2020年3月24日

つなぐ〜10年目の春だより:南三陸町 小野寺翔さん

今週は「つなぐ〜10年目の春だより」。震災を経て、成長した東北の若者たちの声をお伝えしています。

今日は、昨日と同じく宮城県南三陸町の、小野寺翔さんです。
きのう紹介した三浦たかひろさんと、同じ戸倉地区出身の同級生。2人とも中学生時代に被災し高校時代は、震災の語り部として同じツアーで活動していました。


(右が小野寺さん)

小野寺さんはその後、関東の大学に進学するも中退。なんと「林業」の専門学校に入り直し、現在は地元に戻ってきています。あれからまる9年。もうすぐ24歳になる小野寺さんの声です。

◆津波に流されず「残ったもの」
高校まで県内の地元のほうにいて、僕もたかひろと同じように自分のやりたい事というのがあって、人のためにできることをしたいなと考えていたのがあったと思うんですけど、一度外に出て、同じツアーを、外にいる若い世代を南三陸につなぐというような活動をしてきたときに、改めて故郷ってやっぱり良いなということに気づいたというのがあって、春休みか何かの帰省の時だったんですけど家で山の話になって、自分の家にも山があったという話になりまして、そこで改めて何もかも流されてしまってなくなってしまったんですけど、山ってそういえば財産として残ったんだなということに気づいて、それを守っていけるのって私たちの今の世代だなと思いましたので、そこだというところで勉強したいと思って、林業に関する勉強をして帰ってきたという感じですね。去年の春に戻ってきまして、林業の関係のお仕事をしていたんですけど、10年目、この春からは自分で家の山を管理する自伐型林業という形なんですけど、準備をしてやっているところです。山って、森林組合だったり企業に委託をして管理してもらうのが一般的なんですけどそうではなくて自分で自分の山を切って完了するという、昔から当たり前だった手法をもう一回やろうと。不安もありますけど自信もあるので、まずは1年頑張ってみたいなと思います。

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自伐型林業・・・いま注目されている林業のスタイル。森を守り、育てつつ、一定の収入も得られるということで「持続可能な林業」として注目されています。
小野寺さんはこれに取り組みながら、地元の鹿踊り(ししおどり)という郷土芸能の担い手としても活動。地元の文化を、次世代へつなぐ役割を果たしているそうです。
ちなみに。鹿踊りに使う太鼓などの道具も、もともと地元の山から切り出した木材を使ったもの。小野寺さんは地元の里山が生活といかにつながっているか・・・ということも伝えていきたいと考えています。



インタビューをしたのは3月11日。現在は公民館となっている戸倉中学校だったのですが、この日ここへは、戸倉中の卒業生や先生たちが、申し合わせたわけでもなく集まり、午後2時46分を迎えました。

「LOVE & HOPE」、あしたも、2011年から継続的に取材してきた若者たちの声を届ける 「つなぐ〜10年目の春だより」お送りします。

2020年3月23日

つなぐ〜10年目の春だより:南三陸町 三浦貴裕さん

今日からお届けするのは、震災を経験しながら、大人へと成長した、東北の若者たちの声、「つなぐ〜10年目の春だより」。初回の今日は、宮城県南三陸町の三浦貴裕さんです。

番組が2011年から取材と交流を重ねてきた、南三陸町、戸倉中学校。その2012年の卒業生でもある三浦さんは、当時の取材で、住民の命を守る“消防士”になりたい、と答えていました。あれから9年、24歳になる三浦さんの現在の「声」です。


◆「町の魅力、震災から立ち直ったことを伝える」

「私は南三陸町に震災後できた宿泊研修施設の方で4月から働いて、ちょうどもう少しで一年経ちます。大学の時から学生ツアーというような活動してきて、その延長線に自分のやりたいことがその施設にあったのでお世話になっているんですけども。そうですね中学卒業する時は消防士になるという夢を持って高校も3年間消防士になるという夢を追いかけて、途中で大学に進学に切り替えたりとか、やっぱり自分の中で大きかったのは人の出会いと、大学の生活の中で始めた語り部活動と、大学生を対象にした学生ツアーというのが自分の中では大きかったなっていうのがあります。この町の魅力、震災から立ち直ったことを伝えるって言うことを今後も継続していきたいなという思いでやっています。9年経ちはしましたけど、復興と言われるのは多分これからなのかなと思って、もしかしたら毎年私言ってるのかもしれないですけど、そのハード面、道路とか公共施設の復旧復興ってのはもうほとんど終わってるので、てなるとやっぱりこれからその地域課題地方課題と言われるようなものにどうこの南三陸町だったり私たちを含め町の人たちが取り込んでいくのかというのが課題なのかなという風には思っています。で、今コロナのことがあるのでなかなか人が南三陸町に来てないということもあるんですけども、落ち着いた時に、とくに大学生とか高校生にここの町の取り組みだったり魅力を知ってもらって、自分たちの生活とかその進路に行かしてもらいたいなって思いがあるので、本当にたくさんの人に来て頂きたいですね。」



震災後の中学高校時代は、消防士を目指していた三浦さん。大学生の時、語り部活動や、各地の大学生を募って、南三陸町を案内するツアーを実施したその経験から、現在は、町に震災後できた研修宿泊施設、「いりやど」のスタッフとして、全国から訪れる宿泊客や研修生を迎え、震災の経験や、復興の歩み、学びを伝えています。


(左が三浦さん。右は明日お届けする小野寺翔さん)

さて2011年からお送りしてきました『LOVE & HOPE〜ヒューマン・ケア・プロジェクト』は、この3月いっぱいをもって、放送終了ということになりました。

フィナーレを飾る、シリーズ、「つなぐ〜10年目の春だより」。明日もぜひ聴いてください。
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パーソナリティ 鈴村健一

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特別番組 LOVE & HOPE ~10年目の春だより

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