クルマを持っている方、
そのクルマを選んだ時の大きなポイントは何でしたか?

これからクルマを買おうと思っている方、
何を重視して選ぼうと思っていますか?

今週と来週は2週にわたって
『クルマの安全性に対する考え方』を追跡します。

コメントはクルマの安全性に対する考え方について
警鐘を鳴らすモータージャーナリスト 岡崎五郎さん。
車が生み出す一番のネガティブな部分は交通事故。
日本では年間1万人が亡くなっていたという状況があったにも関わらず、
なぜ皆、安全性に関心を向けないのだろうという疑問を持っていたといいます。
そこで執筆する文章で安全性への意識について指摘をしてきた方です。

去年およそ1万人を対象者に行われた
「航空会社の利用」についてのアンケート調査結果を見ると
『航空会社を選ぶ際、どんな点を重視しますか』という質問に対して
最も多かった回答は「信頼できる」かどうか、
次に多かったのが「安全性が高い」かどうか。

そして、2013年に行われたた有効回答数1,000人のクルマについてのアンケート調査で、
『車を購入する際、一番重視するポイントはどこですか?』という質問に対しての回答は
5位 車種  4位 メーカー  3位 燃費   2位 外装デザイン  1位 価格 でした。

なぜ飛行機に乗る時には安全を第一に選ぶのに
クルマを選ぶ時にはそうした思考がなくなってしまうのでしょうか。
岡崎さんの見解ではクルマが日常生活に深く根付いているため。
危険なものだという想像力が働かないのではないかということ。

実際は1t、1.5tという重量の車が高速道路を100kmで走れば凄いエネルギーです。
アクセルとブレーキを踏み間違えた先に人がいたら、
何人もを一瞬で怪我させる、あるいは死に至らしめてしまうものでもあるわけです。
でも、あまりにも日常的なモノ過ぎて、そういう想像が出来にくいのではないかとのこと。
飛行機なら、非日常なモノなので、落ちたらヤダなと思う。
でも車は事故を起こしたら・・・という事を想像して運転してる人はほとんどいない。
そこに落とし穴があるのではないかということでした。
クルマは危ないものなのだということを心に刻むようにしてください。

ここ最近、以前よりはクルマの安全性に対する意識は高まってきました。
2000年の交通事故死者は9,073人。去年2015年は4,117人。半数以下になっています。
もっと減らすためクルマを買う時に持つべき姿勢は選択の基準に安全性を絶対に入れること。

自動車事故対策機構が自動車のアセスメントをやっていて、
HPにクラッシュテストの結果を細かく出しています。
それで上位に来る車を選ぶ。
新車を買う場合は安全性についてのオプションは選ぶようにする。
かっこよさのために安全装備を外すのではなく
安全装備を第一にして安全についてお金を惜しまない。
万が一の時に事故を避けられるなら高い買い物ではありません。
クルマの安全も飛行機に乗る時と同様、
コストがかかるという意識を持つべきでしょう。

クルマを買う時のオプションとして、いま岡崎五郎さんが強く薦めるのが
「サイドエアバッグ」と「カーテンシールドエアバッグ」。

横から突っ込まれて来た時に乗っている人を守ってくれるこの2つは、
義務化されていないモノだからと付けていない車が多いのが現状。
トヨタが良いモノなので全車標準装備を打ち出しましたが、
ユーザーこれにお金を払ってくれないとオプションにしてしまいました。
しかし、岡崎さんによるとクラッシュ映像を見れば、
付いてなきゃダメでしょ!と思う位、素晴らしい機能。
ぜひとも付けてほしいという話でした。

さらに今、流行っている自動ブレーキは、
追突事故を起こしてしまい、相手の車を修理しなければいけない、
自分の車を修理しなければいけないとなればお金がかかります。
もっと悪い事態の人身事故を防ぐ為にも人や自転車を検知出来る
優れた衝突防止自動ブレーキも出てきているので付けてほしいとのことでした。

今回の「なるほど!交通安全」は、交通安全のために・・・
『クルマの運転に「危険」の想像力を働かせる』!
『新しい安全性能を取り入れることを考慮に入れる』!ことを心にとめて下さい。
来週はこの続き『クルマの安全に対する考え方』の後編です。
日本人は「謙虚な国民」だと言われます。
本当にそうかというところはさておき・・・

誰かに道を譲ってもらった時、ありがとうの思いとともに、
待たせてすぎてはいけないと急ぐ人が多いかもしれません。
それは人間関係としては美しいこと。
でも、交通の場においては交通事故の原因になることも。
それは「サンキュー事故」と呼ばれます。

「サンキュー事故」? 聴いたことないなと思った方。
実はずいぶん前からこのネーミングの事故はあったようです。

全国で企業相手の交通安全講習を行っている、
株式会社ムジコクリエイト 東京営業所 所長 野藤智さんによると
典型的なサンキュー事故のケースは2つあります。

 )楡で停車して右折待ちをしている時に対向車が道を譲ってくれた
  そこで「ありがとう」と急いで右折をしようとした時に、
  譲ってくれた車の左側横をすり抜けて来た二輪車や、
  他にも車線がある時には停車した車の横の車線を走ってきた車とぶつかってしまうケース

◆|鷦崗譴ら自分が本線に右折で出ようとしている時に
  自分から向かって右側の車が道を譲ってくれた
  そこで、ありがとうと急いで右折を開始したところ、
  自分が入ろうとしている車線の左側から進行してくる
  進行してくる車を見落として衝突してしまうケース


このサンキュー事故を起こしてしまうのはドライバーの焦りと過信。
「譲られているから早く行かなくては」という急ぎの心理が1つ。
道を譲ってもらって気は使うかもしれません。
それでも確実に車を停めて見るところは注意して見る。
もし、見えないのであれば、車をゆっくりと進める。
その間、対向車を待たせるのは気まずいかもしれませんが、
事故を起こしてしまうよりはいいでしょう。
さらに譲られたので安全だろうという過信をしないことが1つ。
相手は道を譲ってくれただけで「背後が安全ですからどうぞ」と
言っているわけではないのです。

ありがとうの気持ちをもちながらも
自分でしっかり安全確認、過信はしない。
その心がけで「サンキュー事故」は防ぐことができます。
人間は勘違いをする生き物。

・ 「ついうっかり」 
・ 「ボーッとしている時」
・ 「何かに気を取られて」 
・ 「とっさの判断を誤って」

ブレーキを踏むべき時に、アクセルを踏んでしまい、事故が起こることがあります。
今週は「アクセルとブレーキの踏み違え」を追跡する後編でした。

まずはあらためて、この踏み間違えによって、どんな事故が起きているか?
交通心理学の専門家、大阪大学大学院 篠原一光 教授に教えていただきました。


(1)いつもバックで駐車しているスーパーの駐車場で
   前向きに駐車をしようした時に踏み間違いをして壁に衝突したケース


(2)スーパーの駐車場から路上に出ようとした時に踏み間違えて
   道路を隔てた前方の電柱に衝突したケース


(3)走行中に路肩の縁石に接触して慌ててブレーキをかけようとしたところ
   踏み違いをして車を暴走させて前方の建物に衝突したケース



30年以上にわたり交通事故防止の研究に取り組む九州大学名誉教授で
安全運転推進協会 代表理事の松永勝也さんが過去に行った
「踏み違え」の実験結果について伺ってみました。


「どんな状況で「踏み違え」が起こりやすいか?」

それは頻繁にアクセルとブレーキを踏み変える状況。
人間は同じ操作を繰り返すと、その動作が早く出来るようになります。
車を運転している人はアクセル操作の回数が最も多い。
だから、危険が迫ってできるだけ早くブレーキを踏もうとした時に、
ブレーキペダルを踏むつもりが反射的にアクセルペダルを踏んでしまう
といった事が発生する事が確認出来たといいます。


「運転中に驚いた時、人はどんな行動をとるか?」

人間がいちばん驚くのは自分の生命を脅かされた時。
そういった時には逃げる準備操作がなされる。
逃げる為には走る、走る為には足を踏ん張る。
だから、車を運転している時にアクセルを踏んだ状態で驚くと、
アクセルを強く踏むという動作をとってしまうのです。


「携帯電話やスマートフォンが「踏み間違え」の原因になることもある」

電話のベルが鳴ると多くの人は対応しようとします。
その時に、一瞬、注意が車の運転から離れてしまうからです。


松永教授によると「踏み違え事故」を起こす割合が多い
若年層と高齢層にも、それぞれの傾向があるといいます。

若年者の「踏み違え事故」が多く起きているのは直線道路。
解決策としては、踏み違えても修正動作が可能なように大きな車間距離をとっておく。
一方、高齢者の「踏み違え事故」が多く起きているのは駐車場などでのバック時。
解決策としては踏み違えても修正出来るように時間をゆっくり取る踏み方をする。
以上のことで「踏み違え事故」を減少できる可能性があります。

松永教授、篠原教授、ともに話していたのが
ペダルの踏み間違を完全に無くすことは難しいということ。
篠原教授は踏み間違い防止機能の普及を期待したいとおっしゃっていました。
その上で装置が無くても自分の工夫で防げる部分がある。
体の感覚でやらないといけないのがペダルの操作なので、
自分の足がどのペダルを踏んでいるのか? 
意識した上で次の動作に移るという運転を心がけることが必要です。
クルマの運転で本当ならブレーキペダルを踏むところを、
間違えてアクセルペダルを踏んでしまい。ヒヤッとした経験のある方・・・いませんか?
このところ怖い事故が報道されるアクセルとブレーキの踏み違えを2週にわたり追跡します。

今回のテーマのコメントは大阪大学大学院人間科学研究科 篠原一光 教授。
交通心理学の分野でドライバーの行動などのうち人間の注意力の研究が専門。
(財) 国際交通安全学会が「アクセルとブレーキの踏み違え」について行った研究で
プロジェクトリーダーをつとめた方。

この研究の報告書には以下のような事故例が記載されています。

 .侫 璽好肇奸璽錨垢涼鷦崗譴ら発進しようとしていた乗用車が突然暴走、
  ガラス窓を突き破って店内に進入した。運転していた女性と店内の男性客2名が負傷。
  女性は「車が急発進した」などと話しており、警察ではアクセルとブレーキの
  踏み間違えが事故の原因ではないかとみて車両の検分をすすめている。

◆.后璽僉璽沺璽吋奪斑鷦崗譴脳貽發某米してきた乗用車が暴走。 
  そのまま敷地内の菓子店の外壁に突っ込んだ。
  運転手は腹部を強打して4時間後に死亡。
  現場にはブレーキ痕が見あたらないため、警察ではアクセルとブレーキを踏み間違え、
  パニックになった可能性が高いと推測している。


アクセルペダルとブレーキペダルの踏み違えは多い事故ではありません。
平成25年度だと6,402件。全人身事故の1.13%にあたります。

ただ、平成12年から平成21年に起こった事故件数を見ると
全交通事故は10年間で、およそ82万件から65万件に減りました。21%の減少。

それに対し、ペダルの踏み違え事故は横ばいで6千人から7千人。10年で2%ほど増加。
「踏み違え事故」は交通事故全体の1%ほどとはいえ減らしにくい事故なのかもしれません。
さらに運転手が死亡する割合が多いという特徴があります。
平成12年から平成21年の統計を見ると・・・

交通事故全体の運転者死亡率    ▶ 0.17 %          

ペダル踏み違え事故の運転者死亡率 ▶ 3.44 % 
 
2015年の「踏み違え事故」の死亡者は60人に達したという報道もあります。
「踏み違え」という行為を考えると世代別には圧倒的に
高齢者の事故というイメージを持つかもしれません。

しかし、免許所持者数に対するペダル踏み違え事故の発生率を世代別に見ると、
確かに認知・判断・操作の能力が落ちる高齢者の発生率が高いものの
18歳〜24歳までの年齢層にも高い数字が出ているのです。

毎日新聞の報道によると2013年の踏み違え事故は2割が20代。
免許を取ってあまり年数が経たない方には特に気をつけて下さい。

このタイプの事故がいちばん起こる場所は駐車場などの道路以外での場所。
篠原教授によると前進とバックを繰り返して行なう中でこの事故は起こるのだろうとのこと。
そのあとで交差点付近、単路・直線部。単路・カーブ、交差点という順になります。

アクセルとブレーキを交互に使うような時に起こりやすい「踏み違え事故」。
運転中は注意散漫にならないように、くれぐれも注意して下さい。
次回はこの続き「アクセルとブレーキの踏み違え事故 後編」です。
今週は先週に続く「タイヤが担う安全性 後編」。
自動車評論家 薦田潔さんへの取材でお送りしました。

みなさんは自分の車のタイヤが、いつ作られたか把握していますか。
タイヤの素材はゴム。時間が経てば劣化します。
では自分のタイヤがいつ生産されたかご存知ですか?
これは調べる方法があります。

タイヤのサイドウォールに楕円形で書かれた4ケタの数字が記されています。
例えば「2314」とあれば「2014年 第23週」に作ったという意味。
これを見れば、いつ作ったモノなのかが分かります。
保管状態や乗り方によって違いますがゴムの硬化は避けられません。
山があっても、ゴムが硬くなれば、雨の日は滑りやすくなってしまいます。
技術の向上で寿命の長いタイヤも出ていますが、
薦田さんとしては『寿命の目安は「6年」ぐらい』、
『10年経ったら「使えない」と考える方がいいでしょう』とのことです。

「タイヤを交換する時には、どこでどんなタイヤを選べばいいのか?」
そんな疑問が湧いている方も多いかもしれません。

実はタイヤは2種類あります。
「OEM」と呼ばれる新車装着のタイヤ。
「リプレイス」と呼ばれる街で売っている取り換え用のタイヤ。

タイヤメーカーが自動車メーカーに納めるタイヤは、
テストをして承認したものしか使わないのでかなり高い性能です。
摩耗・音・乗り心地・グリップ・雨の日の対策、全てクリアした状態で付けています。

しかし、均一した製品を作るのが難しいのがタイヤ。
同じブランドでも品質は全て同じではありません。
それはゴムの特性によるもの。
A級品、B級品、C級品があり、B級品、C級品は日本国内では売らない。
あまり問題なく使える道の悪い東南アジアなどでは使用されます。
日本で売られている安いタイヤは、そうしたB級品、C級品の可能性があるそうです。
見た目は全然変わらない。そこで、安いタイヤは気を付けた方がいいのです。

そして、広がっている燃費のいい「エコタイヤ」について、
安全面の疑問が指摘されることがあります。
その点を薦田さんに伺ってみました。

たしかに、そういう問題は起こっているとのこと。
転がり抵抗を小さくする事によって燃費が良くなります。
燃費が良いタイヤをみんな欲しがるので売れます。
しかし、それは逆にグリップしなくなるという事なのです。

特に雨の日のグリップが悪くなります。
雨の日のグリップを落とさないように、
しかも、転がり抵抗を少なくするとタイヤの値段は上がります。
シリカという材料をゴムの中に混ぜると、
その効果を得られますが、どうしても価格は高くなってしまいます。
安いタイヤで転がり抵抗が良いというのは、
雨の日は危ないということと裏表であることが多いのです。

こうした問題から出来たのがラべリング制度。
「転がり抵抗性能」と「ウェットグリップ性能」が2つ同時に表示されています。

「転がり抵抗性能」はタイヤの中に給油機のマーク。
グレードはアルファベット大文字で
AAA / AA / A / B / C の順で表示されています
AAAに近いほど「転がり抵抗性能」は低い・・・つまり燃費がいい

「ウェットグリップ性能」はタイヤの中に雨マーク。
濡れた路面でどのくらいタイヤの摩擦力があるか・・・
これはアルファベット小文字で a / b / c / d と表示されていて、
aに近いほどグリップ力がある・・・つまりスリップしません。

「転がり抵抗性能」「ウェットグリップ性能」、
ともに高いものが、燃費がよく、安全性が高いタイヤ。
値段は高いということですが「安全」のためには多少のコストは考慮すべきでしょう。

あらためて、タイヤは唯一、路面に接している大切なパーツ。
安全性能の高いタイヤを履いて、きちんとチェックをして、交通安全を心がけてください。