12 月に入り、全国的に冬に突入。 これからの季節は、雪にタイヤがはまり込んで
クルマを動かせなくなる危険があります。

今回は自動車ジャーナリスト 鈴木ケンイチ さんにお話を伺い
「雪道でのスタック」について注意喚起しました。





今週火曜日の夕方、秋田市の県道で横転など車 12 台が絡む事故がありました。
道路の凍結によるスリップと見られています。

一昨日の夜8時から昨日の朝8時にかけて
宮城県では道路凍結が原因で89件ものスリップ事故が相次ぎました。
道路の凍結によるスリップと見られています。

冬の道路を甘く見てはいけません。
ウィンタースポーツのシーズン。
運転に不慣れな人は特に気をつけましょう。





まず、積雪がある地域にクルマで向かう時には
大前提として夏タイヤで何も準備をせずに出かけてはいけません。
必ずスタッドレスなどの冬タイヤを装着しチェーンも携帯しましょう。
夏タイヤの場合は道がうっすらと白くなっただけで走れなくなる可能性があり
少しの凹みで立ち往生する恐れもあります。





それでは本題の雪道での「スタック」。
タイヤを然るべき装備にしても雪道にハマってしまうことはあります。
起こりやすい状況・環境は、新しい雪がどんどん降っている時や
雨が降ってその前に積もった雪が溶けている時など。
天候に気をつけて下さい。

また、圧雪路を走行中に脱輪して道の脇の雪に突っ込んでしまったり
溝に落ちてしまった時にスタックすることもあります。
運転にも注意を払いましょう。

そして、必要なところでは早めにチェーン装着。
走るルートや時間帯を考え、急なハンドル・急なアクセルは避ける。

ただ、それらに気をつけていたにも関わらず
タイヤが雪にはまり込んでしまうこともあります。





もしも、雪道でスタックしてしまったら
タイヤが雪に埋もれて路面に接していない場合はスコップで車の周囲の雪をかき出します。
除雪できない時はタイヤ周囲の柔らかな雪を踏み固めるという方法もあります。
なんとかタイヤを路面に接地させて動かせるか試してみて下さい。

地面に設置しているにも関わらず、タイヤが滑って抜けられない場合は
滑る部分に布を敷く、ヘルパーと言われている樹脂を入れる、砂を撒くなど
グリップを効かせられるようにして試して下さい。

クルマを動かそうとする時はアクセルをぐっと深く踏み込むと
さらに滑って穴が大きくなってクルマがもっとはまり込んでしまう恐れがあります。
前に行こうとすると失敗することが多いのでバックに入れてゆっくり下がる。
少し後ろに下がったら今度はまた少し前に出るというように少しずつに踏み固めながら
動ける範囲をだんだんと大きくしていき、最後に反動を大きくして脱出します。
脱出は前ではなく後ろ、今まで走れていたところに戻るというのが基本です。





頑張って自力で脱出を試みたもののクルマが動かない時は
JAFやロードサービスに救助を求めましょう。

電話が繋がらない、他の車も通りかかからないという場合は
人がいる、電話が繋がるといった所まで歩いていくしかありませんが
夜中や豪雪・強風など悪天候の時は無理をせずに車内にとどまって
雪がやみ、太陽が昇り、暖かくなって道に迷わず歩けるようになるまで待ちます。





長時間、車内で過ごさなければいけない時は
排気ガスが車内に入って起こる一酸化炭素中毒に気をつけて下さい。
なるべくエンジンを切る。頻繁に排気口部分を除雪する。
ワイパー下の外気導入口の雪も除く。定期的に換気するなどの対応が必要です。
一酸化炭素は色がなく無臭、目に染みるなどの刺激もないのでなかなか気づきません。

これからの季節は雪道ではスタックする危険があることを想定して、
クルマに乗るようにしましょう。
最近、親が子ども自転車に乗せている時に起きた交通事故が、
相次いで報道されています。

どんな事故が起きているのか。原因はどんなことによるのか。
今回は自転車ジャーナリストで自転車の安全利用促進委員会 メンバーの
遠藤まさ子さんにお話を伺い、子どもを自転車に乗せている保護者と
交通社会でそうした自転車に関わるドライバーへ注意を喚起しました。





まず、気をつけたい1つのパターンは、
子どもを抱っこして自転車に乗る”ケース。
転倒や転落で子どもがケガをする事故が多いということで
先月、国民生活センターが注意を呼びかけています。

子どもを乗せての自転車利用は道路交通法の細則に
4 歳未満子どもは背負い紐などで背負って乗車していいことが記されています。
遠藤さんによると前抱きで乗った場合は法律違反になってしまうのではないかとのこと。

もしも、法律違反でなかったとしても胸元に抱くことによって
ペダリングをするときの足の動きが妨げられたり
路面を見る際に自分のすぐ下の視界が妨げられる弊害があります。

自転車事故というと走っている時に車とぶつかるケースを思い浮かべるかもしれませんが
段差を乗り越える際などに自分自身で勝手に転倒してしまう事故が多く見受けられます。
特に子供を乗せた自転車だとバランスを崩しやすいので
段差を乗り越える時はタイヤと段差が平行になるような入り方ではなく
タイヤが垂直に入るように心がけて下さい。





特に都市部では子どもを乗せた自転車利用は、
幼稚園・保育園・習い事などへの大切な移動手段。
朝や夕方に子どもを乗せて大急ぎでペダルをこぐ
お母さん・お父さんを見かけることもありますが
まずはバランスを崩して転倒することが危険です。
安全運転が阻害されないように子どもをセッティングした上で
スピードを出さずに乗りましょう。

その上で、気をつけたいのが子どもを2人乗せる自転車の利用。
法律上で認められていますが条件があります。
それは幼児 2 人同乗基準適合車という認証を受けた自転車であること。
このタイプであれば前のチャイルドシートに 1 人、背負って 1 人、2 人まで乗せることが可能。
しかし、一般の自転車の場合は子ども 1 人しか一緒に乗ることはできません。

このルールは2009年の道路交通法改正で生まれたもの。
安全基準を満たした自転車には(社)自転車協会による幼児2人同乗基準適合車のマークがつき
フレームを太くしたり、中にスチールの補強剤を入れるなど、
走行時のたわみや歪みを防ぐ設計になっています。

最近、子ども2人を乗せた痛ましい事故も起きています。
自動車同様、チャイルドシートにベルトはきちんと締めて安全に利用して下さい。





そして、子ども同乗の自転車利用で気をつけなければいけないのは
走っている時ばかりではありません。

子供を乗せた自転車利用は停車中の事故で救急搬送というケースが多くあります。
コンビニで何かをを買ってくる、ATMでお金を下ろすといった時に
短い時間だから子どもを自転車に残す保護者も少なくありません。
そんな時に子どもが動いてバランスを崩した自転車が転倒して怪我してしまうのです。

横倒しになれば頭を打つかもしれませんし、
シートベルトをしていなければ道路に飛び出してしまうことも考えられます。
少しの時間でも自転車を停める場合には子どもも一緒に連れて行きましょう。

お父さん、お母さん、子どもを一緒に乗せた自転車利用、
あらためて、ご自分は安全かどうか、確認してみて下さい。




令和元年の道路交通法改正によって「ながら運転」が厳罰化されてから3年。
「ながら運転はいけない」という意識はドライバーに広く根づいていると思います。
でも、気を抜いた時、つい運転中にスマホをいじっていませんか?
あるいは「少しなら大丈夫」と意図的にやっていませんか?
その行為が悲劇を生みかねないことを自覚しましょう。





今回のコメントは 自動車ライター/インストラクター 齊藤優太さんでした。
ながら運転の規定は道路交通法第71条5の5にあります。
停止をしている時以外、つまり運転中には通話や画面・画像を注視しないよう定められています。
スマートフォンで通話する、カーナビの画面をじっと見る、などが「ながら運転」の定義です。





警察庁のデータからは、厳罰化と取り締まりの強化によって、
“ながら運転”が、かなり減ったことが推測されます。
      
ながら運転に関係する交通事故件数 は
令和元年 2,645件 → 令和2年 1,283件と半数以下に減少。
ただし、令和3年は1,394件と増加しています。





運転中の携帯電話使用等の取り締まり件数は
四捨五入で令和元年 72万件 → 令和2年 31万件 → 令和3年 29万件と
半減して、さらに減少傾向にあります。





「ながら運転」の減少は歓迎すべきこと。
しかし、携帯電話使用の摘発だけでも年間30万件。
その1つ1つが悲劇に繋がる恐れがあり、危険性はデータに表れています。
死傷事故に占める死亡事故の割合は、携帯電話などの使用がない場合は「0.80」%。
使用がある場合、つまりながら運転は「1.51」%。
およそ1.9倍、ほぼ2倍になります。





ちなみに近年「ながら運転」が関係する死亡事故数が、
どのくらいあるかというと令和元年(42件)/令和2年(20件)/令和3年(21件)。
もちろん、今年も起きています。

5 月に愛知県の県立高校教諭の乗用車が自転車に乗っていた会社員をはね
会社員は外傷性くも膜下出血で亡くなりました。
スマートフォンで「ドラゴンクエストウォーク」をしながら運転していたとみられています。

運転しながらゲームをやっていたために家族や近しい人間が死んでしまうなんてことを想像したら
誰もが身震い好き持ちになるでしょう。「ながら運転」は、そういう悲劇を生む危険があるのです。





ながら運転は前方不注意に繋がりますが、
ほんの少しの時間だと思ってもクルマはかなりの距離を進みます。
時速 20 キロで約 6m、時速 40 キロで約 11m、時速 60 キロで約 17m、時 速 80 キロで約 22m。
そのわずかな 間 に目の前の状況が変わることも想定しましょう。

今のスマホ社会。
運転していても、つい触りたくなってしまうのも事実。
「ながら運転」をしないよう予防線を張ることも大切です。

まずはスマートフォンをサイレントモードにし、
そして、画面が見えないようにしておくこと。
通知が来ると見たくなってしまうので、運転中はしばしスマホのことは忘れましょう。





「ながら運転」の危険性を充分に理解していただけたと思います。
ただ、例外として「傷 病者の救護」や「公共の安全の維持のため」
「やむを得ない緊急時」に限っては運転中のスマホ使用も
認められていることを最後にお伝えしておきます。


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