もうすぐ夏休み。
家族で、あるいは友人・知人と、クルマで遠出する予定がある人は多いでしょう。
その時には、どの席に座っていても、シートベルトを正しく装着しましょう。

今週はモータージャーナリスト 藤田竜太さんにお話をお聞きして
「シートベルトの意味」をおとどけしました。





万が一、乗っているクルマが交通事故に遭遇してしまったとして
シートベルトを装着しているのと装着していないのとではどのくらいの違うか
考えたことはあるでしょうか。

国土交通省による自動車乗車中にシートベルトを装着していない場合の致死率は
シートベルトを着用している時と比べて・・・

運転席      56.5倍 

助手席      15.2倍



そして、シートベルト装着の有無で
交通事故死傷者数に占める死者数の割合を比較してみると
シートベルトをしていないと・・・

高速道路     11.7倍
      
一般道路      3.3倍



データ上でシートベルト着用の有無で顕著な違いが出ています。
取り締まりで見つかったら罰金になるという消極的な理由ではなく
命を守るためにシートベルトの装着はマストだということがわかります。




      
乗車時についシートベルトをしないという時間もあるかもしれません。
でも、それが危険だと藤田さんは指摘します。

走り出し、特にいちどクルマをバックさせてから走り出す時、
ちょっとだけ移動する時、駐車場やどこかの敷地内、誰かのクルマの後部座席、
意識的にシートベルトをしないことはありませんか。

クルマが衝突した時に両手両足で踏ん張って耐えられる衝撃は体重の2〜3倍。
速度にすると、わずか7km/hで耐え切れなくなってしまいます。
いかにシートベルトが必要かがわかります。




    
そして、シートベルトは正しく着用しないと
効果は半減し危険が生じるので気をつけましょう。

シートベルトを体がすり抜けるサブマリン現象が起きないように
背もたれを倒しすぎず、シートに深く腰掛けます。

ベルトは捩れがないようにして、
腹部に当てず、胸骨に当たるようにして巻きます。
40km/hで衝突した時でも、ベルトにかかる力は約600kg。
腹部に衝撃がくると内臓破裂の恐れもあります。

6歳未満の子どもにはチャイルドシートの着用義務があります。
チャイルドシートは、シートベルトより誤った着用が多いので、
より、正しくつけるよう気をつけてください。
そして、6歳以上の子も身長が140cm に達するまでは
安全のためにチャイルドシートに座らせることが推奨されています。

夏休みのお出かけ。
シートベルトは全ての席で、常に、正しく、装着しましょう。

    


クルマの運転中に眠気を感じたことは誰もがあるでしょう。
中には居眠りしている自分にふと気づいたという
コワい経験をしたことがある方もいるかもしれません。

もうすぐ夏休み。
クルマで出かけることが多い時期です。
今週は「居眠り運転をしないために」をお届けしました。





居眠り運転が原因の交通事故はたびたび起きています。
去年11月、岡山県 総社市の国道で
幼稚園に通うために横断歩道を渡っていた女の子2人と
それぞれの母親の4人が乗用車にはねられ、
女の子1人と、別の女の子の母親が、一時意識不明の重体となりました。
居眠りをしながら運転し、赤信号に気づかず4人をはねたとして、
過失運転傷害罪に問われている65歳の男性は、
先月、地裁で禁錮3年の実刑判決を言い渡されています。


もう1つ。
今月5日の午前4時40分ごろ、
神奈川県 川崎市の県道で乗用車が信号機の柱に衝突、
電柱が粉々に砕ける事故が起きました。
事故を起こし、軽傷を負った22歳の女性は、
「居眠り運転をしていた」と話しているということです。

居眠り運転は、歩行者・自転車に乗る人・他の運転者と、
自らの命も危険を脅かします。気をつけなければいけません。





今回、コメントをいただいた睡眠が専門の
雨晴クリニック 院長 坪田 聡 医師によると
運転中に眠気に襲われる最大の原因は睡眠不足。

現代の日本人はほとんどが睡眠不足に陥っているとのことで
前の日の睡眠時間が短かかったり、睡眠不足が長く続いてる時は、
運転中に眠くなってしまうことが多いようです。

そのほか、道路の形状にほとんど変化がなく、
ハンドルやブレーキの操作をしない時も眠気がやってきやすい。

また、体の周期で1日で眠気が強くなる時間があり
午後の3時から4時、午前3時から4時ぐらいに居眠り運転が多く
事故も増えると言われているそうです。

さらに天気では日光の刺激がある晴天や、
緊張感がある雨の日ではい、曇りの日が眠くなりやすいそうです。





適切な睡眠時間は人によって異なりますが、
厚生労働省は成人の場合、6時間から8時間の睡眠を推奨しています。
ただ、坪田医師によると同じ睡眠時間でも体温が下がる夜間には深い睡眠がとりやすく
早朝以降には体温が上がってくるので睡眠が浅くなる傾向があるそうです。
睡眠をとるタイミングにも注意が必要です。





質の良い睡眠をとっていれば、居眠り運転のリスクは減ります。
坪田医師による睡眠の質を良くするための注意点。

1つは光のコントロール。
寝る前に携帯やパソコンを見て明るい光を浴びてしまうと、
夜ぐっすり眠りにくくなります。

2 番目に大事なのは食事の規則性。
朝昼晩きちんと同じ時間に食事をとると体内時計が順調に回るので
昼は眠くならず、夜は眠くなる状態になります。
朝ご飯を食べないという人も多いと思いますが、
眠気ということを考えると、しっかり食べた方がいいようです。





ここまで運転中に眠くならないための情報をお伝えしてきましたが、
それでも眠くなってしまうことがあるかもしれません。

眠気に襲われた時の対処方法の1つは仮眠をとること。
もう1つは眠気に対抗することです。

眠気に対抗するというのは体の神経を活性化して眠気を減らすこと。
例えばコーヒーを飲んでカフェインを摂る。
カフェインには脳の細胞に働いて眠気を感じなくさせ る働きがあります。
また、ガムを噛む顎の運動は目を覚ますセロトニン神経を活性化します。
歌を歌う、光を浴びる、運動をする、冷たい水で顔を洗う。
身体と脳に何か刺激を与えることをしましょう。





これからの夏休み。
クルマで遠出することもあるでしょう。
最後に坪田医師から運転する前の日の注意点です。

長距離運転をする前日は睡眠不足にならないようにして下さい。
お酒は思ってる以上に残ることあるので少なめに、早めに切り上げる。
眠気が強くなりやすい午前3時 〜 4 時、午後3時〜から4 時ぐらいの運転はなるべく避ける。
反対に、いつも布団に入るの2 時間 〜 4 時間ぐらい前は眠気が少ない時間帯。
有効に使うことが大切ですとのこと。

長距離運転については、出かける時よりも帰って来る前日に気をつけたいですね。
旅行先や帰省先で夜更かししてしまうとか、飲みすぎてしまうとか。
生活を整えて、居眠り運転に陥らないようにしましょう。

今年はすでに東北以外の地方は梅雨が明け、
猛暑が日本列島を襲っています。

クルマの乗車についても注意すべき時期。
真夏の車内は危険です。





JAF 東京支部 事業課 交通環境係 杉本 実さんによると
JAFのテスト結果では気温 35 度の炎天下にある窓を締め切った車は、
エンジンを停止させてからわず30 分後に車内温度が約 45 度。
その後も上昇を続けて、3 時間後には 55 度を超えたそうです。

車内の熱中症指数としては5 分を過ぎると「警戒」域に入り
10 分で「厳重警戒」、わずか 15 分で「危険」域になります。
そんな環境なので気をつけないわけにはいきません。





まず気をつけなければいけないのは、
夏になると毎年報道される子どもやペットが車内に残される事故。

これには意図して車内に残して行くケースと
車内にキーを残したまま外に出て、思いがけずドアがロックされてしまう、
「キー閉じ込み」のケースがあります。

去年8月の1ヶ月間、JAF が出動したキー閉じこみの救援のうち
子供やペットが車内に取り残されていたのは全国で 98 件、
子供が 75 件、 ペットは 23 件あったそうです。
このうち緊急性が高いと判断してドアのガラスを割って救出した ケースは 2 件。

原因には子供に鍵を持たせていたらロックボタンを 押してしまった、
犬が誤って運転席のドアロックボタンを押したというものがありました。
乳幼児は体温調節機能が未発達。少しの時間だから寝ているからなどの理由で
車内に子供を残したまま車を離れることは危険です。
キー閉じ込みのトラブルにならなくても熱中症を引き起こす事故になりかねません。
また、高齢の方は体温の調整機能が落ちて暑さを自覚しにくいと言われています。
大人だから暑ければ自分で外に出るだろうと車内に残して離れないようにしましょう。





次に気をつけなければいけないのは熱中症。
JAFが以前、オンライン調査『あなたの熱中症を教えて』を展開したあところ
3571 あった回答のうち 431 件が「車内で熱中症になった」、
もしくは「なりかけた」という内容だったそうです。
中には家族を迎えに行っている運転中、
エアコンを切っていたら熱中症になりかけたという人もいました。

車内で熱中症というとペットや子どもの事故に接することが多いですが、
ふつうの大人も侮ってはいけません。やはり水分補給が大切。
汗をかくと体内のミネラルや塩分が放出されてしまうので
経口補水液やスポーツドリンクをこまめに飲みましょう。

また、体温上昇に注意が必要です。日に当たらないように工夫しましょう。
運転席助手席は 車に常備されているサンバイザーを使って日差しを防ぐ。
また、常備されたサンシ ェードや市販のサンシェードなどで日差しを防ぐ。
特に小さな子どもや高齢者を乗せる時には要注意。
後部座席に日差しを遮る色がついたドアガラスを使っている車もあるので
そうした車の場合は後部座席に乗ってもらうようにしましょう。





JAFではかつて対策別に車内室温の変化を確認する実験を行ないました。
「車体に水をかける」「冷却スプレーをシートにかける」「ドアを開閉する」など
インターネット上では車内温度を下げる様々な方法が挙げられていますが、
JAFのテストでは、いずれも車内温度を大きく下げる効果は期待できないという結果でした。





上の図をご覧ください。
唯一、大きな効果が証明されたのがエアコン+走行。
まずは窓を全開、エアコンを外気導入にして走り出し、
車内の熱気を出したら窓を閉め、内規循環にして、室内温度を下げる最も効果的な方法。
その後、室温が下がって安定したら、外気導入に切り替えましょう。
疲労感増加や注意力の低下、眠気や頭痛の原因となる CO2 濃度を増加させないためです。

しばらく続く暑い夏。
車内の環境にも充分に注意してカーライフを送って下さい。


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