2014年6月5日
6月5日 福島県飯舘村、酒井政秋さん(4)
作家の渡辺一枝さんが主催する「福島の声を聞こう!」のトークイベントから、
福島県飯館村、酒井政秋さんの声をお届けします。
原発事故の影響で、現在福島県伊達市の仮設住宅に暮らす酒井さん。仮設住宅のお年寄りに寄り添う「傾聴ボランティア」に取り組む一方、村民同士の対話の場「かすかだりの会」を主宰しています。また、県内外の知り合いから飯館村を見たいというリクエストがあれば、
時間が許すかぎり、村を案内するようにしている、といいます。
◆グレーからカラーに
水俣病はグレーで、カラーのないイメージ。教科書で教えられたぐらいの感覚でいた。自分も原発災害を機に、水俣病のことは水俣に行ってみないとわからないことが多いだろうなと思い、水俣を訪れたら、がらっとイメージが変わった。現地の人達にゆっくり話を聞くことでグレーの水俣がカラーになった。そこにはかけがえのない自然があり、雄大で、夕陽がきれいだった。風も感じたりして、水俣病、胎児性水俣病の人たちも、目がキラキラしていた。本当に懸命に生きている。どんなことがあっても、絶望だけでは人は生きてはいけない。絶望の中でも光を見つけて生きていく、という言葉が、自分にとって、また福島にいる人達にとって、とても勇気づけられた言葉だった。真っ暗闇の中では生きている実感はないが、自分の中から光を見出して歩いていくことによって、どんなことをも乗り越える力をもらえたり。だから語り部さんの話を聞いたり、現地を訪れて自分で体感してみることが大事。
水俣で魚がとれなくなった人達は、いま果樹園でみかんや柑橘系をやっていて、とてもおいしい。一緒にもいだりして、水俣と触れ合うことができて、他人事が自分ごとになっていくということじゃないかと。ひとくちに「フクシマ」といっても、被害や状況は、地域や人によって様々。福島に来てくださいというのも、福島の日常、非日常、波の被災地を見ることによって、自分の中でなにか感じられるものがあると思う。その中から、自分の生活の中で、変えられることは変えていこう、ということが生まれるんじゃないか。だから福島に来てほしい。
飯館村の村民による対話の場「かすかだりの会」、次回は6/7(土)に福島市内で行われます。
詳しくは「かすかだりの会」のオフィシャルサイトでご確認ください。