ピートのふしぎなガレージ

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エヌ博士

On Air オンエア

カテゴリー : カルチャー

若大将

2017.03.25

第207話 若大将

ゲストコメント
加山雄三さん「黒澤さんとの出会いが僕を変えました」
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 加山雄三さん
僕が始めて出演した映画『男対男』は三船敏郎さんや池部良さんがいて、別世界の人にしか思えませんでした。「こんな偉い人たちがエライことやってるのに俺なんかが入っていいのかな」と心許なさばかりが先に立っていましたね。でも東宝さんがたくさんお金を積んで宣伝をしてくれたおかげで僕はすごい勢いで売れてしまい、正直「竹竿の上に乗せられていつぶっ倒れるか分からない」という不安感がずっと拭えませんでした。

それがガラッと変わったのは黒澤明監督に出会ってからです。最初の『椿三十郎』で会ったとき、黒澤さんは僕に「君は白紙で良いよ」と言ってくれました。その時は意味がさっぱり分からないまま「わかりました」と答えたんですが、それは「余計な芝居をするな」という意味だったみたいです。「加山、セリフは想えば出てくるんだよ」とも教わりましたが、黒澤さんはまるで人の心が読めるかのようで、「こんな人がいるならこの世界に残ってもいいや」と思えるようになりました。

厳しいことで有名な黒澤監督ですが、僕は怒られたことが一度もありません。ある時なんて朝にサーフィンをやってから撮影所に行き、何度も撮り直されるシーンと強烈なライトに眠気を覚え、本番中に寝てしまったことがあります。その時も「加山、眠いのか?」「はい」「加山のために30分休憩」と言われ、その後スタッフみんなに「特別扱いだぞ」とずいぶん妬まれました。でもあれは監督自身が休憩したかったに違いありません。結局、その時は3時間の休憩になり、すっかり眠気の覚めた僕はギターを弾いて歌っていましたが。

『八甲田山』はとにかくキツい映画でした。森谷司郎監督が黒澤さんのところに付いていただけあって、リアルを追求して猛吹雪の中で撮影するんです。零下15度なのに普通の軍服で行軍するので、初日に耳が凍傷になる人が3人も出たほどでした。しかもその夜、ミーティングで「凍傷の人が出ました」と申告されても「戦争中もそうだったに違いない」と言われるような現場でした。

でも僕は小道具さんにお願いして、南極で使うムーンブーツの外側だけ軍靴にしてもらったり、あちこちにカイロを仕込めるチョッキを作って撮影に臨んだので、雪の中で寝転がって昼寝をしても大丈夫なくらいでした。みんなは寒さに震えながら「この寒さの中、雪の上で寝るなんてアイツは馬鹿じゃないか」と囁いていましたが、「そうじゃないんだよ、本当はこっちの方が賢いんだよ」と内心でほくそ笑んだものです。
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