今週は、先週に引き続き「オオカミと森の研究所」朝倉裕さんのインタビューです。
朝倉さんは、日本では絶滅してしまったオオカミを復活させれば、鹿や猪の食害もなくなり、豊かな自然も復活するはずだと、訴えている方。きょうは、その「成功例」の驚きのお話、いろいろ伺っていきます。
オオカミがいなくなってしまった森に、再びオオカミを戻すと、何が起こるのか。先週は、「まず、鹿が逃げ回るため、一箇所で食事が出来ず、結果、森の植物がすぐ復活する」と朝倉さんは説明していました。
そして、その次の段階はどうなるのでしょうか。実は海外では、実際に、オオカミの再導入を行い、効果を生んでいる土地があるんです!

〜オオカミを森に放す実験として、アメリカのイエローストーン国立公園で行った実験があったということなんですが、これはどういったものだったんですか?
アメリカでは、白人が入植して以来、野生動物を捕獲して、捕り尽くしてしまったんです。最後に残ったのがバイソンとか鹿だったのですが、それもほとんどいなくなってしまったんです。そして、そこに牛を放牧したんですね。そうすると、オオカミはそれを捕食するわけですが、牧畜業者にとっては彼らは敵になるわけです。で、オオカミが殺されて、まったくいなくなってしまった。
その頃、いちどいなくなってしまった鹿を、人間が鑑賞するために増やしたんですけど、増えすぎて止まらなくなってしまったんですね。だから、人間が間引きしていたんですけれども、今度は動物愛護運動が都市部に起きて、それもとめられてしまった。だから、鹿が増え放題になってしまったんですよ。これは日本で起きていることとほぼ同じことですね。
で、いろんな研究も進んできて、オオカミが重要な役割をしているのではないかと、そういった認識が拡がって、イエローストーンにはオオカミが必要ではないかという議論が始まったのが1970年代です。で、20年間かけて、国民的な議論をしてですね、イエローストーンにオオカミを再導入しようということになったんですね。それが1995年です。
そして合計31頭のオオカミが再導入されました。それが一時200頭まで増えました。その過程で、大型の鹿のエルクが段々減って、最大で16000頭いたといわれていたエルクが、いまは4000頭を切るくらいまで減っているんですね。
実際に導入する前はオオカミが捕食する数だけしか減らないというふうに考えられていたんです。しかしオオカミが入るようになると、エルクが草を食べていた条件のいい場所から、条件の悪い場所に移らざるを得なくなり、そして、オオカミに対する恐怖を感じるようになって、妊娠率も下がったというんですね。捕食と恐怖効果を合わせて、劇的に減っていったんです。


〜鹿の数がものすごく減って、オオカミだけがいっぱい増えてしまうとういことではなくて、お互いにバランスが取れた数になるんですね。
鹿が減ればオオカミも減ります。そうすると、オオカミの捕食効果がなくなるので、今度は鹿が増え始めます。鹿が増え始めると、オオカミもそれを食べて増える。それが自然界のバランスなんだと考えられますね。イエローストーン国立公園のなかでは、いま100頭前後で推移しているようです。
で、その公園内の植物の様子とか、小動物の様子とかがずっと観察されているんですけれども、鹿、エルクが減るにしたがって植生が元に戻り、ビーバーが戻ってきてダムを作ったり、川の魚も戻ってきた。川の姿まで変わったんです。


〜じゃあその実験は成功ということですよね。
大成功です。だから、補足者が世界の緑を救っているんだという仮設はイエローストーンで実験されて、確認されている段階だということなんです。すごいですよね。本当におもしろい実験だと思いますね。

〜アメリカのお話しをいま伺いましたが、じつはヨーロッパでいまオオカミが増えているんですよね?
はい、増えてますね。ヨーロッパでも野生動物の保護の条約が結ばれました。29カ国くらいですかね、各国でオオカミは殺してはいけない動物になっていますね。その結果、ヨーロッパ全体で増えています。
1970年代にオオカミが残っていたのは、東ヨーロッパのポーランドとかルーマニア、それからイタリア半島、スペインくらいだったんです。それもごく僅か、いることさえわからないくらい少なくなっていたんですけれども、それが増え始めて、イタリアでは50〜60頭いるかいないかだったのが、いまは1000〜2000頭くらいに増えているんですね。スペインでも200〜300頭だったのが1000頭単位に増えている。それが、中央のフランスとかドイツに向かって増え始めているんですね。


〜移動しているんですか?
移動してます。若いオオカミが自分の縄張り、家族を作るために移動するんです。かなり長距離移動するんですね。イタリアからアルプスの脇を通ってドイツに入っているものもあって、フランスはイタリアとの国境にメルカントゥール国立公園というところがあるんですが、そこにまず定着して増え始めて、あと、ベルリンでも、ベルリンの20kmくらいのところに定着して群れを作っているものもいますね。

〜ヨーロッパで、耕作放棄地を野生に戻すという映画があると聞いたんですが、、、
「新しい野生の地 リワイルディング」という映画なんですけれども、オランダの干拓地を造成して、農地を誘致するつもりだったのが、そのまま放棄されている場所があるんです。そうすると湿地が増えたので、鳥が増え、さらに野生の鹿とか馬を再導入して、再野生化したんです。それを撮ったドキュメンタリーが去年日本で公開されているんですけれども、ここに足りないのはおそらくオオカミなんですよ。で、いまヨーロッパで増えているという話をしましたが、オランダも定着はしていないんですが、国の中を通過しているんですね。オオカミが通過しているのを見た人がSNSに写真を投稿して、次々に色んな人が撮って、リレーをしたようなこともあってですね、オランダの人たちもオオカミが定着するのを待っているようなところがありますね。

朝倉さんが活動する「オオカミと森の研究所」についてはFacebookページで、情報を発信していますので、気になる方はこちらもチェックしてみて下さい!
https://www.facebook.com/welcomewolf/

また、映画「新しい野生の地 リワイルディング」は、メジロフィルムズという会社が、自主上映会の募集もされているそうですので、気になる方ぜひ検索してみて下さい。
http://rewilding.mejirofilms.com/

【今週の番組内でのオンエア曲】
・「The A Team / Ed Sheeran
・I Want You / Savage Garden

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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