2014年11月26日

11月26日 続・「福島の声を聞こう」(2)

作家、渡辺一枝さんが主催する「福島の声を聞こう」は、震災で被災した福島の方や、福島でボランティア活動を続ける方をゲストスピーカーに迎えて、「福島のいま」を伝えるトークの会です。

今回のゲストスピーカーの一人、福島県南相馬市で復興ボランティアを続ける小山謹子さんは、「きっずれたー to 南相馬市」を主宰。南相馬の仮設住宅で暮らす方たちに、季節のメッセージカードを贈る活動を続けています。募集したメッセージは、有志とともに仮設住宅を回り、住民の方たちに直接手渡しています。

◆周囲の目や心無い言葉
今年の「春のおたより」のときに、これまではお便りで参加してくれていた方が初めて仮設住宅に手紙を届ける活動に参加してくれた。その方の感想がすごく良かったので読み上げます。
『今回ご縁があり南相馬に初めて伺ったのですが、一番ショックだったのは、五時間ほどの短い滞在時間の中で、“仮設の人たちは毎日一人15万もらってるんだよね。人生狂っちゃって、パチンコに通って仕事を辞めた人もいるよ”という言葉を地域の方から聞いたことでした。毎日生活を共にし、仮設での暮らしもご存じのはずなのに、こんな身近な人たちでさえ、そういうことを言うんだと、暗い気持ちになりました。実際東京で友人に、南相馬の人達に手紙を書くささやかなボランティアをやっていると話すと、同じ反応が帰ってきたこともありました。また今回一緒にプレゼントを用意してくれた友人も、“でもこのプレゼントを贈る人達も毎月一人10万もらってるんでしょ“と言いました。決して悪気があるのではないと思うのですが、こういう周囲からの目や言葉が、どんなに仮設住宅で暮らす方たちの気持ちを落ち込ませ、卑屈にさせ、傷つけているだろうとため息がでました。
今回お尋ねした方が“誰が好き好んで月10万でこんなところに暮らすか”という言葉が、本当にどれだけ心無い言葉や嫌味を投げつけられてきたかを表しているようでした。原発から○キロ圏内というくくりが発生し、そのキロ数によって補償内容や支援体制が全く異なってきたことが、問題をより複雑にしているんだと思いました。』

(一枝さん)
たとえば福島県小高町で自動車整備の店を持っていたかたがいる。20キロ圏内なので仮設住宅に避難しているが、10万もらって暮らしているんじゃいやだとということで、なんとか仕事を再開したいと、原町の町中に整備工場をつくった。自分で賠償金をつぎ込んで場所を借りて、新たに店を興した。そうやって仕事をしていると売り上げが生じてくるので、所得税が生じる。賠償金というのは、避難している間の生活のために使われるためのものだが、それをつぎ込んで事業を再開し、せっかく仕事を始めても、税金が払えなくなって事故破産するというケースが結構ある。
10万円もらってるからいいよねと言われ、実際にパチンコに行っている人もいるが、じゃあなにをすればいいの?というところ。これは、原発事故の後で、この事故に対してどう対処していくのかという中で、まず生活再建を考えずに「賠償金」に真っ先にもっていったことが、一番大きな問題をつくるモトだと、わたしは感じている。



「きっずれたーto南相馬市」では、現在「クリスマス」に南相馬の仮設住宅に届けるお便りとプレゼントを募集中です。締切りは12月6日(土)。
お子さんだけでなく、大人の方からのお手紙も広く募っています。参加したい!という方は、活動のオフィシャルサイトをご確認ください。

「きっずれたーto南相馬市」オフィシャルブログ

2014年11月25日

11月25日 続・「福島の声を聞こう」(1)

今週はトークイベント「福島の声を聞こう」です。
作家、渡辺一枝さんが主宰する「福島の声を聞こう」は、東日本大震災で被災した福島の方、また、福島で活動するボランティアの方をゲストスピーカーに迎えて、「福島のいま」を伝えるトークの会。12回目を数えます。

今回のゲストスピーカーの一人、小山謹子さんは、福島県南相馬市の仮設住宅で暮らす方たちに、季節のメッセージカードを贈る活動「きっずれたーto南相馬市」を主宰。一般から広く募集した手紙やプレゼントを、自ら仮設住宅に届けています。

小山さんが福島と関わりを持ったのは、東日本大震災の直後。最初は支援物資を届ける活動でした。

◆心を届けるギフト
(小山さん)ずっと支援物資などのモノを贈り続ける活動を続けていたが、それも2012年3月に終わりになった。1か月ぐらいしてから、「被災地の方はどうされているかな」と思って、お菓子と一緒にお手紙を書いて、お送りした。電話番号も書いてお送りしたら「ありがとうございました〜」とお電話があって。そのとき初めて「これだ!」と思った。いまから必要なのはコミュニケーションだと確信して。それから手紙を書くようになり、書くうちに、どうせ手紙を書くなら、仮設住宅にはおじいちゃん、おばあちゃんが多いっていうから、子どもたちの手紙のほうが喜ばれるのかなと思って始めたのが、「きっずれたーto南相馬市」という活動。いまは大人の方のお手紙も募集しているが、お手紙を南相馬に持っていって、おじいちゃん、おばあちゃんにお渡しするという、「気持ちをお渡しする」という企画。関係を築きたい、コミュニケーションを図りたい、という企画。
最初仮設住宅の集会所に持っていったら、決まった人しか集会所には来ないと聞いて、それでは意味がないと思い、その年のクリスマスから仮設住宅を一軒一軒まわって手紙を手渡している。最初は軒先で立ち話なのが、二回目訪ねていくと「上がってけ、上がってけ」となり、三回目には何時間も話したり、ご飯を食べさせてもらったり。そうふうになる。
(一枝さん)
南相馬の仮設住宅に行くと、おばあちゃんたちが言うんです。「こんな手紙をもらったんだよ」と。そして「小山さんて、紙切れみたいなものをプレゼントだって言って持ってくる。最初はなんだこの人はと思っていたけど、そうじゃない。小山さんは“心”を届けにきてくれてるんだね」と。メディアを通した言葉ではない言葉というのは、ものすごく力があると思う。小山さんは、福島に通うようになって、福島の現状をどう感じている?
(小山さん)
南相馬の方たちの全体的な印象というのは、去年はちょっとあきらめなど暗い印象があったが、今年に入って、復興住宅などもどんどんできてきて、ちょっと活気づいているような。一方で、放射能で避難されている方は、自宅があって復興住宅に行く目処もないので、仮設の中の人間関係も悪いところはすごく悪いので、すごくきつい状況下にいるというお話を聞いて、前を向き始めた方とにっちもさっちもいかない方に分かれてきているのかなと。


「きっずれたーto南相馬市」
メッセージの募集は「春のたより」「夏のたより」「敬老の日」そして「クリスマス」の年4回。いまは、ちょうど「クリスマスのお便り」を募集中です。

お便りやプレゼントを贈りたい!という方は、12月6日(土)まで受け付けています。「きっずれたーto南相馬市」のオフィシャルブログをご覧ください。

「きっずれたーto南相馬市」オフィシャルブログ

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パーソナリティ 鈴村健一

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