2015年3月12日

3月11日 岩手県大槌町 小林寿美さん3

岩手県・大槌町はいま、人の手によって再び姿を変えようとしています。津波の後、形をとどめていた建物も姿を消し、全国的に有名な湧水=わき水はかさ上げに伴い、その多くが姿を消しました。

おととし、高校生語り部として、津波の爪痕・町の魅力の両方を案内してくれた小林寿美さん。1年ぶりに会った彼女は、いまの町の変化に戸惑っているようでした。そして寿美さん自身も、人生の大きな転機を迎えています。

◆「やっぱり大槌が好き」
(1年前に寿美ちゃんにあったときは、高校生語り部として町を良くしたい、大槌は日本で一番良いところなのでそこを伝えたいと言っていたがその後活動は?)
やっぱり今までと違う環境に入ってしまったので、その分 人として成長できるということも多くあったんですけど、その分かかえきれなくなってしまって、疲れてしまった部分もあり、進路活動をどこか理由に、町に対する活動を控えていた時期がありました。やっぱり離れた自分に対する罪悪感もあったし、そういうのから目を背けているという自己嫌悪みたいな感情にもなったんですけど、進路活動とか高校生という自分で生活していたつもりでいたんですけど、周りの子とかが復興関係のボランティアに参加していると、どこかちょっと・・・「自分だったら」とか「私だったらこうできるのに」という気持ちが芽生えてきて、また新しい視野を見つけられた上で、語り部という形には戻っていないけど、外に出られる環境に戻ってきたので、何もできなかった・しなかった時期も大切だなと思ったし、離れてからやっぱりまた大槌のことを考えるし、大槌のことを聞かれるとウレシイし、やっぱり好きなんだなと改めて実感したので、就職してこの町で生活するという実感も出てきたので、よけいに愛着がもてたかなって思います。
(就職は高校卒業して釜石のホテル。いま率直にどう?)
大槌に関わりたいと思って、いましか見れない状況を見ながら社会で働きたいという考えになったので、隣町に行っても隣町のことをきちんと勉強して、その町の魅力を伝えて行ける人になれたらと思います。私をみて相手のお客さんが笑顔になってくれたらいいかなって思います。



この春、高校を卒業した小林寿美さん。
4月からは、いよいよ社会人となります。
今の気持ちを「手紙」にたくしてくださいました。続きは明日お伝えします。

2015年3月12日

3月10日 岩手県大槌町 小林寿美さん2

岩手県大津町で、「高校生語り部」として活動していた小林寿美さん。
あれから、1年と数ヶ月。
再び、大槌を寿美さんと歩いて感じたことは、津波で姿を変えた町が、今度は人の手によって変わろうとする、時間の経過でした。そして私たちは、寿美さんが震災前から一番好きな場所だという、町を見渡す高台へと向かいました。


◆人の手で大事なものが壊されていく・・・
(いま寿美ちゃんに案内してもらった高台。ここからだと大槌の景色がよく見える。さっき下にいた時は海がどこにあるか分からなかったが、ここから見ると、更地でかさ上げ工事がされていて民家は一軒も見えない。でもその先にキレイな海が見えますね。ここは?)
白山体育館とみんな呼んでいるんですけど、町の唯一の高台。311も避難所になった場所。色んな色の屋根がたくさんこの場所からは見えて、その先に川から繋がって海が見えて、そういう景色が広がっていました。
(以前から来ていた場所の景色がガラっと変わってしまって。いまこの景色を見て感じることはありますか?)
特に町への希望、将来への期待というのはこの町を見て何も感じないんですけど、津波でなくなってしまってしょうがないと割り切ったつもりでいたんですけど、やっぱり人が動かしている機械で残っていた建物や目印になっていたものが無くなってしまい、この町で生きて行きたいなと思っていたところが土で埋まってしまったので・・・さみしい・・・。どこかまだ夢から覚めていないような感じで、なぜ町がないんだろう、なんで壊されているんだろう、なんで重機がいっぱいあるんだろうとか、受け入れきれない部分が自分のどこかにあって・・・なんでだろうという気持ちがすごく強いです。

 
(出てない・・・全然だねこれが一応、湧水。1年前はこんこんと出ていたのに。これはかさ上げ工事の影響で?)
たぶんそうだと思います。一番町で大きく出ていたわき水がここだったので。あとは盛り土の下に埋まっているか、それでも湧水は止めることは出来ないので下から湧いているとは思うんですけど、唯一わかりやすい場所にあるのがここです。
(さみしいね)
そうですね。復興が進んでいるというのは分かるんですけど、失われて行くほうも多いので、やっぱり人の手で物をなくされて行くというのはちょっと気持ちがいいものではないなと感じます。
(去年は寿美ちゃんと一緒に、冷たいね〜と言っていた場所は工事の柵で入れなくなっちゃっているんですね・・・)


大槌町は、山が迫っているため、山から流れる地下水が高い水圧で平地でわき出します。住宅街の色んなところから湧いていて、生活用水に使われていて、「あそこのお家のとこの水は美味しい」なんて世間話するほど。湧水は人が集まり交流の場所だったといいます。
それが今回訪れた時には、すでに止まっていました。

こうして、大きく変わりはじめた町の姿。それを見つめてきた寿美さんも、人生の大きな転機を迎えています。明日は、小林寿美さんのこれからについてお伝えします。
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パーソナリティ 鈴村健一

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