去年6月に公布された改正道路交通法により
いわゆる「あおり運転」を直接取り締まることができる
「妨害運転罪」が新たに定められました。

その後、警察がウェブサイト内で情報提供を呼びかける動きが出ています。
今週は口火を切った「岡山県 あおり110番 鬼退治ボックス」について
岡山県警察 交通指導課 課長補佐 川崎慎人さんにお話を伺いました。

開設のきっかけは、あおり運転など、
悪質危険な運転に起因する交通死亡事故や、
暴行、傷害といった事件が発生して大きな社会問題となったこと。

取り締まりを求める県民の声が高まり
あおり運転などの危険な運転の検挙や抑止を目的として、
ホームページ上に情報提供ページをつくりました。





開設してからの1年間集まった投稿は1098件。
そのうち830件で動画や写真などの情報提供がありました。
今年に入っても2月末現在までで135件。

例えば、前の車が進路変更をしたことをきっかけに
後ろの車がクラクションを鳴らした、
これによってクラクションを鳴らされた車が鳴らした車に対して、
ブレーキを踏んでみたり、鳴らした車が進路変更するところを
前方で塞ぐように合図なく妨害するように進路変更したり、
そのあと止まってトラブルになったというような情報提供がありました。

また、同じく後ろを走行している車に対して、
何回も進路変更をして幅寄せをして
後ろの車の通行を妨害するような動画もありました。

悪質なこのような妨害する運転だけでなく、
信号無視をしたりだとか、合図を出さない車両など、
様々な危険な交通違反をする車両の情報提供があるそうです。





こうした情報については実際に捜査にも乗り出します。
最初の進路変更を契機として双方の運転手がトラブルになった事例については、
道交法改正前、まだ妨害運転の罰則ができる前だったので、双方から状況を確認。
それぞれの違反について反則切符ということで検挙をしております。
2番目の事例については幅寄せした運転手を妨害運転罪ということで検挙しました。

その他の違反に関する情報提供にしても、
その動画を参考に管轄の警察署で捜査を行って検挙した例もあります。
また、その情報を参考に取締りの活動に有意義に使っているそうです。





先月、長野県警が、やはり「あおり」の被害者や目撃者からの
情報提供を受け付ける「あおり通報BOX」を、
新潟県警が「あおり運転」と「飲酒運転」の情報を受け付ける
「あおり運転BOX」と「飲酒運転BOX」をウェブサイト内に開設。
こうした動きは、さらに広がっていくかもしれません。
存在が広く知られるようになれば抑止力にもなるでしょう。





みなさんがお住まいの都道府県警察でも、
情報提供BOXを開設しているかどうか調べてみて下さい。

そして、自分が「あおり運転」をする側にならないよう気をつけましょう。
「妨害運転罪」は重いです。

他の車両等に道路で交通の危険を生じさせるおそれのある運転をした場合は、
懲役3年以下または50万円以下の罰金。
違反点数25点で運転免許取消し。欠格期間2年。

高速道路などで他の自動車を停止させ、
その他、道路で著しい交通の危険を生じさせた場合は、
5年以下の懲役または100万円以下の罰金。
違反点数35点で運転免許取消し。
欠格期間3年です。


今週は教育の現場で、いま注目されている、
JA共済 小学生向け交通安全教育コンテンツについて紹介しました。

お話を伺ったのはJA共済連 農業・地域活動支援部  
伊藤仁美さんでした。





去年の春、コロナウイルスの感染拡大で全国の多くの学校が休校になりました。
その後、学校再開にあたり、文部科学省は各都道府県の教育委員会などに
登下校時の児童生徒の安全確保に取り組むよう要請しました。

交通安全教育を受けた経験が少ない低学年児童が
密を避けるため、1人、あるいは少人数で登下校することで
交通事故のリスクが高まると考えたからです。

平成31年に警察庁が出した「歩行中児童の交通事故等の特徴について」によると
子供の登下校時の1人歩きに交通事故の不安を感じる保護者は8割を超えていました。

2014年〜2018年に小学校の事故死者・重傷者数が最も多いのは小学1年生。
6年生の3倍以上でした。

学校が再開された当時、外出する機会が減った子どもたちは、
交通安全を意識する機会が減り、コロナ禍で交通量が少なくなったため
スピードを出しすぎる車が増えたことも指摘されていました。

そんな状況できちんと交通安教育を行って子供たちを守りたい、でもそれが出来ない、
教育関係者・行政・警察・PTAは葛藤を抱えたといいます。
その結果、注目を集めたのがJA共済の交通安全教育コンテンツでした。







JA共済の地域貢献活動を紹介する「ちいきのきずな」HPでは
「交通安全教育ムービー」を公開しています。
これは、平成28年にJA共済が作成して全国の小学校・警察等に配布した
「JA共済 小学生向け交通安全教育DVD」をWEB上で視聴できるようにしたもの。

新型コロナの感染が拡大した昨年春以降、小学校、市区町村、警察など、
都道府県の56団体から、この動画を「学習資材として活用したい」という
依頼の電話があり、その頃から動画の再生回数が急増しました。
そして、去年11月末時点でアクセス数は400万回を突破。

この反響を受けて、JA共済は交通安全教育の実情を、
教育現場・文部科学省・内閣府・警察庁にヒアリングしました。

その上で、令和3年の春休み前や入学シーズンでも、
新型コロナウィルスの終息が見込めないのではないかと考え
一般財団法人日本交通安全教育普及協会の協力で改訂を加え
全国の小学校等に交通安全教育DVDの寄贈を決めたのです。
そして、全国の小学校、都道府県市区町村、教育委員会、警察に
2万5千セットを無償配布しました。







配布するDVDは3編1セットです。
歩行中の交通ルールと自転車乗用の交通ルールを基本的から学ぶ
1・2・3年生向けの『基本編』。
自転車の交通ルールとマナーを学ぶ4・5・6年生向けの『発展編』。
保護者に向けて家庭での交通安全教育の重要性を呼びかける『保護者編』。
      
このDVDセットは、交通安全教育を教える側の視点で
作成していることが大きな特徴になります。
教えるポイントをまとめた教職員ガイドブックや、
おさらい用のワークシートもついています。



このDVDは2月19日に発送。
また、JA共済ウェブサイトの地域貢献活動ページから無料でダウンロード出来るので
こちらも活用して欲しいとのこと。

他にも、交通安全クイズなど、
子供と一緒に交通安全を学ぶことができるコンテンツが多数あるJA共済のWEBサイト。
ぜひ一度、「JA共済 ちいきのきずな」と検索してアクセスしてみて下さい。

今では多くの会社が社会貢献活動に取り組むようになりました。
交通事故ゼロの社会を目指す施策を行う企業もあります。
交通に関する活動をする会社の多くは、
仕事で自動車やトラック、バスを使う運輸・旅客業ですが、
今回は岡山県にある会社の取り組みを紹介しました。





それは道路工事や店舗の駐車場の警備員、
交通誘導をする警備員を派遣している株式会社KIG。
5年前に起業した代表取締役社長 37歳の田代康介さんにお話を聞きました。

KIGは岡山市内の幹線道路、国道や主要県道に
交通安全を啓発するメッセージ広告を出しています。
その数は、およそ30タイプ。

KIGが交通安全広告を出しているのは2年前の不幸な出来事がきっかけ。
従業員の方が深夜に自転車を運転していて交通事故で亡くなってしまったから。
会社として何か交通安全に役立てることはないか?と考えたのです。

1番反響が大きかったのが、
実は岡山県がウインカーを点けない県だということで
KIGの方が親指を立てて「ウインカーを点けようぜ!」としているもの。





その他、飲酒運転の防止を呼びかけるもの。
副社長と常務が手を繋いで屈託のない笑顔で笑い
「お酒飲んで運転したらダメでしょ!というメッセージが入っています。





さらに、KIG警備員の顔に水がかかっている瞬間をアップで撮影して、
「居眠りしている人はこう!」というのもあります。





いろんな個人、団体、企業の取り組みによって、
毎年、交通事故 死者数は減り続けています。

こうした輪がもっと広がって、危険な運転をしている人が
「自分が恥ずかしい」と思うくらいになればいいですね。





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