神奈川県鎌倉市。鎌倉駅のすぐそばにある「UPIアウトドア鎌倉」からのレポート。今週でラストとなります。
スウェーデン生まれの「モーラナイフ」を使った火おこし体験など、アウトドアの楽しみをぐんと広げるナイフのお話をいろいろ伺いましたが、モーラナイフの生まれた土地・スウェーデンと日本では、ずいぶん森、自然との向き合い方が違うみたいなんです。
引き続き、UPIの寒川一さんにお話を伺いました。

〜寒川さんはスウェーデンのほうにもいらっしゃって、地元の方とも一緒に森で焚き火をしたそうですね。
スウェーデンの森でプロモーションの動画を撮るという仕事で行ったんですね。その国立公園の森は、普段は焚き火ができない場所なんですが、スウェーデンの政府に撮影許可を頂いたんです。スウェーデンの森のなかで火を起こせるなんて僕にとっては夢のようなことだったんですが、その撮影をする際に、僕一人ではなくって、スウェーデンのそこの地域に住んでいるコーヒーのロースターの方と一緒に焚き火をしたんです。当初は一つの焚き火を二人で囲むっていうシナリオだったんですが、実際に森のなかで始めたら、それぞれがそれぞれの焚き火を起こして、2つの焚き火が起きているんですね。
僕は焚き火をするのに日本からいくつかの道具を持っていったんです。ひとつは折りたたむとコンパクトになる焚き火台。もうひとつは空気を焚き火の中に吹き込む火吹き棒ですね。もう一つは三脚。三脚というのは、ヤカンをかけるためのもんです。その3つを、すごくコンパクトな、全長で言えば30cmに満たないくらいの袋のなかに全部が収まっているんです。僕はそれを組み立てて、焚き火台の上で火をおこして、ヤカンでお湯を沸かしたんですけど、一方でスウェーデンの地元の彼は、下に落ちている大きなシラカバの木を2本並べて、その2本並べた間のところで火をおこしたんですね。その大きなシラカバっていうのは、ヤカンが乗るための、五徳代わりなんですね。で、下で火をおこしておいて、その渡した2本の木の上にやかんを乗せている。同じことをやろうとしているんですけれども、彼は道具は使ってないんです。地面に直接火をおこしている。僕の方は、薪は使っていないんです。ポキポキ折れるよな小枝を集めてきて、それを焚き火台の上にのせるんですけど、そうするとよく燃えますし、燃えきってしまうんですよね。さらに空気を吹き込む棒を持っていますから、それをスピードアップさせられるんです。なので、僕はお湯を沸かし終わってコーヒーができたら、僕の焚き火台の上には灰しか残っていないんです。かたや、彼は同じようにコーヒーができたんですけど、薪が2/3ずつくらい残ってるんですね。で、それをどうするのかなと見ていたら、最後にお湯をじゃっとかけて、そのままなんですよ。それは彼らのスタイルなんです。森はすごく広くて、人がすごく少なくて、たぶんそれがなにかの問題になるということはないんだと思うんですけど、僕らはすごく小さい国に住んでいて、人がたくさんいて、たとえば、浜にそういうものを残すと、色んな人の目に入るわけですよね。それを見て、嫌な気分になる人もたくさんいるじゃないですか。僕自身もその一人なんです。だから、直接地面に火を起こさないで、焚き火台の上で火をおこすようにしているんです。それもむらみやたらに薪をくべていくんではなくて、必要な分量をちゃんと計算して、小枝を足していくっていう方法で。
彼は僕の方法をずっと見ていて、すごく不思議がっていたんですね。焚き火をするのになんでそれだけの道具が必要なの?みたいな。でも、いざ終わってみると、彼は焦げた木が地面に残っていて、僕のところには白い灰だけが残っていて、僕はそれを地面に少しまいて帰ったんですね。灰っていうのは、地面にとって肥料になるというか、酸性の雨を中和させる役割があるんです。灰をまくというのは、次の緑を育てるという意味でもあるんです。焚き火で使わせてもらった分を、最後灰にして地面に返していく、ということを彼が知ったとき、彼はいたく感動していました。「こんな事考えてもいなかった」と。僕は、スウェーデンの人たちはすごく明日のことを考えている人たちだとずっと思っていたし、継続性みたいなことをすごく考えて、国がバックアップもしてる国なんですけど、焚き火に関しては、彼らにはそこまでの意識はなくて、「日本人って本当にすごい。こんなこともまで考えてるんだ。僕ら考えたことなかったよ」みたいな会話になって、彼はこの焚き火台が欲しいと言ったんです。なんかすごくかっこいい焚き火のスタイルだって言っていて、自分のコーヒーを一杯入れて、そのかわりに、地面に次の養分を残していく。でもどこも汚していない。それをすごくコンパクトな道具なでやる。そういうのがトータルですごくかっこいいというか、そういうふうに彼らは思ったみたいです。
その動画が残っていて、「日本人は火をおこしてコーヒーを作っても、最後はそうやって次の緑を育てながら帰っていく」みたいなことをテロップに入れてね、動画になっています。


〜逆に相手のスタイルから、学んだことってありますか?
動画では彼らのスタイルを見ていたんです。すごくうらやましいんですよね。森のなかで、たくさんの道具を携えずに、一つ2つの道具でそれをやってしまえる環境が。スウェーデンには自然享受権っていうのが国民に与えられているんですね。国立公園とか、一部私有地を除けば、どこでテントを張ろうが、どこを自転車で走ろうが、カヤックを漕ごうが、自由なんです。日本とは180度ちがいますよね。日本でアウトドアをやろうとすると、許可が必要です。囲われた中で、それも誰かが管理しているところで、自然を楽しみに行っているにもかかわらず、誰かに許可を得たり、お金を払ったりしなければいけない。でも彼らはまるっきり逆で、それは国民の権利なんだと言うんです。「太陽を浴びることとか、緑の中でリラックスすることになんで誰かの許可がいるのか。なんでお金払うの?これって動物も一緒でしょ?」みたいな。ヘラジカも人も、そこら辺に生えている苔もみんな同じように太陽を浴びる権利があるんだよっていうことですね。すごくまっとうだなと思います。アウトドアを僕らがやっていて、本当の精神ってそこにありたいんですよね。そういうのを彼らのスタイルの中からひしひしと感じているわけです。だから本当に羨ましいなと思います。
僕らはり日本っていう国に暮らしていて、災害が常に足元にある国なんで、僕らなりのアウトドアってあるような気がするんですよね。僕がなぜ外でテントを張ったり、キャンプをしたりするのが好きなのかって考えたときに、やっぱり自分たちで生きる力を自分たちの手の中に持っているっていう、それが日本のアウトドアのスタイルなんじゃないかなというふうに感じますよね。



UPIの寒川一さんのお話いかがだったでしょうか。お話の中に出てきた動画は、以下のから見ることができます。
https://youtu.be/lsC-UK2Io6w
https://youtu.be/snmLXPpA95M
とても美しい映像です。ぜひチェックしてみてください。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Falling from the Sun / Album Leaf
・Sticks & Stones / Farryl Purkiss

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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