虹が出ていたんです!その素晴らしい風景が、なんだか待っててくれたみたいな感じがして、プレゼントをもらったように感じながら写真を撮りました。本当に涙が出そうになって帰ってきましたね。本当に「ありがとう!」っていう感じですね。


月の光でできる虹「ムーンボウ」とよんだりしますが、とても幻想的な風景ですよね。そして高砂さんに、この先、もし行けたらぜひ行くべき「森」、教えて頂きました。

やっぱりコスタリカかな。コスタリカは世界の動植物の5パーセントがいるらしいんです。コスタリカの面積は九州と四国を足した程度なので、ものすごい濃密ですよね。濃密な森には、やっぱり濃密な生態系とか、珍しい生き物とか、いろんなものが見れるし、しかもそれらが絡み合った関係性も見れる。コスタリカっていうところは自然をすごく大事にしていて、エコツーリズムも盛んだし、最近だと動物園も廃止になったんですね。動物園にいた動物たちを、施設をつくってそこで引き取って、自然に返せるものは返して、返せないものはそこで大事に一生面倒をみるということをやっているんですよね。だからなのかどうか、人間との関係が微妙に変わってきているみたいなんです。たとえば、森のなかにあったホテルにいったんですが、そうしうたらそこのレセプションの、人が働いてるすぐ横にちょっとした柱があって、その上に鳥が巣を作っていました。周りは森なのに、なんでわざわざこんなところに入り込んで巣を作るんだろうと思って、現地のガイドに聞いたら、森は天敵がいるから、人のそばだと安心だということがわかっていて、そこに作るんだそうです。ケツアールという、バードウォッチャーにはたまらない、火の鳥のモデルになった鳥がいるんですが、以前は見るのが大変だったそうです。でもいまは一羽、人が住んでいる家のすぐそばにいて、近くの木の穴に巣を作って、子どもを育てているんですよね。なんだこんな簡単に見れるんだって、びっくりしたんです。

〜人と動物の共存っていうのは、もしかしたらそういうことなのかなと思っちゃいますよね。
人が本当に変わると、自然との関係性っていうのも変わるんじゃないのかなっていうのは思ったりしますね。

高砂さんのお話、いかがだったでしょうか。来週もインタビューの続きをお届けします。


「LIGHT on LIFE」(小学館)

高砂淳二さんウェブサイト→http://junjitakasago.com/

【今週の番組内でのオンエア曲】
・My California / ハナレグミ
・Lost In This City / Michael Kaneko
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パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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