歩きはじめて間もない幼児が被害者となる交通事故。
想像したくありませんが、悲しいことに数は少ないながらも実際に起きています。

公益財団法人 交通事故総合分析センター(ITARDA)が
それらには他の年齢層が被害者の事故とは違う特徴があると解析。
6月にリリースした ITARDA INFORMATIONで発表しました。
今回はその内容について主任研究員の渡辺泰介さんに伺いました。





今回 ITARDAが注目したのは0歳から3歳の子どもの事故。
毎年400人位が事故に遭って約10人が亡くなっています。

このくらいの小さな子供は基本的に保護者に守られているもの。
人口あたりの死亡率はそれほど高くありません。
ただ、クルマが低速で走行している時に起こる事故
中でも10km/h以下で起こした事故に限ると他の年齢層と比べて
人口あたりの死亡率が抜きん出て高いことがわかりました。





クルマがゆるゆる走っている程度の速度で衝突したとしても
3歳までの子どもが受けるダメージは大人や成長した子どもより
かなり大きくなってしまいます。

そして、気になるのは10km/h以下で走行するクルマが幼児にぶつかっていること。
0歳から3歳ぐらいの子どもは、本来なら親や保護者が見守っているはず。
そこから事故の状況が浮かび上がってきます。





渡辺さんによると交通事故の要因は「道」「車」「人」の3つに分けられます。
その上で0歳から3歳の子どもが被害に遭う交通事故は・・・

「道」については半数ぐらいが自宅から 50m 以内。
自宅前の道路や、さらに言うと自宅の敷地内で起きている。
もう1つ、事故が多発しているのが出先のお店の駐車場。

「車」はミニバンやワンボックスなど運転席から前が見えにくいタイプ。
ちなみに事故が起きている時間帯としては平日の昼間が約8 割。

「人」、運転者は20 代から30 代と子供の親世代に重なっていて
男女差はほとんどありません。
反対に轢 かれてしまう子供は、特に多い 2 歳以下だと
身長が 90 センチあるかないかなので車の下に巻き込 まれてしまう。
その結果、タイヤで頭を踏まれて亡くなる例が多く
なぜか女の子の方が多くて男の子の 1.5 倍から 2 倍。
以上の分析結果が得られたということです。





平日の昼間・・・

自宅の敷地で、クルマを動かすため、
「ここでじっとしていてね」と言ったのに子どもが動き出してしまう。
クルマを運転していたのは、それに気づかない保護者自身だった。

自宅近くで保護者が友人・知人と話に夢中になっている隙に、
子どもが道路に出ていた。

訪ねた友人・知人宅で、
子どもの目を離した、あるいは見失った時、
友人・知人が動かそうと思ったクルマにぶつけられてしまう。

ショッピングモールの駐車場で、
子どもを先に降ろし、自分が降りる準備をしている間に、
子どもが車の通り道へ行っていた。

・・・ そんな光景が目に浮かびます。





今回の話は0 歳から3 歳が事故の対象。
気をつけなければいけないのは保護者である、クルマに乗る、私たち大人。

まず、運転者は乗車前にクルマの死角を十分確認すること。
特にミニバンや着座位置の高い車に乗っているのであれば
車のすぐ前に大きな死角があるので特に注意が必要で
フロントガラスに頭を近づけると、ある程度下も見えます。
できれば、職業ドライバーのように車の周りを左回りに一周。
クルマの周囲を安全確認してから乗り込むべきです。

そして、保護者は車の周りでは子供から手を離さないこと。
店の駐車場では子供を先に降ろさず、自分が準備をして降りた上で
子供をチャイルドシートから降ろして手を繋ぐことを心がけましょう。





幼児の交通事故は、身近なところで起こります。
まずは、保護者の方は外出時、しっかり手を繋ぐようにしましょう。
そして、ドライバーの皆さんは、発進前の安全確認を怠らないで下さい。

甲子園では104回目を数える
“夏の高校野球”の熱戦が繰り広げられています。
NPB、日本のプロ野球は終盤戦、優勝争いが白熱する時期。
海外ではMLBエンジェルスの大谷選手が打撃絶好調。

このところ野球の話題が熱いですが、
今回は“野球を通して交通安全を啓発する”という理念を持つ
異色の社会人野球チーム「宮崎梅田学園」の話題をお伝えしました。
選手の多くはなんと教習指導員です。





宮崎県で自動車学校などを経営する宮崎梅田学園。
会社の設立は1973年(昭和48年)のことでした。
現代表取締役社長の梅田條尾さんによると硬式野球部発足は2006年。





実は梅田さん自身が高校まで野球をやっていて
大学に進学して野球を続けたかったそうですが様々な事情から就職。
その後、父親が自動車学校が開校するということで手伝い始めた中で
社内で軟式野球部を作りました。

しばらくして、タレントの萩本欽一さんが率いる
茨城ゴールデンゴールズが全国的に話題となったことをきっかけに
梅田さんも会社の野球部を軟式から硬式へと変えたそうです。
硬式野球部を持つことは夢だったのでしょう。

そんな経緯を持つ宮崎梅田学園 硬式野球部。
母体は自動車学校が母体なので交通安全とは近い関係にありますが
その普及を活動理念の1つにしたのにはきっかけがありました。

主催する中学生野球大会に出場した笹森郁弥さんという方が
大会後すぐに交通事故で亡くなり
お父さんが交通安全の講演活動をしていると後になって知ったのです。

自動車学校として野球を通じて交通安全を伝えていこうと考え
郁弥さんがつけていた背番号5を永久欠番としていつもベンチに置き
彼の夢だった甲子園は無理ですが大人の甲子園である都市対抗野球に
連れていくことを目標にすることにしました。





そして、ここまでのところ2019年と2022年、つまり今年、
見事、毎夏開催されている都市対抗野球に出場を果たしています。
ベンチには郁弥さんのユニフォームが飾られ
試合会場の東京ドーム応援席には交通安全の横断幕が掲げられました。
父親の義幸さんは郁弥さんと同じ背番号5のユニフォームで始球式をつとめました。

こうしたところからエピソードが伝わり、
交通安全の大切さが、また全国に共有されていくことでしょう。
選手のみなさんは交通安全運動期間中にユニフォームを着て
街頭で交通安全の横断幕を掲げて通行人に交通安全グッズを配るなど
ふだんから交通安全活動にも取り組んでいます。








今のところ2度出ている都市対抗野球は1回戦敗退。
日本選手権にも1度出場していますが、こちらも1回戦で敗退。
梅田社長の願いはなんとか勝利をプレゼントすること。
選手の皆さんは教習所の仕事と野球の二足の草鞋。
大変だと思いますが、今後の活躍を期待しましょう。




全国各地の警察署は交通事故を 1 つでも減らそうと
さまざまなアイデアと努力で交通安全の啓蒙活動を展開しています。
今週はそんな 1 つ、岡山市 岡山南警察署の取り組みを紹介しました。





昨年来、岡山南警察署は交通安全の啓発キャラクターを開発。
それが「横断歩道マン」と「横断歩道レディ」です。
横断歩道マンの誕生は、去年の秋の交通安全運動期間中の9月。
横断歩道レディは、今年7月。2人は兄弟という設定。





この企画を考えた交通第一課長 武田 直隆さんによると
横断歩道についての交通ルールを広く理解してもらうために発案したキャラクター。

横断歩道マンは顔の部分に横断歩道予告マーク「♢」がついています。
胴体は白と黒の横のストライプで横断歩道を表現し、背中にも「♢」。
彼は各種交通安全教室などに登場して交通指導を行なってきました。





新たに登場した横断歩道レディは夜光反射材の着用を呼びかけています。
顔には「♡」。胴体はやはり横のストライプですが、女の子なのでピンクと白。
胴体には反射材。というのも横断歩道レディは反射材使用をPRする役割だから。

今月下旬からおよそ1年間、この横断歩道マン・横断歩道レディ
2つのキャラクターがラッピングされたタクシーが街を走る予定です。

こうした施策を行うことにしたのは、
岡山県は例年、交通死亡事故が他県と比較して多く発生しているから。
また、最新のJAFの調査では信号が無い横断歩道でのクルマの停車率が10.3%。
全国47都道府県でワースト1でした。
こうした状況を変えるためです。





「さっきまで元気な人が命を落とすという、あってはならないことが 起きています。
交通死亡事故を抑止するために何が必要かを考えると、1 人 1 人が交通ルールを守るのは当然として
マナーを持っていなければならない、そのマナーとは他者に対する思いやりだろ思います。
その気づきや考える場で横断歩道 マン・横断歩道レディを活動させていきたいと考えています」。
交通第一課長 武田 直隆さんはそう話して下さいました。





«Prev || 1 | 2 | 3 |...| 29 | 30 | 31 |...| 156 | 157 | 158 || Next»