TOKYO FM

38Stations SATURDAY 14:00-14:55

HOME

福山雅治 福のラジオ

TOKYOFM/JFN38 Stations Every Saturday 14:00-14:55

放送後記〜チェリー清水さんの後ろの席から〜

“最後のひと押し”になったメッセージ (5月16日放送分より)

2020/05/21 update
これまで、さまざまなドラマや映画に出演している福山さん。
5月16日の放送では、スタジオで時を共に過ごした
児玉清さんへの思いを語りました。

きょう5月16日は、生前、私も大変お世話になった
俳優 児玉清さんのご命日です。

2011年にお亡くなりになられて、9年。
初めて共演させていただいたのは
2003年に放送された『美女か野獣』というドラマでした。
2004年のアテネオリンピックにもご一緒させていただいて、
そして、龍馬伝でもご一緒させていただきました。

児玉さん、本当に素敵な方で、すごくシャイな方なんですよね。
『美女か野獣』の時のこと。
撮影現場に”前室”というたまり場があるんです。
役者同士がリハーサルとか本番の合間とかに
そこで談笑するっていう習慣が、
日本のドラマ界にはあるんですね。
だけど児玉さんは、スタジオから出ずに、
ずっと置いてある新聞を一人で読まれてたり、
そういう佇まいでいらっしゃったんです。

決してその輪に入りたくないから、
いやだからということじゃなくって。
ご自身でお芝居に向かうストロークを
そういうふうに整えていらしたのかもしれないのですけれども。

僕は両方行ったり来たりしていて。
みんなで談笑しているところにも顔出すし、
児玉さんと色々お話ししたかったので
スタジオに残っている児玉さんに、よく話しかけてましたね。

児玉さんは、ご自身を、
”本の虫”とおっしゃっているくらいですから、
本もたくさん読まれていて、非常に博学博識でした。
色んなことをよくご存じでいらっしゃった。
僕が色んなことを聞いても、ほとんどのことを答えてくれて。

僕にとっては兄貴であり、
早くに父親を亡くした僕の理想の父親像であり。
そういう存在だったんですよね。

そんな児玉さんの夢は
「一度でいいからオリンピックを生で観戦してみたい」
ということでした。

そのとき僕は、ちょうどテレビ朝日さんで
オリンピックのお仕事をさせていただいていました。
児玉さんのように、すごく勉強家で何でもご存知の方が、
レポーターとしてお越しいただけるというのは
凄く嬉しいですし、どういうシーンでもいいので、
児玉さんと一緒にオリンピックをレポートする、っていう状況を
作っていただけませんか?ってご相談させていただいて。
それで実現していったんですよね。

楽しかったですね。
楽しそうな児玉さんを見ているのが、また楽しい。
そんな関係があってから、
『龍馬伝』にもつながっていくんですけれども。

龍馬伝・・・実は最初、出演を僕すごく迷ってたんですよね。
だけどある時、児玉さんから連絡があって。
「こういうことを言っちゃいけないんだろうけれど」
って、お手紙かお電話か連絡いただいたんですよ。

実は僕の娘の旦那さんが、
龍馬を扱う大河ドラマのプロデューサーをやってるんだと。
そして何より僕自身が、
福山くんで龍馬ってすごく見たいんだよね、っていうようなことを
アンオフィシャルで伝えてくださったんです。
それが「龍馬さんをやってみよう」っていう
最後の決断をするきっかけになったんですよね。

もちろん、大友監督とお仕事をしたかった
っていうのも以前からあったんだけど、
大河ドラマ、かつ坂本龍馬っていうのは
あまりにも自分にとって大きすぎる。
僕にはもうそんな大役は担えませんよって
いう気持ちだったところに、
僕が勝手ながらシンパシーを感じ尊敬していた児玉さんが、
「福山君の龍馬を見たいんだよね」
っていう風におっしゃってくれたのが
最後のひと押しでした。

大河ドラマをやっているときに、
『少年』という楽曲をリリースしたのですけど、
この曲のどこかに、龍馬さんが脱藩して、、っていうシーンに重なっています。
脱藩前に、龍馬さんは、
江戸で修行させてくださいっていう風にお願いするんだけど。
その時の涙は、龍馬さんの涙でもあり
僕個人の児玉さんに対する思いでもあり、という感じでしたね。

『龍馬伝』には、龍馬が坂本家の家族に会いに行き
児玉さんが演じるお父さん・坂本八平と一緒に
海に行こうっていうシーンがありました。
ドラマの中で、体調悪いのに海に連れて行って・・・

自分はこういうことを考えている、
世界中を飛び回って、
日本をもっといい国にしたいんだっていう話をして。

八平さん、「龍馬はそういうことを考えちょった」と知って、
涙を流しながら、眠るように息を引き取る・・・

というような描き方だったんだけど、
あの時の児玉さんの涙が、本当に感動的でした。
勝手ながら、児玉さんと僕との擬似親子関係を、
龍馬さんと八平さんを通じて描かれているのかなぁ
なんていう風に思ってますね。
こんなこと、直接聞くわけじゃないですから。。。
児玉さんがそういう風に思ってくださってたかどうかとは
はちょっとわからないんだけども。

  • mixiでシェアする

Copyright © TOKYO FM Broadcasting Co., Ltd. All rights reserved.

Page TOP