例えば、北海道の平原のような建物や大きな木などの障害物がない
360度 視界が開けた交差点でクルマ同士の衝突事故が起こることがあります。
このタイプの事故は「コリジョンコース現象」と呼ばれます。





「コリジョン」とは衝突を意味する英単語。
人間の視界には前方約30度の「中心視野」と
その左右外側の「周辺視野」があります。





「中心視野」は物を細かく見ることに適していて
「周辺視野」は何かが動くのをとらえるのに適しているので
人間は「周辺視野」で異常な動きを感知し「中心視野」で詳細を解析・確認します。

でも、周辺視野は、動かないものを認識しにくいという特性から
直角に交わる見通しの良い道路を同じような速度で交差点に向かって走る
もう1台のクルマがあっても、その存在に気づきません。

これはクルマだけでなくオートバイでも
また、飛行機や船でも起こることです。





先月、福島県郡山市の交差点で乗用車と軽自動車が衝突して軽自動車が炎上。
4人が亡くなるという痛ましい事故が起きました。
この事故が起きた交差点は非常に見晴らしが良く
現場にはブレーキの痕が無かったことから
コリジョンコース現象が原因ではないかと考えられています。
気をつけたいのはコリジョンコース現象による自動車事故が大惨事に繋がりやすいこと。


交通工学が専門の北海道大学 工学研究科 萩原亨教授によると
お互いの自動車に気づかず、スピードを落とさず衝突するから。

また、直角にぶつかることになりますが
車種によっては横からの衝突に弱いものもあり
室内が潰れて乗っている人に対して大きな衝撃がきます。
それによって被害が大きくなって死亡事故に至ることもあります。
見晴らしも広い田舎町なのでスピードを出して走行していることも
大きな事故になってしまう要因の1つになっているようです。





対策の1つは直角に交わる道路が多い土地を走る時には気をつけること。
曲がっている道路ではコリジョンコース現象は起きません。
田園風景の中にあるまっすぐの道を走る時は
時々、意識的に首を降って左右を見るようにしましょう。

そして、前回の「優先道路」に通じることですが、交差する道路はどちらかが優先。
そのことを意識しつつ、どちらが優先か分かりにくい時は、
一時停止するつもりで運転するようにして下さい。

近隣にコリジョンコース現象が起こりやすそうな開けた土地があり
走り慣れている人は日頃から気をつけているでしょう。
行楽、旅行などで知らない土地、不慣れな場所を運転する時には、
カーナビで道路環境を確認することも心がけてコリジョンコース現象を防ぎましょう。




交通事故の半数以上が、交差点で発生しています。
交差点はそれぞれ目的地に向かって走るクルマが行き交う場所。
そして、同時に歩行者・自転車に乗る人もいます。
ドライバー自らが危険を呼び込まないよう
交差点でのクルマの優先ルールをきちんと抑えておきましょう。





2017年の交通事故に関する警察庁の発表をもとに
公益財団法人 交通事故総合分析センターがまとめたデータによると
人身事故の54%が交差点で起きています。

<内訳>

信号機がある交差点 16%

信号機がない交差点 24.3%

交差点付近     13.8%



そこにはドライバーの「自分が優先」という思い違いや
無理な運転がありそうですね。

交差点でのクルマの優先順位。
これはクルマを運転する方は分かっていると思いますが、直進・左折・右折の順。
そして、信号がある交差点で危険を生み出しやすいのは、
想像つきやすいと思いますが、右折車と直進車の関係でしょう。





モータリングライターの藤田竜太さんによると
右折事故の 71.8%が信号機のある交差点で発生しています。
一番多い原因は対向直進車の発見の遅れ。

人間の中心視野は約40度。
対向直進車線と右折先まで視野に入れようとすると
視野としては 90 度から120 度ぐらい見渡す必要があります。
だから、右折先の道路状況や歩行者を注視していると
対向直進車の発見が遅れることがあります。

もう1つ、右折車のドライバーが「直進車より先に通過できる」と
判断してしまったというケースも目立っているといいます。

また、最近では矢印の右折信号が出てから右折している車に対して
赤信号が変わった側の直進車が無理に交差点に進入し
右折車とぶつかるケースも増えているという報告もあるそうです。

右折時は気をつけなければいけない事が多いですが、
急がず、慌てず、無茶をせず、安全に曲がりましょう。
また、直進車の立場の時は、右折しようとしているクルマに注意しましょう。





クルマの優先順位で「間違い」や「思い違い」が生じやすのが信号のない交差点。
どのように優先車は決まるのか?

まず、優先道路がわかる看板や標識が設置されている道路ではこれに従います。
標識がない道路ではセンターラインがある方が優先道路、
センターラインがなければ道路の幅が広い方が優先道路。
標識やセンターラインがなく、道路が広いか判りにくい場合は
車両には左方優先のルールがあり、自分の左から出てきたクルマが優先となります。
覚えておいて下さい。





信号がない交差点での走行には気をつけて下さい。
藤田竜太さんに安全運転のポイントをお聞きしました。

前走車がいる場合は、その車が交差点で減速したり、
一時停止する可能性があると考えてついていくということが大切。

左右の見通しが悪い交差点ではカーブミラーをよく見るというのが基本。
カーブミラーがなければ、しっかり徐行、一時停止して左右の安全を確認する。

右または左から車が近づいてきた時は自分の方が優先道路だとしても
近づいてくる車が減速しているかどうかをしっかりチェック。
減速する気配がなければ、自分が止まってやり過ごした方が安全。

また、消極的ですが、ドライブレコーダーを設置することで
より慎重に運転しようという意識づけになると解説して下さいました。

クルマの優先順位のルールをしっかりと認識して
日々の運転をするようにしましょう。



去年12 月、富山県氷見警察署が交通安全キャラクターを発表しました。
夏で集まった約400点から選ばれたのは地元高校生のデザインによる
氷見名産の寒鰤をモチーフにしたブリアン」!
今週はその「ブリアン」に込められた交通安全への思いをご紹介しました。





富山県氷見警察署 地域交通課長 山本慎悟さんによると
「ブリアン」は”鰤”と交通安全の「安」からネーミング。
警察官の制服を着て、地元の氷見市を連想させるように
制帽や階級章には氷見市の形をしたマークが入っています。





写真を見ると青というよりも水色に近いブリが、
やはり水色の警察の制服を着て、警察帽をかぶり、
黒字で「交通安全」と書かれた黄色のタスキをしています。
表情は凛々しく、少し笑いも湛えていて、 頼もしい感じがします。





山本さんによると氷見市民に少しでも交通安全に関心を持ってもらい
さらに効果的な交通安全啓発活動を行おうと思いから
警察署独自のキャラクターを作ろうということで
今回のキャラクター創作企画となったそうです。

去年夏から公募をスタートして募集対象は市内の小中高の生徒。
地元の児童・生徒に制作してもらい、それを活用することで、
市民に長く愛され、親しまれるだろうと考えてのことでした。

そして、集まった作品の中から”氷見の特産をモチーフにしている”
”ブリのデザインが丸くて可愛く親しみやすい”という理由で選ばれたのが
富山県立 氷見高等学校 2年 美術部 部長 竹嶌美結さんの作品。
市内在住のイラストレーター 飯田佳奈子さんが最終的なイラストに仕上げました。





締め切りの2日前に美術部顧問の先生から
「書いてみないか?」と言われたという竹嶌さん。
「もう少し早く言ってほしかったな」と思いつつ(笑)
キャラクターデザインは初めてなので出来るか不安な気持ちもあったそう。
「時間がないのでちょっと授業の合間に考えちゃったりして
氷見の有名ブランド寒ブリをモチーフに、警察の制服に合うように寒色系の色を取り入れて
子供も大人も親しめるような丸っこいかわいらしいデザインをイメージしました。
魚なので 後ろにはちゃんと尾びれが付いてます。
あと、もしグッズ化されても皆さんに買ってもら えるような愛らしい容姿にしました」。
とコメントしてくれ、一生懸命考えたことが伝わってきました。

そして「ブリアンには飛び出し歩きスマホ、飲酒運転などの事故原因の予防だけでなく、
子供から高齢者まで幅広い世代の交通事故に対する日頃からの意識向上に役立ってもらいたいと思っています。
可愛らしい姿で幅広い世代に交通安全の呼びかけをして
皆さんに意識してもらえるように頑張ってきなさいと思いを込めました」と話してくれました。

富山県氷見警察署で誕生した交通安全キャラクター。
竹嶌さんや氷見警察署の願いどおり市民に広く浸透して
1つでも交通事故を減らすことに役立つといいですね。




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